Tatsuhiko.Hatakeyama/DCTA Inc.

大手化学会社でプラスチック開発や工場設計・運営・管理業務を経て、今は湘南を拠点に環境に…

Tatsuhiko.Hatakeyama/DCTA Inc.

大手化学会社でプラスチック開発や工場設計・運営・管理業務を経て、今は湘南を拠点に環境に配慮した製造系コンサルタントをしています。IoTやAIやWeb 3.0を用いたスマートファクトリー構築支援や脱炭素やカーボンユートラル推進を支援しています。

最近の記事

製造業における「量産でのワーク表面の異物検査」の自動化のニーズ

製造業で自動化支援の問い合わせが増えてきています。 問い合わせには、『量産時にライン移動中のワーク表面の異物検査を自動化したいが、カメラ撮像の向き不向きがあれば教えて欲しい。』『また自動化する場合の検査内容を教えて欲しい。』等がございます。 今回は、①異物検査に対しカメラ撮像が難しい製品、②検査内容、③自動化のニーズについてまとめてみました。 製造現場で、製品や製造工程中部材のワーク表面異物検査の自動化を検討中にされている方々の参考にあればと思います。 1.カメラ検査自

    • 小型家電由来プラスチックのマテリアルリサイクルに取り組むリサイクラーと現状の課題

      プラスチックのリサイクルには、『材料として再活用する=マテリアルリサイクル』と『廃プラスチックを化学的に分解して油等化学製品の原料にする=ケミカルリサイクル』と『廃プラスチックを固形燃料にした後、焼却してエネルギーとして利用する=サーマルリサイクル』があります。 今回は、この中の『マテリアルリサイクル』についてお話ししていきます。 日本で、マテリアルリサイクルを中心にリサイクルをしている業種として小型家電が有名ですが、いくつかの課題に直面しています。 歴史を遡ると、日本で

      • 化学・材料産業の製品の製造でのUV照射のニーズについて

        化学・材料産業の製品(繊維/樹脂/医薬品原薬/農薬原体等)の分野に於いて、UV照射工程を必要とする製造プロセスと製品があります。 ではUV照射が必要な製品には、どんなものがあるか?紹介します。 用途や製品は多岐にわたります。そして、その製造プロセスも様々です。 UV照射は環境汚染の観点で良い点もありますが、デメリットもあることは事実です。 今回の活用シーンや製造プロセスでの長・短所の紹介をもとに、安全で環境にやさしく、効率的な製造プロセスでの製品化検討に役立ててもらえればと

        • 自動車シュレッダーダスト(ASR)由来プラスチックのマテリアル(材料)リサイクルに取り組むリサイクラーと現状の課題

          自動車シュレッダーダスト(ASR)をご存知でしょうか? 自動車のリサイクルや廃車処理プロセスにて生成される廃棄物の混合物です。ASRは、自動車を廃車処理施設で解体する際に、シュレッダーと呼ばれる機械を使用して車体を細かく破砕することで生成されます。 ASRは、通常、自動車から取り外された金属部品(鉄、アルミニウム等)、プラスチック部品、ゴム、ガラス、ファブリック、及びその他の物質から構成され、これら部品や材料は、自動車の解体やリサイクルの過程で分離・回収されますが、ASRには

        製造業における「量産でのワーク表面の異物検査」の自動化のニーズ

          魅力的な有機ポリマー:リグニン

          リグニンは、植物の細胞壁、特に木材や樹皮に含まれる有機ポリマーで、植物に構造的なサポートを提供する上で重要な役割を果たします。 また、リグニンは、主に紙・パルプ産業における様々な工業プロセスの副産物でもあります。 このように自然界に存在しながら、工業的副生物でもある魅力的なリグニンには、いくつかの種類があり、それぞれに異なる特徴と用途があります。 1.様々な種類のリグニンの特徴リグニンの特徴リグニンは、セルロースとともに木材の主成分を構成する複雑な有機高分子です。特徴的な側

          魅力的な有機ポリマー:リグニン

          自動車部品工場の水処理・空調設備の導入・運用と今後の導入ビジョンについて

          自動車やEV関連部品業界サプライヤーの国内工場では、電気・ガス・エアなど様々なユーティリティーを利用していますが、昨今、環境負荷や働きやすさ、品質管理などの観点から水処理設備や空調関連設備の設計・施工やその管理手法に関するプロジェクトは増加傾向にあります。 CO2排出量削減やSDGsを目標に掲げている企業では、省エネやネットゼロでの製造工場での環境対応が必要となってきています。 再生可能エネルギーの活用やそれを維持管理するエネルギーマネジメントシステムの導入などを検討しなけれ

          自動車部品工場の水処理・空調設備の導入・運用と今後の導入ビジョンについて

          デンプンなどを用いたスターチブレンド系バイオプラスチックの現状

          ◆歴史と現状バイオプラスチック、特にデンプン混合物から作られるプラスチックの開発は、石油ベースのプラスチックに代わる持続可能な代替品を見つける必要性によって推進されてきました。 プラスチックの基材としてデンプンを使用するという概念は、20世紀初頭に遡ります。 1970年代と1980年代には、従来のプラスチックが環境に与える影響についての環境問題への懸念が高まったため、デンプンベースのプラスチックの開発に関する研究が強化されました。 原油価格の変動と主要な原油生産地域における

          デンプンなどを用いたスターチブレンド系バイオプラスチックの現状

          製造業界におけるデジタルを活用した熟練技術者の技術伝承の取組内容と課題

          製造業において熟練技術者のスキル継承においてデジタル技術を活用する取り組みを加速しています。今回はその背景と必要性、そして、具体的な取組内容と課題についてまとめました。 このような場面に直面している製造現場や経営者の方々の参考になればと思います。 【デジタル技術活用が加速する製造業における技術継承の背景】労働力の高齢化:製造業では熟練したエンジニアの多くが退職年齢に近づいており、知識の不足が目立ちます。これらの経験豊富な労働者が職場を離れると、彼らの専門知識や暗黙知が次世代

          製造業界におけるデジタルを活用した熟練技術者の技術伝承の取組内容と課題

          DX事業戦略:社内コミュニケーションに用いるITツール選定について

          企業のDX推進は非常に加速してきています。 特に社内コミュニケーション改革にあたり、ITツール選定について業種や規模に関わらず問い合わせが増えてきています。 こうしたITコミュニケーションツールを選定するプロセスや基準についてまとめました。ITベンダーは、それぞれ特長がありますので、主要ITベンダーの強み・弱みについても整理してみました。 企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する場合、特に社内コミュニケーション改革においては、適切なITツールの選択が重要で

          DX事業戦略:社内コミュニケーションに用いるITツール選定について

          木材プラスチック複合材料 (WPC)とは何か?(特徴と市場アプローチ)

          WPCをご存知でしょうか? これは、木材プラスチック複合材料(WPC)のことです。WPCは木粉とプラスチックから作られる複合材料で、木材とプラスチックの両方の特性を組み合わせています。 環境問題がクローズアップされる現代で、いくつかの理由から注目を集めています。 ◆WPC注目理由環境調和:WPCは廃木材や再生プラスチックを活用することができ、廃棄物の削減に貢献します。また、最初の使用後にWPC製品を再成形して再利用することもできるため、リサイクル性が向上します。 低V

          木材プラスチック複合材料 (WPC)とは何か?(特徴と市場アプローチ)

          金属・鉄鋼・建築業における出荷前・製品製造工程での外観検査にAIを活用した事例と課題

          製造業(金属・鉄鋼・建築)における、出荷前・製品製造工程での外観検査は高度化の要求が高まっております。 特に出荷前・製造工程において、目視・触診等での外観検査を行っている企業では、人員確保の難しさ、ベテラン検査技師の技術・技能伝承が進まない状況下で、検査にかかる負荷は年々増加しています。 現在、目視や触診など所謂五感に依存している検査業務に、AI技術を活用することできないかと考えている企業は少なくないと思います。 一方、AIを活用した外観検査製品は、高額、導入までの期間が長

          金属・鉄鋼・建築業における出荷前・製品製造工程での外観検査にAIを活用した事例と課題

          Formula1 2024年アブダビでのプレシーズンテストを見て思うこと〜ピトー管の設置で何が分かるのか?

          2024年Formula1のプレシーズンテストが始まりました。 気がついた方もいらっしゃるでしょうが、F1マシーンの前方や後方に網の目のようなピトー管が張り巡らされています。これは空気の流れや圧力を計測していると考えられます。 学生時代流体力学を学びながら、様々なレース車輌の風洞実験に立ち会った経験から、ピトー管を用いるFormula1の空力についてまとめてみます。 モーターサイクルの空力スペシャリストではないので、参考程度に読んでもらい(^^)、F1を違う角度から観るのも面

          Formula1 2024年アブダビでのプレシーズンテストを見て思うこと〜ピトー管の設置で何が分かるのか?

          ②管理者向け〜技能や技術スキルを評価する項目と方法について

          1.はじめに管理者向けのスキル評価について、今回は製造業技術系社員のスキル評価をイメージしてまとめておりますが、営業やプロジェクトチームを任されている管理者の方々にも応用出来ると思いますのでご参考にして下さい。 2.技術スキル製造業では,多能工化が進み、外国人労働者を受け入れていく中で、技能や技術のスキルを的確に評価していないと品質や安全の問題が発生する可能性が高まっていきます。 そこで技術系社員の技術スキルの評価項目について、スキル評価の大項目と小項目に分類し、また具体例

          ②管理者向け〜技能や技術スキルを評価する項目と方法について

          ①管理者向け〜マネージメントスキルを評価する項目と方法について

          製造業での技術系社員の技術スキル管理は、多能工化推奨や外国人労働者や技能実習生を受け入れることで、ますます複雑に難しくなってきています。 そのような環境下で、管理者が身につけなければいけないマネージメントスキル評価項目について、スキル評価の大項目と小項目に分類し、その具体例をまとめます。 更に、各スキル評価項目に関する評価方法をまとめてみました。 マネージメントスキルの分類製造業の技術系社員の管理能力評価項目は、企業の具体的なニーズや目標によって異なりますが、一般的なメジャ

          ①管理者向け〜マネージメントスキルを評価する項目と方法について

          フェノール系酸化防止剤BHTと代替品である天然抗酸化物質トコフェロールの成長性について

          1.BHTの特徴フェノール系酸化防止剤として最も汎用なBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は、次のような特徴があります。 長所 BHTは、原料や製品が空気中の酸素と反応して酸化されることによる変質・劣化を防ぎ、品質や性能の保持に重要な役割を担っています。 BHTは熱安定性がよいので、加熱を伴う原料の製造工程における酸化防止剤として有用です。酸化しやすい油脂成分やビタミン等の有効成分の保護にも利用されています。 BHTは、食品、化粧品、プラスチック等の様々な産業で広く

          フェノール系酸化防止剤BHTと代替品である天然抗酸化物質トコフェロールの成長性について

          半導体向けの水素需要量予測と想定需要家について

          <半導体製造における水素の必要性>半導体製造では、微細な不純物があるだけでも回路に損傷が起こり、性能が低下する等の致命的な問題が発生します。 そのため、残留物を洗い流す工程が必要になりますが、ここで洗浄液の役割を担うのがフッ化水素です。 集積度が日増しに高まる半導体工程の特性を考えると、不良率を最小限に抑えるには、超高純度のフッ化水素が必要です。 1.日本における半導体製造に関わる水素の現状 日本の水素産業は世界をリードしており、2兆円のグリーンイノベーション基金を活用

          半導体向けの水素需要量予測と想定需要家について