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ひとつの製造拠点で商品別CO2排出量を計算する際に生産工程ごとにエネルギー使用量を配分できるか?

工場のエネルギー使用量を把握する目的でCO2の排出量を計算をして、検討する企業は少なくありませんが、工場内で複数の生産工程を実施している場合、生産工程毎にエネルギー使用量を把握するには、どのような方法があるか?という問い合わせが多くございます。
現実的には複数の生産プロセスを持つ工場でプロセス毎にCO2排出量を配分するのは難しいですが、解決するための様々な方法やアプローチがありますので、一般的な内容としてまとめてみましょう。

  1. アクティビティベースの割り当て
    CO2排出に寄与する工場内の主な活動を特定します。
    全体の排出量に対する各活動の寄与の割合に基づいて、エネルギー使用量を割り当てます。
    例えば、繊維産業では、「染色」や「編み物/織り」などのエネルギー集約的なプロセスに基づいてエネルギー消費を割り当てることができます。

  2. スループットの割り当て
    各プロセスのスループットに基づいてエネルギー使用量を割り当てます。
    例えば、あるプロセスが別のプロセスよりも多くの出力を生成する場合、エネルギー使用量のより高い割合をそのプロセスに割り当てます。

  3. 計測と監視
    生産プロセス毎に個別のエネルギーメーターを設置します。
    各プロセスのエネルギー消費を個別に監視します。
    各プロセスの実際のエネルギー使用量に基づいて排出量を割り当てます。

  4. 質量又は体積ベースの割り当て
    各プロセスで生産される製品の質量又は体積に基づいてエネルギー使用量を割り当てます。
    これは、製品の重量や体積が大きく異なる業界では一般的です。

  5. 技術的要因
    各工程で使用する設備のエネルギー効率を考慮します。
    古い機械や効率の悪い機械を使用するプロセスに、より多くの排出量を割り当てます。

  6. ライフサイクル評価(LCA)
    各製品のライフサイクル評価を実施して、原材料の採取から耐用年数終了までの環境への影響を理解します。
    各製品のライフサイクル段階に基づいて排出量を割り当てます。

  7. プロセス固有の排出係数
    利用可能な場合は、プロセス固有の排出係数を使用します。
    排出係数は、活動単位(生産単位あたりなど)に関連するCO2排出量の推定値を提供します。

  8. 専門家の判断
    場合によっては、各プロセスが消費するエネルギー量を合理的に見積もるために専門家の判断が必要になる場合があります。

一般的なアプローチをご紹介しましたが、このような方法の選択は、データの入手可能性、生産プロセスの性質、排出量配分の具体的な目標によって決まることに注意することが重要です。
多くの場合、これらの方法を組み合わせることで、各生産プロセスに関連する排出量のより正確で、且つ包括的な全体像を得ることができます。
更に、業界固有のガイドラインや基準・規制が、排出量配分のための特定の方法論を提供する場合があります。

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