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【Vやねん】18-19激闘UCL優勝決定号_後編 【リバプール】

Q. とうの昔にシーズンも終わったけど、いまだにシーズンレビュー?
A. 全部残業のせい

 さけしさんのパクリ(もういっそ認めてしまえ)で始めたこの企画もやっと今回で終わりです。もうちょい続きますがお付き合いください。あと真面目な話が読みたい方はリバプールラボの記事とか、6/27発売のfootballistaをご覧ください。

最終回となる今回は、FWとコーチ陣。それではいってみよ!

ちなみにこれがGK&DF版。

これがMF版。あわせてご笑納ください。

FW

No.9 ロベルト・フィルミーノ

 通称「ボビー」、またの名を「川勝塾長・戸田解説員のお気に入り」。彼を途中で下げると戸田さんがよく「ちょっとよくわかんない」とサンドウィッチマン富澤的なコメントをするので面白いが、正直筆者もテレビの前で「ちょっとよくわかんない」みたいなリアクションをしてる。趣味はファビーニョの耳をデコピンみたく弾くこと。男子高校生か。
 今シーズンもサラー、マネと共に「チームびっくり人間(特に愛称がないので勝手にそう呼んでいる)」の一角として君臨。基本はCF、4-2-3-1導入時にはトップ下(というよりセカンドトップ?)に入ってハーフウェーラインから先のボール運びから崩し、さらにはフィニッシュまでワンストップで提供。攻撃失敗時の素早く賢いネガトラによるアフターケアまでお任せという安心のサービスっぷり。マネやサラーと比べるとゴールは少ないが、貢献度は彼ら2人に比肩する。ブラジリアンアタッカーらしい鮮やかなテクニックも見せてくれる「ド派手な黒子」である彼がいなければ、リバプールはかつての安住の地中位に落ち着いていたかもしれない。
 それだけデキる男となると、不在時の穴が大きいのは当然。終盤さすがに過労が祟ったか筋肉系のトラブルを起こし、リーグ戦最後2節とUCL準決勝のバルサ戦欠場だったのはぶっちゃけ絶望そのものだった。だが、国内カップ戦にも駆り出される酷使無双っぷり、また1試合中に全て出し切るかのような運動量、さらにはフェルトンゲンの目潰しを受けたことを考えれば、5試合の欠場で済んだのは奇跡と言って差し支えない。来季も大きな事故なく働いてくれればもうそれで十分じゃなかろうか。
 オフザピッチでは2児のパパ。家族を大事にする(そしてインスタに載せまくる)ブラジル人選手の中でも屈指の家族愛を誇り、結構娘か奥さんと写っている写真が多い。ボビー自身はオンザピッチでの地味な献身とは裏腹に、80年代アメリカンロックスターっぽい派手めなファッション。


No.10 サディオ・マネ

 はにかみ笑顔と他の選手のゴールセレブレーションのパクリがチャームポイントな、リバプールの新たな10番。リバプールは嫌いだけどマネは嫌いになれない、みたいな人もいるんじゃなかろうか。マネかわいい。
 去年からサラー、ボビーとの3トップで鳴らしていたが、今シーズンはより一層脅威を増した。特に印象的だったのが、「こいつ本当に175cmか」と思うくらいの高さから繰り出されるヘディング。ジャンプ力ぅ…ですかねぇ。昨シーズン20ゴール中2ゴール(10%)だったヘディングでのゴールは、26ゴール中7ゴール(26%)と急増。逆サイドに覚醒したアレクサンダー=アーノルドがいるのもあるだろうが、ほとんどのゴールがエリア内どフリーで叩き込んでいる辺り、彼のオフザボールの動きの向上なのでは?と勝手に思っている。サラーに集中していたフィニッシャーの役割を分け合ったのが大きいんだろうけど。マネかわいい。
かと言って「自陣からボールを運んでカウンターの起点になる」「ブロック敷かれたら間に入って受ける」など去年から行なっていたチャンスメーカーの業務も疎かにしなかった。しかも大きな怪我なくシーズンを終えて稼働率も高めという完璧っぷり。よくボビーを指して「替えがきかない選手」という声は聞くが、マネもかなりの重要人物である。「サッカー通ぶりたいマン」としては同志諸氏に「時代はマネですぞ。」と声を大にしてお伝えする次第だ。マネかわいい。
ともあれ以前からハードワークでチームを支えてくれたマネの個人タイトルはファンとしても嬉しい限り。おめでとう、我らがNo.10。マネかわいい。
 控えめで照れ屋っぽい性格だからか、去年はクラブの公式動画で「サディオはぼっち」とサラーにいじられたことも。(その割には楽しそうに色んな選手に絡んでる)今年はザルツブルグでいっしょだったナビ・ケイタが入団。頼れる兄貴として英語に苦戦するケイタの世話を焼くなど、今まで見せていた愛されキャラ的側面とはまた違った顔を見せた。あと1週間に20回以上はお母さんに電話をかけるらしい。マネかわいい。


No.11 モハメド・サラー

 通称「モー」「エジプシャン・キング」押しも押されもせぬリバプールのエース。寒すぎるせいか、冬は基本萌え袖。結構乙女なポージングで写る写真もあるため、筆者は(真面目なKOPにバレないよう物陰で)「サラ子」と呼んでいる。だってこのヘッダーの画像とか、サークルの先輩にお兄ちゃんとかいる?って言われた後の「すごーい、なんでわかるんですかぁ?」的なやつでしょ。
 「不調」だの「自己中(この文句は見当はずれだと筆者は思っている)」だの色々言われながらも2年連続プレミアリーグ得点王に輝き、アシストランクトップ10に入っている辺り、流石はびっくり人間。とはいえ年明けて2月辺りは本っっ当にゴールが遠かった。そもそも物理的にプレーしてる位置がゴールから遠いとか、サラ子は囮でフィニッシャーはマネみたいな試合もあったが、GKとの1対1を外したり、ポストやバーに嫌われたり、「not his day」な感じの外し方が多かった。メディア(というかギャリー・ネビル)にとっては格好の批判の的だったろう。そんな批判だの懐疑的な声を黙らせたのがこの一撃である。

このチェルシー戦での一撃以降も、脳震盪によりCL準決勝2ndレグは休んだものの、ゴールとアシストを量産。悪友のロヴレンの殺し文句じゃないが、「世界最高のウィング」と称しても疑いの余地はないだろう。
 いくつもの個人賞をとり、いるだけでマージーサイド地域の人種差別や宗教差別などに端を発するいわゆる「ヘイトクライム」を減少させ、TIME紙の「影響力のある100人」に選ばれ、名実ともに世界的スターとなった。でも奢るようなところがなく、かといって変に気取った感じもないのがサラ子の美徳。ロヴレン曰く、靴の履き方がだらしないらしい。それを指摘されてる時もかかとを潰して履いていた。
リーグ最終節後、家族をアンフィールドのピッチに招き入れたところ、娘のマッカちゃんがKOPで埋め尽くされたゴールに向かってドリブル。見事得点を決め、優勝を逃してやるせない気持ちだったKOPたちのテンションをV字回復させた。マッカちゃんもお父さん同様「ハピネスメイカー」かも。むちゃくちゃほっこりするから他サポの人もぜひ見て欲しい。


No.15 ダニエル・スターリッジ

 今季限りで契約満了、リバプールからの退団が発表された元イングランド代表ストライカー。‪2013-2014‬シーズン、スアレスとのコンビ「SAS(Suarez And Sturridge)」で名を馳せたスターリッジさんも、クロップ政権下ではフィルミーノの後塵を拝してベンチに降格。今季はオリジよりも序列を下げ、ついにアンフィールドに別れを告げることとなった。
 プレシーズンでの仕事ぶりを見たクロップ先生が、「今シーズンのスターリッジはヤバい。どれくらいヤバいかっていうとマジヤバい」と証言するのは割と毎年のこと。「ボジョレー・ヌーヴォーみたいなもんだろ」とタカをくくり、今回もリップサービスかと思っていた。だが蓋を開けたら開幕戦出場時間3分にしてゴールを奪い、その後もいくつか重要な試合でジョーカーとしての責務を全う。たしかにヤバかった。
 いよいよクロップ政権下でも再びスポットライトを浴びるか、、、と思いきやカラバオカップのマンチェスター(水色)戦を最後に、快音は途絶えてしまった。「ケガの多いスペランカー体質」の代名詞のように扱われ、常に「もし彼が健康体なら」と言われ続けたスターリッジさん。振るわなかった今シーズンに限って、大きなケガが無かったというのは実に皮肉なものだ。
 「イチローくんは記録に残る選手、僕は記憶に残る選手」と己を称したのは、元阪神タイガースの新庄剛志だ。彼と同じくスターリッジさんもまた、記録より記憶に残る選手だった。不器用でプレーの幅は決して広いとは言えない選手だったが、それでも彼がここぞの場面で叩き込んだゴールの数々は鮮明に記憶しているし、そのゴールで助けられた瞬間も決して忘れないだろう。クロップ政権前からリバプールを支えた彼がいなければ、今季のビッグイヤーもリーグ優勝争いも夢物語だったかもしれない。さらばスターリッジさん。ケガに気を付けて新天地でもクネクネダンスを見せておくれ。
 UCL優勝後、チェンバレンを連れ立ってまっすぐダンスフロアへ向かった、生粋のパーリーピーポー。ダンスフロアでもクネクネダンスやるんだろうか。チャラいヤンキーっぽいが、退団に際してチームはもちろん、ファン・サポーター、クラブハウスの調理師に至るまで感謝を述べていた。根は律儀なんだと思う。


No.24 ライアン・ブリュースター

 U-23チームを主戦場とする若手ストライカー。今シーズンはくるぶしの手術でほとんどを棒に振ったため、いわゆる「見てない。がんばれ」枠。
だが何気にUCL準決勝2ndレグと決勝にベンチ入りするなど将来性は見込まれている。U-17W杯でイングランド代表のエースとしてブイブイ言わしたポテンシャルが来季こそ花開く…といいな。
 チェンバレンを中心に色んな年上たちに可愛がられている印象。リバプール公式も彼が好きなようで、ドッキリのターゲットに選ぶ。やたら警備員のおっちゃんにダル絡みされるブリュースターを、ゴメスとロバートソンが陰で見てニヤニヤするという代物。露骨にイラついてる様がめっちゃリアル。


No.27 ディヴォック・オリジ

 今季ヴォルフスブルクからレンタルバックしたベルギー産のもじゃもじゃ。シーズン前、全KOPがこの男に足を向けて寝れなくなるなど誰が想像しただろうか。俺?いや全然想定してなかった。なんなら冬の移籍市場で出ていくんじゃないかと思ってた。歳も歳だし「出場機会欲しい」って言って出てくと思ってた。正直すまんかった。
 フィルミーノのような器用さはぶっちゃけない。WGで起用されたりするけど、サラーやマネのようにマルチに活躍できるわけでも攻撃→守備の切り替えをスムーズにできるわけでもない。だが「持っている」。むちゃくちゃ「持っている」。リーグ戦第14節エバートンとのマージーサイドダービーの劇的ヘッド(笑)を皮切りに、UCL準決勝バルサ戦2ndレグの2ゴール、UCL決勝を友人とHUBで見ていたが、このゴールを見た瞬間口をついて出た言葉が「オリジはできる子!」だった。その時周りの人に「ほれ見ろワイは信じとったで」みたいな顔してたけど、ぶっちゃけ期待してなかった。正直すまんかった。
 似たような「記録ではなく記憶」「一打にかける男」系ストライカーのスターリッジが退団する来季は、フィルミーノに次ぐ第2FWとしての役割が期待されている。レギュラー扱いでの移籍オファーもあるらしいけど、個人的にはスペースが空いてきた試合終盤の切り札として残ってほしい。何気にシュート上手いし、185cmのサイズとスピードも次に彼がピッチに立つときこそは、期待をもって言ってこう言うつもりだ。「オリジはできる子」だと。
 インスタはビジュアル重視で「映え~」な写真が多い。いいちこのポスターみたいな写真が並ぶ。フランス語がわかるのでナビ・ケイタと仲良くしているみたいだが、ケイタにしばしば物を隠されるらしい。(マネ談)


監督:ユルゲン・クロップ

 ついに、ついに、ついにUCLのトロフィー(ビッグイヤー)を手に入れたメガネのおっちゃん。率いたチームに男子校のような一体感とやる気をもたらす、贔屓目抜きで世界屈指のモチベーター。試合後に選手とハグする姿はまさにスポ根ドラマの「先生」そのもの。名前を略すと「JK(Jürgen Klopp)」だけど、下手に「JK」を謳うアレなお店なんかより、クロップ先生のハグのが遥かに元気にしてくれるんじゃないか。
 UCL圏内の4位に入れたら御の字だったリバプールを建て直し、プレミアリーグ優勝のあと一歩まで迫り、ビッグイヤーまで掲げちゃう強いチームにした張本人。就任以後の功績を挙げればキリがないが、今年はスカッドに恵まれたこともあり、「戦術家」としての手腕をフルに発揮。一時期バズワードになった「ストーミング(≒統制のとれた一揆衆による夜討ち)」のパイオニアとしても名を上げた。だが、今季のリバプールは代名詞である「ゲーゲンプレッシング」をそこまで乱発しなかった。むしろ自陣後方からボールを繋いで攻める回数のが多かったかもしれない。
 まずプレミア中位以下のチームを中心に「ボールを持たせとけばOK」という共通認識があったのが理由の一つか。なんならシティまでアウェイ戦では「バス停め」を敢行する始末。そのため得意のカウンターではなく、ボールを持った上での攻撃も向上する必要があった。
 また、正月もリーグ戦があり、国内カップ戦が2つあってUCLもあるというキツすぎるスケジュールも影響しているだろう。何度もアクセル全開でボールを狩りに行くサッカーを繰り返していたら、去年までのように野戦病院になる。なのでテンポの遅い攻撃も織り交ぜるようにしたのかもしれない。
 そのためにクロップ先生は、両IHをサイド目一杯に張ってWGを内寄りでプレーさせたり、4-3-2-1を導入してシャキリを起用したり、ファビーニョをアンカーとして置いたりと試行錯誤を繰り返し、結果としてチームの戦い方の幅を広げた。ゲーゲンプレッシングだけじゃないリバプールだからこそ、今季ビッグイヤーを掴めたのだろう。JKサイコー。
 試合前後の記者会見で色んな語録を残すことで有名だが、その中でも筆者が震えたのは、UCL準決勝2ndレグの前のこれ。

世界最高のストライカー2人(サラ子とボビー)を失った状態でバルサ相手に4点以上というトンデモタスクを前に、クロップ先生はあろうことか「ダメだったとしても美しく散ろう」と半ば諦めにも聞こえるコメントをした。だが苦境から目を背け「4点くらい返せる」と虚勢を張るより、「困難なミッションなんだし、せめて負けても悔いなく」と言われた方が気持ちは軽くなる。すると当日、選手たちはおろか、アンフィールドに押し寄せたKOPも「どのみち無理難題なんだから、やれることをやる」と割り切ったかのように士気を上げた。個人的には隠れた名スピーチだと思っている。
 サラーがTIME紙のパーティにお呼ばれした時、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でおなじみ世界的女優エミリア・クラークと話をしたと聞いて羨ましかったのか、「モーが呼んでくれたら俺もそのパーティ行ったのになあ」とこぼしてたきた。こういうギャグを差し込んではオヤジっぽい高笑いをかます辺り、高校のやたらテンションの高いおっちゃん先生っぽい。ともあれ先生、初のビッグイヤーおめでとう。そして最高の歓喜を何度もありがとう。来季はプレミアとろうね!


コーチ陣は、野戦病院化防止に尽力しMVP級の活躍をしたコンディショニングコーチのコルンマイヤーとか、「オランダ生まれFCポルト育ちビトール・フラデも俺のメル友」なトレーニングメニュー作成担当ペパイン・ラインダースコーチ、「クロップの目」と称される分析官ピーター・クラヴィッツ、GKコーチやスローイン専門コーチの話もしたいが、キリがないのでここらでお開き。最後はYou'll never walk aloneでお別れです。それではまた来季。

間違えた、こっちだ。


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