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主食がたべっ子どうぶつでも愛せる?

味も量も見た目のたのしさも含めて、たべっ子どうぶつが好きだ。数年前だったか、一時期思い出したかのようにたべっ子どうぶつを食べ出してからというもの、定期的にファミリーパックを買っては食べている。

今日の夕ご飯は、玄米ご飯と納豆とスーパーで買ったお刺身にした。お味噌汁もあった方がいいけど、めんどくさがって省略してしまった。いい加減に力を抜いているところが、一人暮らしの夕飯って感じだ。

テレビ番組を観ながらご飯を食べ進めて、食べ終わると、たべっ子どうぶつのファリーパックから1袋を取り出して開封した。今日買ったばかりのファミリーパックには、まだたくさんの小袋が入っている。

左手に開封した袋を持ち、どうぶつの形を模したビスケットをつまんで、ひとつずつ口に運んでいく。ほどよい甘さとサクサクとした軽い食感がうれしくて、指が自動化したみたく袋と口元とを往復する。

ビスケットを口に入れ続けながら、一時期、たべっ子どうぶつが主食みたくなっていた時期があったことを思い出した。

食後や食間のおやつだけじゃなくて、たべっ子どうぶつをお昼ご飯や夕ご飯がわりに食べていた日があった。1日だか数日だか忘れてしまったけれど、そのときは仕事が切羽詰まっていて、そうやってお菓子を食べることがストレス解消みたくなっていた。


角田光代さんの「太陽と毒ぐも」という短編集にも、お菓子をご飯がわりにする女の子とその恋人の話がある。その女の子はわたしよりも重症(?)で、たしか日常的に朝昼晩の三食をお菓子にしてしまうような人だった。一方で、恋人はそれが許せない。そんなふたりの話。

いまのわたしは一人暮らしだから、食後にお菓子を食べようが、昼ごはんや夕ご飯をお菓子にしようが誰も不快にはしないけれど。いつか恋人と同棲だとか、誰かと一緒に暮らすとなったら、どうだろう。

考えてみたら、夕食に“料理”を食べている人のすぐ横でとなると、お菓子を食べようとも食べたいとも思わない。ただ、逆に恋人とかパートナーが自分の隣でお菓子を夕食にしてたら、決していい気はしない。相手の身体や体調を心配するし、「お菓子じゃなくてご飯食べて」と口を挟んでしまいそうだ。

相手がお菓子を主食にしていたら止めたくなる。そのくせして、もし自分がお菓子を主食にしたくなったら、負けずに「食べたい」と主張したいなとも思う。わたしはたべっ子どうぶつが食べたいの!たべっ子どうぶつを主食にする人間を愛してくれるかはわからないけど、せめて意思表示はできる関係がいい。


お菓子を主食にするとか、ひとりごとが多いとか、韻を踏んでくるとか。嫌のレベルにもよるだろうけど、好きな人の変なくせって、憎いだけじゃなくて、一周まわって愛おしくもある。鼻につく嫌な部分は強烈なぶん、“その人らしさ”をより強く感じさせるんだろうか。それでもやっぱり、人間だもの。許せない部分のひとつやふたつ、あって当然。許せなくとも愛してくれる人だったらいいけれど、そんなに簡単にうまくいくものでもないのかなあ。




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