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(本)「毒ヘビのやさしいサイエンス 咬まれるとアブナイ話」

・本書は、ヘビ毒の研究を行ってきた世界的に著名な研究者である著者を中心に、毒ヘビにまつわる疑問に対して、わかりやすく解説した1冊。

・地球上には、約3400種類以上のヘビが生息しており、そのうち毒ヘビは約700種類いるといわれている。毒蛇は長年の間に環境の違いにより、無毒のヘビから徐々に進化してしたものと思われる。

ヘビ毒の正体について
・毒ヘビの毒はと死に至る可能性があり、毒殺や自殺に使われるシアン化カリウムより100倍毒性が強い。

・ヘビ毒は毒ヘビの唾液で、多くのタンパク質から成り立っており、その数は50〜60種類あるとされている。

・ヘビ毒はヘビの「毒嚢」という中に入っているので、ヘビの血液中に毒が入り、血液と一緒に循環してほかの組織へ行くことはない。なので、ヘビは自分の毒で死なないのだ。

・ヘビ毒には、神経毒、心臓毒、筋肉毒などさまざまな種類があり、その作用はいろいろである。毒ヘビに咬まれて死ぬ大半の原因である神経毒は、ヘビ毒のなかでもっとも毒性が強く、神経と筋肉組織のつながっている部分に作用して、神経を通じて送られる電気信号を筋肉に伝えるのを阻止してしまい、結果として筋肉が麻痺し、手足だけでなく、呼吸するのに必要な横隔膜も麻痺するので、呼吸ができなくなり、呼吸困難や呼吸停止に陥る。

ヘビに咬まれたときの処置法は大きく分けて、
①医師がおらず、自分で応急処置をしなければならない場合
②病院で治療が受けられる場合
の2つがある。

・ヘビに咬まれたときには、特定の抗毒薬である血清のみが有効であることを念頭にいれておくことが大切。ハブに咬まれてもコブラの抗毒薬を使っては効き目がないのだ。適切な治療を受けるためには、なるべく早く病院に搬送することが重要だが、毒ヘビの咬み傷は病院へのアクセスが悪い場所で起こる場合も多い。

毒ヘビに咬まれた時の対処法
①まず、慌てずに毒蛇かどうかを確かめる。ヘビの種類がわからなくても、毒ヘビなら牙の跡がふつう2本(1本あるいは3、4本のときも)あり、マムシ科の毒ヘビがあれば数分で晴れてきて痛む。
②毒ヘビとわかったら、大声で助けを呼ぶ。激しく動くと毒の周りが早くなるので、車で病院に運んでもらうか、ゆっくり歩くようにする。
③病院まで時間がかかる場合は、傷口より心臓に近い位置をタオルなどで指が1本通る程度にゆるく縛る。血液の流れを減らす程度に縛る。恐怖心から強く縛ると血流が止まり、逆効果になることもある。15分に1回ゆるめる。

・万が一毒蛇に噛まれたときにまず覚えておきたいのは、コブラ科以外のヘビに咬まれて死亡する確率は低いということである。興奮して動き回ったりすると、体内に毒が拡散しやすいので、かえって危険。日本のマムシや、羽生、アメリカのガラガラヘビは神経毒成分が少なく、毒作用は比較的緩慢であるから、落ち着いて行動すれば助かる。(半日〜1日後でも遅くない)

本書では、「毒ヘビがどんな生き物でどんな種類がいるか」「ヘビ毒の正体」「ヘビに咬まれたときの対処法」「ヘビ毒の利用法」など、知られざる毒ヘビの実態が紹介されている。

※毒ヘビのトリビア「毒ヘビは本来おとなしい生き物」「ヘビ毒からの薬にまつわる話」なども面白いです。

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