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刑部登志子「最高の死に方」はそんなに難しくないみたい

・本書は、子どもの頃から50年以上高齢者を見続けてきた高齢者の生活設計のプロフェッショナルであり、訪問看護師でケアマネージャーの著者が、2000人の最期に寄り添った経験から、死を恐怖としてだけではなく、前向きに捉える姿勢、そして自分の使命を果たしていくための考え方をお話しした1冊。

・幸せに生きる条件とは、「学ぶ」「遊ぶ」「働く」「選ぶ」の四つが満たされていることが必要だと著者は考えている。

・高齢者の中にも、英会話やパソコンやスマートフォンの使い方など、いろんなことを学びたがっている人はたくさんいる、何かを知ることで喜びを得るということは、若い限らない。子どもの頃、学校で無理やり机に向き合わされても面白くなかったという人は多いと思うが、勉強のない環境での学びの機会はすこく貴重。「常に自分を高めていきたい」という気持ちは、何歳になっても変わらない。

・遊びは心を解放してくれるもの。高齢者の方でも、カラオケ、ゲートボール、読書、麻雀、将棋など、たくさん思いつく。自分の好きなことであれば何でもいいと思うが、一定のルールがあり、自然と真剣に取り組めるものであれば理想的。そうした遊びは楽しむだけでなく、学びにもつながり、脳を活性化させたり、感情を落ち着かせたりする効果がある。対外的な能力も育つし、体力増進にもつながる。そうした時間が、やる気や生きがいを見つけるきっかけになることもある。ただ、遊びなので、何かの役に立てようと考えなくてもいい。日常の中で、仕事や勉強から離れて、無責任に楽しめる時間や、ゆとりのようなものが大事であると著者は考えている。
※「働く」「選ぶ」が必要な理由については、本書をご覧ください。

・人生の幸せを考える上で、必ず関わってくるものがお金。著者が関わったある高齢女性は、先に亡くなられたご主人から大きな財産を相続していたが、2人の娘さんはその財産が原因で、姉妹の中は非常に悪かった。それは、お母さんが亡くなるまで変わらず、はっきりとした遺書や遺言もなかったので、相続については相当もめたとのこと。そんな姉妹は、70代を過ぎた頃に病気になってしまったが、それでも和解しようとせず、自分の残り少ない人生を争いにしか使わなかった。著者は、こうした家庭をすごく貧乏だと感じている。お金があるがために、貧乏になってしまう。それだったらお金がないほうがいいのではないのかとさえ思う。

・本書では、著者が関わった方々のエピソードを収録した「最期の時間の過ごし方」、幸せに生きる条件について事例を交えて紹介した「幸せの形とは」、「死」について深く考えさせらることが書かれた「すべての選択が正しい」、お年寄りの優しさについて語った「触れ合ういのち」、「どのように生きればよいか」について考えさせられる「人生を生き切るために」の合計5章で構成されており、タイトル通り、「自分にとっての最高の死に方とは何か」を考えるきっかけになる内容が書かれている。

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