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備忘録メモ 誰も触れない中国のサイバー能力

じばらく前から関係者や専門家にお目にかかるたびに質問しているのに、誰も明確な答えを持っていない問題がある。あくまで備忘録メモなので説明はしょっています。

ClearviewAIはネットのSNSなどで公開されているデータを収集してAIに学習させ、FBI以上と言われるシステムを構築した。1枚の顔写真から人物を特定し、個人情報や行動等までわかる。ウクライナにも提供された。
ケンブリッジアナリティカはフェイスブックのアプリから個人情報を収集して、アメリカ大統領選での選挙活動に利用した。
いずれもハッキングしたわけではなく、特別な技術や手法を使ったわけでもない。
ClearviewAIとケンブリッジアナリティカが特別な技術やハッキングでシステムを構築したわけではないことは、ほぼ共通した認識と考えてよいと思うのだが、なぜか次の可能性についての議論を見たことがなく、質問しても答えられる人に会ったことがない。

「ClearviewAIとケンブリッジアナリティカと同じことを中国もできるはずである」

すごく当たり前の疑問だと思うので、問題とならないのが不思議だ。
知財やビッグデータの窃取を行っている中国国家安全部(MSS)は膨大な量の情報を迅速に選別し、特定することができると言われている。たとえばリアルタイムの位置情報と他の情報源をマッチングして、CIAの工作員を特定することも可能という指摘もある。
2021年3月のExchange Serverへの攻撃ではLinkedInをスクレイピングしたデータを元にターゲットを特定したと言われている。その後もLinkedInを悪用した攻撃は行われている。これまで窃取したビッグデータやTikTok、テンセント、アリババなどさまざまな中国企業の情報を利用することでより効果的かつターゲットを特定、絞り込んだ攻撃を行えるはずだ。
MSSのサイバー能力は中国の体制再編成と法制度の整備によって拡大してきた。当然、TPPも進化しているはずだが、攻撃前のターゲット特定システムの精緻化を攻撃を受けた側が推定することは難しい。
MSSはアメリカや台湾を始めとして世界各国に知財窃取やビッグデータ窃取などのキャンペーンを展開している。

とても気になるので、近々整理したいと思う。

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