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ロシアのヨーロッパとアゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアに対する情報戦 「In Europe and the South Caucasus, the Kremlin leans on energy blackmail and scare tactics」 #DFRLab_U2nd1

これはDFRLabによるウクライナ侵攻2年目の総括のパート3です。
全体構成は
序章を参照。
2023年、ロシアはヨーロッパ、アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアにおけるデジタル影響工作を拡大した。EUに対しては、ドッペルゲンガー作戦で制裁解除や、ロシアのガスがEUに不可欠であるという主張を拡散した。モルドバでは、ロシアはガスプロムの供給を削減し、親EU政府とウクライナが経済悪化の原因であるかのような話をでっちあげた。
これらの国々では、さまざまな形をとりながらも、最終的にはターゲットとした国の国内に戦争への恐怖を醸成するように仕組まれたナラティブが拡散していた。ポーランドとウクライナでは、ポーランドがウクライナに敵対的な意図を抱いているという偽情報を流すことで、ロシアは両国の協力関係に不和をもたらそうとした。モルドバでは、モルドバ軍とウクライナ軍がモルドバの分離地域であるTransnistriaへの介入を計画しているというデマを流した。

ヨーロッパ全域に対してのドッペルゲンガー作戦が紹介されている。ウクライナを弱体化させることを目的とした、最大かつ最も執拗な対ヨーロッパの影響力キャンペーンである。DFRLab、EU DisinfoLabとQurium Media Foundation、Institute for Strategic Dialoguemなどがレポートを公開している。
キャンペーンは2022年5月に始まった。ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、アメリカ、ウクライナ、ラトビア、リトアニア、エストニアの大手メディアになりすました50以上のドメインが使われた。そこに掲載された偽造記事へのリンクが、主にフェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどのSNSで共有された。このキャンペーンは有料広告も出稿してアクセスを集めていた。
内容は、ウクライナ政府と国民を貶め、対ロシア制裁の解除を主張し、制裁の結果欧州経済が悪化していることを強調し、同盟国にウクライナへの武器供給を停止するよう働きかけていた。

本レポートでは、このあとポーランド、モルドバ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンについて、個別に詳述している。

●DFRLabによるウクライナ侵攻2年目の総括

序章 https://note.com/ichi_twnovel/n/n276580f76ffc
パート1 ウクライナ国内に対するロシアの情報戦 「In Ukraine, Russia tries to discredit leaders and amplify internal divisions」 https://note.com/ichi_twnovel/n/n689b35630899
パート2 ロシア国内監視状況 プリゴジン後のネット監視 「After Prigozhin, Russia clamps down online」 https://note.com/ichi_twnovel/n/n0578afbf9637
パート3 ロシアのヨーロッパとアゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアに対する情報戦 「In Europe and the South Caucasus, the Kremlin leans on energy blackmail and scare tactics」
https://note.com/ichi_twnovel/n/nc5fc96fed79a
パート4 ロシアのラテンアメリカに対する情報戦 「In Latin America, Russia’s ambassadors and state media tailor anti-Ukraine content to the local context」https://note.com/ichi_twnovel/n/nad62ce2dfc8a
パート5 ロシアのアフリカに対する情報戦 「Two-pronged approach to Africa pays dividends for Russia」 https://note.com/ichi_twnovel/n/n9e812531321a
パート6 ロシアの中東に対する情報戦 「Complicated history helps Russian narratives about Ukraine find a foothold in the Middle East」
https://note.com/ichi_twnovel/n/ne3f0507fa308
DFRLabウクライナ侵攻2年目の総括の感想
https://note.com/ichi_twnovel/n/n4605b841d507


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『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
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『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。


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