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アカソ繊維について


イントロダクション

アカソという植物をご存知でしょうか。

アカソ(超シソっぽい)

シソのような葉っぱで、茎が赤い雑草。山林の道路脇に見かけるものなのですが、見覚えないですか?
実はこの茎の皮を干すと、茶色の繊維が採れるのです。かなり丈夫で、下記のようにバッグの模様として編み込みに使います。もちろん紐にして、すべてアカソでバッグを編むこともできます(私はやらないけど)。

左側の作品の茶色で編まれた部分がアカソ。この時は焦げ茶のものを使いました。

私は作品のワンポイントに使っているのですが、このアカソ。
廃林道沿いなど、あまり人の手が入らない、草刈りされないような林道にめちゃくちゃ繁茂しています。
湯西川温泉でも手軽に採れる植物なので、鹿の食害で失われつつある「岩芝」の代わりに使いたい!と試しに採ってみたのですが、これが結構大変で…
まさに「体力が許す限り採る!」が鉄則の、利用もちょっと大変なそんな繊維なのです。でも、皮むきはちょっと楽しいので、ぜひ体験してもらいたいなぁなんて思っていたり・・

みんなで採るよ~
この付近1km以上、アカソが繁茂中。採り放題w

とりあえず、詳しい話は下記から…
(ちなみに私もまったく知らず、去年三島町で教えてもらって、採ってみたログです)

アカソとは(生物学的知見)

アカソ あかそ / 赤麻 赤苧
[学] Boehmeria silvestrii (Pamp.) W.T.Wang

イラクサ科(APG分類:イラクサ科)の多年草。茎や葉柄が赤いのでこの名がついた。茎は数本固まって出て高さ0.6~1.2メートル。しばしば中部付近で枝を分ける。葉は長い柄(え)があって対生し、円形で先が鋭く3裂する特徴がある。縁(へり)には粗い鋸歯(きょし)があり、表面にはまばらに毛があるが目だたない。花序葉腋(ようえき)について雌雄別となり、雌雄とも穂状か、雄花序はしばしば下部で短い枝を分けて円錐(えんすい)状となり、雄花序が茎の中部、雌花序が茎の上部から出る。南千島、北海道から九州低地山地に生育し、国外では東アジアの温帯に広く分布する。有性生殖を行う二倍体と受精しないで種子をつくる無融合種子形成を行う三倍体が知られ、後者は種の分布域全体にみられるが、前者は本州中部日本海側の山地にみられるだけである。近縁のクサコアカソ(草小赤麻)B. gracilis C.H.Wrightはアカソとは葉の先が3裂しない点でしか違わず、分布域もほぼ同じだが、有性生殖を行う二倍体は本州中部の太平洋側と四国の山地、飛んで中国大陸東部の山地のみに知られ、近縁のアカソやコアカソとは明瞭なすみ分けが認められる。これら3種は互いに交雑し、雑種が無融合種子形成を行って繁殖するため、形態的には厳密な区別はむずかしい。中国名は赤麻である。アカソ同様に葉が3裂する特徴をもつ種にメヤブマオ(雌藪真苧)B. platanifolia (Maxim.) Franch. et Sav. ex C.H.Wrightがあるが、これはアカソとヤブマオとの交雑に由来する中間型と考えることができる。アカソよりも葉が大きくて幅広く、表面に毛を密生する点で区別できる。無融合種子形成を行う型のみが知られる。クサコアカソの中国名は細野麻、メヤブマオは八角麻という。
[米倉浩司 2019年12月13日]

コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%BD-814481

たぶん、さっぱりよくわからないと思います。特に後半…
実際採ってみると、なんとなく、”似ているけれど、違うような・・・???”な植物にいっぱい出会います。
湯西川では、アオソ?ともいうそうですが、それがコアカソなのかヤブマオなのか、はたまたこれが本当のアカソなのか・・・
よくわかりませんw
このあたりは、私もざっくりなので、皮が剥けなかったらぽぃ!してます。ざっくりでいいんよ。だって量稼がないと、量にならないんだもの。。。

採り方(私のやり方なので間違いはあるよ)

採れる時期は、一番大きく伸びて、花芽が大きくならない時期。(花が咲く前までだそう)
私は6月中旬頃から、時間をみつけて、せっせと採ります。
7月中旬までは大丈夫そうですが、私は初旬までには終わらせます。

刈り取って、葉っぱを取る(作業日 7月10日)

鎌でザクザクっと刈り取ったら、葉っぱをひらすら取って、茎だけにして束ねます。最終的に使えるのは、全体の1~2%ほどなのです。体力の限界まで、とりあえず確保します。これ、地味に大変。

茎の皮を剥く。剥き方はご自由に。なるべく繊維を長く取るように。

場所を軒先に移動…
ゆっくり座って、ひたすら剥く。
写真奥側にある茶色と薄茶色の繊維は、干したアカソ繊維です。
左側は、水を少し打って→軽く揉んでを数回繰り返したもの。
右側の薄い茶色は、そのまま乾燥させたものです。

剥いた皮。最初は緑ですが…

剥いた皮は絡まないようにまとめ、干します。
太陽光浴びさせて大丈夫です。ガンガン浴びさせましょう☀
乾燥すると半分ぐらいになります。

1回乾燥させたもの。

揉むと絡んでしまう可能性が高いので、「水を打って⇒乾燥させる」を繰り返すと、焦げ茶色に変わっていくそうです。たぶん、タンニンがいっぱい含まれているので、太陽光の兼ね合いで黒くなるのだと思う。やってみて。

利用方法

ちょっと黒くなったやつを紐縒り

アカソで紐縒りはちょっと難しいのですが、できなくもない感じ。
あ、利用する前に、ちょっとだけ霧吹きで水をうすらかけてちょっとだけ柔らかくしておくと、使い勝手が良いです。
全部水につけると、柔らかすぎて扱いにくいです。あと地味に伸縮性があるので、編みこみの際、締まりやすい。

私はバッグの模様として編み込むことしかやらないのですが、ネット民の中には、細く縒って、小さいスマホケースを作っていた方がいましたね…
私はそこまで長く紐を縒りたくないのでやりませんが、細かい作業がお好きな方はぜひ。

麻の代わりとして、昔は幕府に献上した???

なんて話が、お隣の三依地区で教えてもらいました。
三依地区は今では栃木県日光市の仲間入りですが、昔は会津幕府の管轄。
文化もちょっと、会津に近いんです。イジッコも残ってますし。。。
(今は那須塩原よりな感じですけどね・・・)

ちなみに縄文時代は、どの地域でも利用されていたそうです。
すごいな アカソ。

お手軽に採れる植物繊維の一つとして

岩芝が採れなくなっている今。
手軽に採れて使える繊維は、とてもありがたいです。
福島県三島町でも、経糸は岩芝(ヒロロ)にするものの、編み込みはすべてアカソという作品もいっぱいあります。
茶色なので可愛いんですよね~普段使いにも良さそうですし。

個人的に、「草採りから全部やってみたい!」という奇特な方が現れたら、アカソを勧めようと思っています。

湯西川温泉まで梅雨時期に来てくれて、一緒にアカソ採って、バッグまで編んでくれる方。
随時募集しております。DMください。

- ichico -


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