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半分思い込み^^な「日本人女性」演じるの疲れた理由

先生 おげんきですか~~~?

 初日の日本語教室にて話しかけてくる、韓国人オジサマ。「はい^^元気ですよ。」と爽やか風な笑顔で答える私。しかし、、、心の中では、「あぁ~~またか!」とうろたえてしまう。

 日本語が分からなくても、「おげんきですか?私は元気です」を知っている韓国人中年男性は多い。なぜなら、この言葉は、↓↓1995年中山美穂主演、岩井俊二監督の映画「ラブレター」の中に出てくる有名なセリフであるから。彼ら、おじさま方にとって、憧れの君が発したお言葉なのである。

 今でこそ、日本のドラマや漫画、アニメ等の文化が韓国人に浸透しているが、80年代までは、かつての敵国であった日本の大衆文化は、公式的には一切入ってこなかった。日本文化を受け入れ始めたのは、90年代から。それも段階的にだ。当時はまだ「日本」を受け入れることに、抵抗が少なからずあったということである。

「ラブレター」は、日本映画が入ってきたばかりの頃、上映され話題になった作品である。日本的で、静かなラブストーリーの世界観。そして、ひとりの男性を想う、純粋な主人公役を演じた中山美穂ことミポリンは、今は立派なオジサマとなっている、当時の韓国人青年らの心をがっつり掴んだ。そう、韓国人男性の「日本人女性」に対する憧憬というか幻想が始まったのだ。

 あれ??デジャビュを感じる人いらっしゃると思う。そう^^韓国ドラマ「冬のソナタ」。日本人奥様方の心をがっつり鷲掴みにした「ヨン様現象」と、とても酷似している(笑)

 韓国語を話す韓国人男性は、みんな「ヨン様」に見えちゃう!韓国人オジサマも然り。日本語を話す日本人女性は、容貌がまるで違っても、ミポリンとダブってしまうのだ。それに加え、日本のAV文化も広まったおかげで、規格化された日本人女性像が定着してしまっている。

 その心情は理解できる。私も若い頃アメリカドラマ「Xファイル」にハマり、あの知的でイケメンなモルダーの魅力にメロメロ、アメリカ人男性はみんな、ああなのかとカッコよく見えていた。

「可愛らしい」「純粋」「優しい」「男性に尽くす(いろいろと)」日本女性にこんなイメージを持つ韓国人オジサマ。もちろん、そういう日本人女性が多いのは否定しないし、典型だろう。しかし「規格外」もまた存在するのだ!そう、私がその代表的例である。(笑)

 先生、「ラブレター」観ましたか?

 何度、訊かれただろう。多くの韓国人に話を振られるため、いちおう観たことは観た。しかし、もともとこういうジャンルには興味がないため、展開を追っていっただけで感情移入もできず、ハマりもしなかった。

 「ラブレター」の話をしながら、ときおり、遠い目をするオジサマ方。40代後半から上の世代の韓国人男性には、大酒飲みで男気があり、威風堂々なそんなイメージが強いのだが、意外や意外^^とてもロマンチックな方が多い。

 彼らオジサマが若かった頃は、女性の「貞操」概念がまだ強くあった時代。そのため、その世代以上の韓国人で豊富な恋愛経験を持っている人は少ない。結婚後、相手に満足している場合、問題はない。それでは、相手が自分の求めていた「理想の女性」像と大きくかけ離れていた場合、どう解釈するか(笑)

 これは、あくまで私の推測である。豊富な女性経験を持つ男性であるならば、結婚すればどんな女性も似たり寄ったりだと悟るだろう。(逆も然りだと思う)しかし、女性経験が浅い男性だと、「僕はたまたま運が悪かっただけ。きっとどこかに理想の女性が存在しているはずだ」と思うのではないか?(どうなんでしょう??男性の皆様ご教示ください^^)

 こういった背景で、理想郷を求めるロマンチックな韓国人オジサマは一定多数存在し、かつ、その矛先のひとつに、若い頃観た、あの「ラブレター」のピュアな世界観と、これまたピュアなミポリンが存在している。それは日本人女性への甘い憧憬へとつながる。思い込み半分な理屈だが、多くの韓国人オジサマと接するうちに、密かに確信している次第だ。(笑)

 その理屈がもし合っているとするなら、それは、オジサマにとっての希望であり生きる支えになってるかもしれない。(ちょっとオーバーか??)そんなことを思うと、彼らの前で、「日本人女性」として失態を起こすわけにはいかないのだ。

 結果、ミポリン信者だろうと思われる遠い目をする、韓国人オジサマの前では、なるべく「優しい日本人女性」を演じることにしている。わずかに微笑みながら、彼らの話になるべく反することなく、耳を傾け、あいづちを打つ。

 しかし!!先述の通り、私は規格外の女だ。無理をしたせいか、彼らと接した後は、どっと疲れる。うちに戻り鏡を見ると、作り笑いをしたせいか、目じりの皺が一段と深くなっている。だが失態を犯し、彼らの美しい世界を破壊するよりは、よっぽどマシなのだと思ったりする。

 有名人のスキャンダルや大きい話題(結婚や恋愛など)が単なるスキャンダルに終わらないのは、それで深いショックを受ける人達がいるからだと思う。対象に対する「恋慕」や「憧れ」の情は膨らんでいく。得てして、それが彼らの「生きる支え」になることもあるだろう。そんなことを考えると、結婚と共にスッパリと引退し、一切表舞台に出てこない三浦百恵さんなどは、これ以上ないファンサービスをしていることになるだろうし、惜しまれる中で引退した安室奈美恵さんにも、そういう思いがあったかもしれないなどと思ったりする。

 上手くやれているか分からないが、最大限の配慮をしている私。しかし実は、ひとりの韓国人男性の「日本人女性」に対する憧れを見事にブチ壊した前科者である。そう、夫だ。彼は、周りの人に「日本人女性」観がいかに歪曲されたものなのかを、「洗脳」を解いているという。

 いやいや勘違いしないでほしい。「あなただけが、宝くじレベルの確率で(笑)ハズレをひいたんだから!」大方の日本人女性は、可愛らしく優しく気立てが良いはずだ。(ですよね?)悪いことは特にしていないつもりだが、夫には何だか申し訳ない気持ちになってしまう。犯した罪の償いのためにも、他のミポリン信者の皆様には配慮していかなければ!(笑)

 ここで少し脱線するが、韓国人オジサマの多くが好んで観る日本のドラマがある。それは「深夜食堂」だ。あの兄貴然とした食堂のマスターが醸しだす、義理人情な雰囲気。そして深夜に訪れる、ちょっと訳ありなお客との会話と懐かし気な家庭料理。義理人情にとても弱い、そんな韓国オジサマたちのツボに、直球ストライクでハマったドラマである。韓国では、ほぼ知らない人がいないほど、「深夜食堂」はメジャーになった。だもんで、それをコンセプトにしたような居酒屋も多くできている。

 さて、本題に戻る。時は流れ、今の学生世代にとって「ラブレター」は、親の好きな、ひと昔前の映画でしかなくなった。恋愛や結婚観も変わり、おそらく「日本人女性」幻想も薄らいできていると思う。

 だが、韓国人オジサマによる幻想の翼は、さらに空高く羽ばたいている感じがしている。私は韓国ネイバーブログにて「日本人食べ歩き日記」の記事を書いている。そこで、知り合った韓国人オジサマブロガーのひとりは、大の日本通(多分この方もミポリン信者)。彼は日本ドラマや映画も好んで観ているのだが、先日、彼のブログにて、おすすめ日本ドラマの紹介をしていた。それは、、↓。

 ネトフリにて放送されていたため、私も観た。なるほど!この居酒屋の女主人である美音と、あの常連客たちとの義理人情あふれるやりとり^^これまた、韓国人オジサマに好まれる要素が盛りだくさんではないか。

 漫画原作のようであるが、この主人公「美音」を演じる女優さんが、また魅力的だ。ウットリしたような表情に、少しばかり翳のある哀愁さに色気を感じさせる。しかも胸が大きいときている。これはこれは!!ポストミポリンになるかも知れない。加えてドラマの中じゃ、お客の好みに合わせた料理も作ってくれるというではないか!

 全くもって不穏な動きである。「日本人女性」の幻想を助長させてしまう可能性大だ。最後の決め言葉「これであなたもぼったくり^^」は、ポスト「おげんきですか?」になるやもしれぬ。

今回の可愛いイラストは、yumenotamagoさまのものを使わせていただきました^^ありがとうございます!

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