「ラブレター代筆」1996年秋くらい

僕が小学二年生のときのことだ。昼休みにタイヤ山で遊んでいたところを同じクラスの女子、Yさんに呼び出された。
 正直どきどきしていた。恐怖的な意味でである。このときの僕に女性に対する興味関心は皆無だった。別の班だし、話したこともあんまりないのに何の用だろう。なんか怒られることでもしたっけかと思いながら教室に戻った。
 「これ読んでみて」
 Yさんは会うなり、レターセットのようなものを渡してきた。
 

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【連載小説】40歳のラブレター(5)

南関東の9月の半ばはまだしっかりと夏で、僕はあなたに電話して、話があるので今から行っていいかと聞き、いいよと言われたので、小一時間くらいであなたの家に車で迎えに行き、あなたを乗せて湖に行きました。すぐ近くの。

9月の平日の堤防にはほとんど人がいませんでした。そもそもが閑散とした特に取り柄のない湖で(生活のために役に立っている、という以外は)、何か観光施設があるわけではないし、散歩をするくらいしか

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息子たちへのラブレター。

長男が生まれた時はキャッキャ言いながら(分刻みで!)写真を撮り続けていた私なのに、悲しいかな次男の写真は長男の半分も撮れていない。

理由はふたつで、ひとつは「走り回る長男を、次男を抱っこしながら追いかける」構図がデフォルトであるためにカメラを向ける先が長男に偏ってしまうこと。

もうひとつは、長男の方が言動のバリエーションが豊富なのでシャッターチャンス(と思われる瞬間)も必然的に多くなってしまう

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大好きな、あなたへ。

大好きでたいせつな幼なじみが先日結婚した。

かのじょとは幼稚園からの付き合いで、20年以上の付き合いになる。

大人になるにつれて小さな頃のようには会えなくなったけど、それでもわたしの中では一番の友達だ。

冗談で

お互いの結婚の時は、友人代表スピーチしよう!

なんていってたら、本当にお役目がまわってきた。

数少ない、わたしのたいせつなともだち。かのじょのことが誰よりたいせつで誰よりも幸せ

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【連載小説】40歳のラブレター(4)

僕の気持ちが大きく大きく揺れたのは僕が4年、あなたが2年の夏の菅平での合宿だと思います。前に進もう、と思ったのは。

菅平。結局僕はそこに5回行ったわけですが、ロクな思い出がありません。これは、僕だけでなくて、僕らのサークルの人は全員そうでしょう。とにかく飲み過ぎ、馬鹿騒ぎしすぎです。毎回。

ジャックダニエルのボトルと、そのボトルに麦茶を入れて、飲み比べをして、「おまえはすごいな!」と叫びながら

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臍帯

燃やしてしまうかも
あなたの広げた手の 指先を

小指に糸を結びつけて
ガソリンの重たい香り湿らせて
わたしが指先で摘んだ糸端から
マッチで着火

同じ人間ならわかるのに  違う人間だからあなたとは思考が溶け合えない

「燃やすよ。」
ゆっくり火を着けて
赤い糸
目に見えぬから
求める
「遺伝子?」
そう、配列
血の煌き
赤の
燃える
融けた ふたつの体温

拝啓、たまごへ

たまごがすきだ。

すきなたべもの、絶対たまごって答える。

いつからこんなにもすきなんだろう。
牛丼でもラーメンでもおつまみでも
絶対的に無くてはならない存在。

以前、サブウェイで働いていたときも
たまごのサンドイッチを頼む人には
「おいしいですもんね、たまご」
とテレパシーを送っていた。
たまごがすきな人に悪い人は
居ないんじゃないかな。

茹でても、焼いても、ぐちゃぐちゃにされた姿でも、あ

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何とかしてなかったことにしたい

高校の頃、恋をした。完全なる片思いで相手は同じ中学の同級生の男の子だった。髪の毛がサラサラでマウンテンバイクに乗って登校している長い睫毛とハンドルを握る腕が素敵と好きになってしまった里見くんは同じ中学でもクラスは別で話したことはなかった。高校は別で通学時間帯が同じだったから途中まで通学路も同じで朝よく見かけるうちに『好き』と思うようになった。

あの頃の思考回路をどうにかしたいのだけど、手紙を書い

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6月18日の思い出

昨日は映画のあとで飲みに行ったので二日酔い気味。
会う人会う人に、アラジンの感想を話して、一方的にアラジンの血液型を考察したりなんかした。

「血液型性格診断」みたいなものって、日本だけの文化のようだけど、どうなんだろうね。実のところ、私はまったく信じていないんだけど(冗談として話す分には面白いな、と言ったところ。)、血液は肉体の大きな部分を占めているんだから「人格に何か影響をおよぼしていてもおか

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【連載小説】40歳のラブレター(3)

だから、僕があなたに好意を持つようになったのは、結局のところ成り行きで、サークルにあなたが来るたびに、僕の車に乗っていくようになって、一緒に音楽を聞き、なんと言うことのない話を重ねて、次第に、ということになります。確かに普通に考えれば、週に2、3回も車であちらこちらに行っていたら、そうなるのは自然なところではありますね。

そもそも僕も、あなたのことをいいなと思わなければ、そこまではしていなかった

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