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今までの努力を大切に

本当に悔しかった。

私が勉強している横で、できない理由、やらない理由ばかりを口にしていたあの子。そんな子が今日になって突然わざわざ直接、私と同じ大学の入試をあなたと同じ日に受けるから、と宣言してきた。

共通テストが爆死だったと言って頭を抱えていた癖に、私が目指す第1志望の大学なら受かるかもと希望を抱かれていることが悔しい。私は結局、ここまでずっと舐められてきたんだと今日やっと、確信できた。どこか態度は気になっていたけれど、もっと早く、見切りをつけてもよかったのかな。

何か立ち向かうべきことが発生しても、適当でいいよ、なんとかなるよ、と逃げるようなことばかり口にしていたあの子。わざわざ面と向かって宣言しに来たということは、明らかに私に対する敵対意識の表れ。宣戦布告だ。

何ヶ月もかけて、先生と私が二人三脚で準備してきた志望理由書。それを傍であの子は見ていた。なのにあの子は、わざわざその場で完成させて送ったとさえ言ってきた。その時点で、受験のことも、私の努力も軽く見られているんだと思った。今まで逃げることばかり考えてきたのだから、追い込まれているであろうことは安易に予想がつく。でも、わざわざ言いに来たことが理解できないし、私が1校合格した時にお世辞でも、おめでとうと言わなかった時点で、正直なにか察するものはあった。別にお祝いしてもらえなかったからって嫌いになったりはしない。でも、今思うとやっぱりなって思う。受験はその人の本性が出る。あの子の内心はずっと、メラメラと燃えていたのかな。とにかくあの言い方からして確実に、敵としてみなされているのは間違いないんだと思った。

あの子の言葉を聞いてから、私はすぐに自暴自棄になった。ここまでなんだかんだ平和だった受験期。中3の頃とは違う教室の穏やかな雰囲気に安心していたし、心もずっと落ち着いていた。でも、あの子の台詞ひとつで、こうも全部壊されるなんて。想像もしていなかった。苦しい。理由も分からない怒りで涙が止まらなかった。もう受験なんか辞めてやろう。このまま、全部を投げ捨てようとさえ思った。

今思えば、馬鹿だと思う。でもあの時、あの瞬間は過去のトラウマも甦ってきて、自分の弱さを抑えきれなかった。私の努力をバカにされた過去と、今日のあの瞬間の出来事が綺麗に重なって苦しかった。よく分からない怒りと感情たちを、ちゃんとコントロールできなかった。

そんな時、たまたまLINEの通知が鳴った。大好きで大切な先輩からだった。数日前に共通テストのアドバイスをいただいていたから、そのお礼を送っていた。その返事だった。読んだ瞬間に、違う意味で涙がこぼれた。

『今までいちかがしてきた努力を最後まで大切にね』

そう書かれていた。まさに今の私に必要なことだった。すぐ自暴自棄になって諦めようとする私の悪い部分を、先輩がちゃんと見極めてくれていたかのような、真っ直ぐな言葉だった。いちかなら大丈夫だと両親になだめられるよりも、先輩の真っ直ぐな言葉が私の怒りを、苦しさを、全て抑えてくれた。

誰かが私の事を大丈夫だと、絶対に合格できると信じてくれること。これがどれだけ心強くて、恵まれていることなのかは理解しているつもりだった。でも、まだまだ未熟だと気付かされた。応援してくれる人がいるのに自暴自棄になって全てをここで投げ出すことは、今まで寄り添ってくれた方に対する失礼に値するし、裏切りになるんだと先輩のLINEをみてふと思った。あんな子の言葉に惑わされてここで立ち止まるなんてダメだ。そう思えるきっかけを、周りの人からたくさん貰った1日だった。

あと6日。あの子に勝つとか、私だけが合格するんだとか、そういうことじゃなくて。3年間積み重ねてきた努力を、私の頑張りを最後まで大切にするために頑張ります。もう惑わされない。

いつも弱くてごめんなさい。絶対合格して、いい報告ができるように、そして努力はいつか報われることを証明するために、嫌な声は全てかき消して最後までペンを握り続けます。

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