好きなものを、好きと言いたい
こんにちは。小説ライター(作家)の蒼樹 唯恭です。
突然ですが、皆さんは好きな画家やイラストレーターはいますか?私は好きな画家が沢山います(フェルメールやモンドリアン、ホッパーなど)が、特にミュシャの絵が好きです。
アルフォンス・ミュシャ: 19世紀後半にパリで活躍した、アール・ヌーヴォーを代表する画家・イラストレーター。代表作に『ジスモンダ』や『黄道十二宮』などがある。
私がミュシャを好きになったきっかけは、母方の叔父の存在があります。叔父自身の口から「ミュシャが好き」と聞いたことはありませんでしたが、叔父はミュシャの絵が描かれたジグソーパズルやポスターなどを集めていました。
まるで生き物のようにうねる女性の美しい髪、優雅かつ作為的に作られた衣服の襞、豪華な装飾品、鮮やかな色彩の花や植物。幼い私はそれらを見て、すぐに心を奪われました。
中学生になってからはミュシャだけではなく他の作家の作品も知るようになり、美術自体が好きになりました。作る方はあまり得意ではなかったので、大学は美術を学問的に学べるところに入ったのですが、その入学試験で忘れられない事件が起こります。
事件というと大げさですが、私にとってはそれくらい大きな影響を与えた出来事でした。
入学試験には二次・三次試験として小論文、面接、デッサンがあります。小論文もデッサンも苦手だった私はとにかくその2つに集中して取り組んでいたため、面接はそれほど気にかけていませんでした。
だから、面接で「好きな作家は誰ですか?」と聞かれたとき、とっさに「ミュシャです」と「本当に好きなもの」を答えたのだと思います(記憶が曖昧なので実際はこういう風に聞かれたわけではないかもしれませんが、答えたことは覚えています)。
私が答えた後、面接官の一人がフンと鼻で笑いました。それは私が勝手に「笑われた」と感じただけかもしれません。事実かどうかは今では確かめようがありませんが、確実に言えるのは、10年以上経った今でも思い出せる程、19歳の私は傷ついたということです。
自分の「本当に好きなもの」を鼻で笑われたことがショックだったし、悔しかった。でも、それ以上に、その場で何も言い返せなかった自分を情けなく思いました。
その後数年、その出来事は苦い思い出として心の中に残り、時々顔を出して私を悩ませることになります。
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その苦い思い出から抜け出すことができたのは、宮本佳実さんの著書『可愛いままで年収1,000万円』に出会えたからです。
佳実さんは「好きなことを、好きなときに、好きな場所で、好きなだけ」という働き方を提唱する女性起業家であり、複数の会社を経営する経営者・作家でもあります。『可愛いままで年収1,000万円』は10万部以上のベストセラー本です。
この本を職場の同僚に勧められてから、佳実さんの考えに惹かれた私はブログを読み漁るようになりました。最も衝撃的だったのは、他人ではなく自分が自分を絶対的に肯定するという彼女の姿勢です。
それまでは、誰かに「好きなものは何?」「趣味は何?」と聞かれると、何となくすごいもの・ちょっと自慢できるようなものを答えなければいけないと、思っていた私。そう思うようになったのは、大学入試での出来事も関係していると思います。
そう、「本当に私が好きなもの」ではなく「他人から評価されるもの」を選ぼうとしていたのです。
でも、佳実さんの著書やブログに触れていく中で、「好きなことを、好きって言っていいんだ」と考えるようになりました。「相手が何と言おうと、好きなものは好き」という態度でいれば、例えバカにされても「まあ、そういう意見もあるよね」と思えます。
他人ではなく自分の本音や感情に集中し、認め、許すこと。佳実さんの考え方を数年かけてインストールし、やっと今、そうした行動が出来るようになりました。
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最近、雑誌で偶然見つけたLINEの公式壁紙で、ミュシャの椿姫をモチーフにしたものを買いました。あまりに嬉しくて、スクショしたLINE画面をインスタグラムで投稿したのですが、この行動は少し前の私には出来なかったことです。
「誰かからダサいって言われたら、どうしよう?」
そういう気持ちが全く無かったわけではありません。でも、それよりも自分の「好き」「嬉しい」を優先して行動できた。そのことをとても誇らしく思います。
★小説ライティングは12月から再開予定です。しばらくお待ちください^^★
あなたの応援が、私のコーヒー代に代わり、執筆がはかどります。