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情景描写シリーズ01:カフェ

日曜日、朝。駅の近くにあるカフェ。
店内は客で賑わっている。
朝といってももう10時になるだろうか。
道路に沿って取り付けられた大きな窓からは、明るい日の光が差し込んでいる。
店内にはコーヒーの香りが漂い、壁やソファーなどの落ち着いた色合いとともにこの店独自の雰囲気を作っていた。
食器が触れ合う音、椅子や机を動かすときに不意に出るキィッ、ガタンという音、大人の低い声や店内に少なくとも3人はいる子どもの高い声。
その合間に小さくジャズ音楽が聴こえる。


客はカウンターから注文したドリンクを受け取り、椅子が2~4脚あるテーブル席か、長いソファーに小さなテーブルが隣接した席を選ぶ事が出来た。
ある席では杖を持ち帽子を被った高齢の男性が、真向いに座るスーツ姿の若い(といっても40代くらい)男性に熱心に話をしている。
漏れ聞こえる話の内容から察するに、どうやら保険の商談のようだ。
隣の席には幼稚園ぐらいの女の子と、父親らしき男性が横並びに座っているた。
女の子がテーブルいっぱいに広げたノートのようなものに、何かを一生懸命に書いている様子に思わず気を取られていたら、女の子の父親と目が合いそうになった。
慌てて目を逸らした先には中年の女性と、彼女よりもうんと年上の女性がこれまた横並びで話に夢中になっていた。
周りに聞こえないよう小さな声で話しているつもりなのだろうが、その行動が逆に人目を引いている。
ソファー席の一番端、店の奥では40代ぐらいの女性が一人黙々と本を読んでいた。

(終)

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