見出し画像

普通のおじさんが税理士試験合格目指して25年もかかっちゃった件-9回-

おはようございます。ようやく確定申告期限が終了です。ホッとしたのもつかの間、ためてしまった月次処理があるので昨日は出勤して仕事でした。
-1.0回から今回が本チャンの9回です。
前提は35歳で税理士資格があって会計事務所に勤めている場合と開業した場合です。
余談ですが「わたし」の住む町の国民健康保険料をホームページで確認したのですが現在の上限って104万(高ッ!!)なんですね。ずいぶん上がったなぁ。おそらくどの市区町村も似たり寄ったりだと思いますので訂正します。-1.0回の80万円としたのも100万円に修正しました。


所得税:給与所得と事業所得

フリーランスになろうとしている方のため説明します。法人税は単純に言うと売上から経費を引いた利益(儲け)に税率をかけて計算します。
ところが所得税はちょっと違います。
まず収入を得た要因で収入ごとに区分けをします。子供の後片づけで積木はここ、人形はここ、といったのと同じようにお給料の収入はここ、商売の収入はここ、不動産を売った収入はここ、といった具合です。この収入を入れる箱ごとに一旦利益(儲け)を計算します。そして全ての箱を集計しその人のその年の利益(総所得金額)とします。だからその入れる箱を間違えてしまうと全然結果が変わってきてしまいます。この辺を話し始めると物凄く長くなるので先に進みます。
サラリーマンの給料は給与所得に区分され、自営業者の収入は事業所得に区分されます。

給与所得

以前テレビでサラリーマンにインタビューしていたのですが
「交通費には税金かけないで」とか
「スーツやストッキング、年間で結構な額になるんですけどね」
なんて答えていた方がいましたが、そもそも会社からもらう交通費は所得税の対象になりませんので税額計算に含まれません(一定の要件を超えるものは駄目ですけどね)。
また、サラリーマンでも一定の経費は掛かるよね、だから経費分は概算で引いてあげるよ。ということで給与所得控除という概算経費が認められています。給与所得がある人は収入に応じてこの給与所得控除が多くなる(一定金額で頭打ちになる)のですが最低55万円です。一枚も領収書を用意しなくても55万円も経費を認めてくれます。年間スーツやストッキングを55万円分も買いますか?サラリーマンは税金上、圧倒的に有利なんです。財政が厳しい国はこれを何とかしたいみたいですけどね。

事業所得

一方自営業の方の収入は事業所得に区分されます。経費を計上するには当然領収書が必要になります。でもサラリーマンは一枚も領収書用意しなくても最低55万円も経費を認めてくれます。バランスをとるためかはわかりませんがきちんと帳簿を付けて申告する人についてはご褒美で55万円(電子申告する人は65万円)控除を認めますよ、となっていて、これが青色申告特別控除といいます。ちょっと前までは給与所得控除の最低額は55万円ではなく65万円でした。青色申告特別控除は電子で申告しない人は55万円に引き下げになり、電子で申告する人はご褒美でプラス10万円となりました。
余談ですが、よ~くテレビやyoutubeで自営業の人は車も経費、外食も経費、良いよね~。なんて無責任なことが出回りますが、自営業の人の車はプライベートの使用と事業の使用を区分して経費化します。事業割合といいます。全部を経費にしているわけじゃないんです。また家族との外食はそもそも経費じゃないですよね。経費と言っているのはただ単に税務署から指摘されていないだけであって、指摘されたときは非常に痛い目見ますよ。ネットを見ていると目を覆いたくなるような記事ありますからね、本当。

都内在住35歳独身、サラリーマンの場合

長くなりました。上記サラリーマンが月収35万、ボーナス40万の年2回で年間給与収入が500万のケースです。
政府管掌の社会保険(業界の組合保険なんてのもある)で毎月引かれる社会保険の額は健康保険:18,000円 厚生年金:32,940円 雇用保険:1,050円で合計は51,990円(高!!)これを差し引いた金額に応じた源泉所得税8,250円が徴収され手取り額は289,760円です。賞与もある程度同じように計算され手取り額は340,104円になるはずです。
では年間の所得税額の計算はどうなるでしょう。皆さん年末になると税金戻ってきたりしますよね。そう、年末調整です。
年間給与収入:5百万 これに対応する給与所得控除額(概算経費額)は計算すると1,440,000円です。1枚も領収書が無くて140万も引いてくれちゃって大盤振る舞いです。給与所得控除後の給与からの儲けは356万円になります。
ここから年間差し引かれた社会保険料合計額739,480円と基礎控除と呼ばれる誰でも必ず控除される48万円を引いた2,340,000円(千円未満切捨。これを課税所得金額といいます)に税率を掛け合わせ税額を計算します。所得税は所得が多くなるに合わせて税率が上がっていく超過累進課税です。このケースの場合の税率は10%で、計算すると復興特別所得税も加味して139,300円になるかと思います。

自営業の場合

条件をそろえるため消費税を無視します。毎月35万円の報酬を得ていて決算料を年間で80万円もらっている場合です。先に年間税額の話から。
「わたし」の市区町村でこのケースの国民健康保険税額は176,400円との計算結果でした。ここに国民年金月額16,520×12月で198,240円が加わり年間の社会保険金額は374,640円となります。
年間500万の収入に対し経費が月当たり10万(ちょっと高いかな。わかり易くするため)で青色で申告する、となると500万-100,000円×12月-650,000円(青色申告特別控除)で年間所得が3,150,000円となり、社会保険料376.640円、基礎控除48万円を引いた課税所得金額が2,225,000円(千円未満切捨)。この場合も税率10%ですから計算すると134,700円になります。あまり給与所得のケースと変わりませんね。

毎月の手取り額は?

では毎月の手取り額はどうなるでしょう。サラリーマンの場合、先ほど計算した289,760円が毎月もらえます。有給休暇を使って5日間お休みをしようが貰えます。
一方自営業者は先ほどの年間社会保険料を月割りすると31,220円、士業の方は支払いを受ける金額に10.21%の源泉所得税が徴収されますので35,735円の合わせて66,955円差引する必要があり、ここに毎月の経費10万円問わせると概算の手取り額は183,045円となります。毎月に入ってくるお金はサラリーマンの方が圧倒的に多いですね。例題の場合は800,000万円分の決算料収入がありますからこれが月にばらけて入金となるとすると(源泉所得税控除後の月平均収入額59,000円位)およそ25万円の手残りになる計算です。

消費税と住民税

簡単にするため消費税と住民税は加味していません。ざっくりいうと今回の例題ではそれぞれ22万円位の住民税がかかるはずです。
住民税は以前も書きましたが前年の所得の10%が翌年の6月に通知が来ます。サラリーマンの場合は毎月の給料から天引きされるケースが最近は多くなりました。例題では毎月の手取り金額が15,000円位少なくなると思います。自営業の方は年4回に分けて納付します。これがまた重税感があります。消費税も金額によりますが年1回の納付の場合は3月31日まとめて納付しますので大変です。

比べてみると

どうでしょう。所得税の額はあまり変わりませんね。でもお金の流れが違いますのでどっちが大変かと言えば自営業者でしょう。社会保険料金額だけで判断するとサラリーマンの方が多く払っているように見えますが現行の制度だと将来の献金額が大幅に違います。
続きがありまして、この後結婚して子供ができて・・・となるとまたまた話は変わってきます。サラリーマンの奥さんの場合、世間一般に言われるおよそ100万円以下のパート収入ですとご主人の扶養に入れるし社会保険もご主人の扶養者としてカウントされ保険料負担はありません。
自営業者の場合は国民健康保険で人数割りの分が多くなりますし、国民年金にも加入しなくてはならず年金の年額198,240円の負担が増えます。ご自身のおかれた環境によって負担する金額が大きく変わってきますのでよくシミュレーションして考えてみるべきです。
また業種などによっても全く変わてきます。今回は「わたし」の身近な士業としましたが、大工さんだった場合、請負金額もウン千万単位なうえ、完成引き渡しをして請負金額が入金になるまでかかった経費を自分で立て替え払いしないと商売が成り立ちませんので状況は全く違います。「会社が嫌だッ!!!」という単純な理由だけで飛び出してしまうとたいへんなことになります。
かくいう「わたし」もオリエンタルランドを深く考えずに辞めてしまい、当初は結構後悔しました。また、独立しようなどとこれまた将来の話をすれば無謀なわけで、本当はこのまま68歳くらいまでのらりくらりと勤め上げ、その後老齢年金で生活するのがお金の部分で言えば最良だったと。損得で言えば損です。
ですが、若い人を育てたい、業界や社会に貢献したいと考えると今の環境だと独立しかありえないと思うし、以前投稿した内容から500万の給与とすると1,500万円ほどの売上を自分が生み出して3分の2を搾取されるケースです。1,500万の売上を生もうとすると35件位は担当して新人や後輩の面倒も見ているはずです。自分の能力からするとそこに余裕は全くないでしょう。「わたし」は人生満足か不満足かと聞かれると自分のやりたいように生きてきた気がするのでそれなりに満足かと・・・。要は何に重点を置いて自分の道を決めるかです。サラリーマン生活も一つの選択ですし自営業者も自分の決断であればそれは最良の答えなのです。この記事がどなたかの自分の人生を考えるきっかけになってくれれば嬉しいなと思い投稿しています。
今は自分自身が選んだ道を後悔しないよう、満足、大満足にさせるため前を向いて頑張るだけです。その意味ではワクワクです。ですが、おそらくこの例題には程遠く3分の2くらいの規模が精一杯なスタートとなりそうです。とりあえず軌道に乗り、夢を実現できる体力をつけるまで一人で頑張ってみます。
もしかすると例題は間違っているかもしれません。端折った部分も多いですし社会保険労務士の方からすると指摘したいことだらけかと思います。大筋の線、ということで大目に見てください。よろしくお願いいたします。長文読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?