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連載 イチロー部屋のイッピン64.日本野球界番付  

  
1993年から30年間続いた「日本野球界番付」が、2022年版で廃刊することを決めたという。

 野球番付社(塩村和彦代表)が、全国の野球通30人以上を集め前年の成績を資料に5時間かけて序の口から討議して発表されていた。番付は相撲界のルールに倣って格付けされる。新人選手はすべて序の口で、どんなに活躍しても十両に上がるには3年を要し、コンスタントに成績を残すことが求められる。番付はそれまでの成績を踏まえて作るため、「継続性」を保たなければならないという。

1994年版にイチローを虫眼鏡で見つけることができる。しこ名は「鈴木一朗」で番付は三段目。丁髷(ちょんまげ)のイチローが得意技の一本足打法で優勝(最優秀選手)。1995年版では幕下と十両を飛び越え、晴れて前頭の幕尻だが関取となっている。1996年版は東張り出し小結、1997年版は関脇、1998年版は大関とトントン拍子に出世する。2000年版で遂に東横綱「鈴木一朗」が誕生した。


2002年版ではメジャーリーガーの「イチロー」が東横綱、西横綱は「佐々木主浩」となっている。2003年版には、ど真ん中に「大リーグ『イチロー』」が美しい大きな相撲文字で書かれている。


 廃刊の要因は、平均年齢60歳以上の番付編成委員を一同に集めることができなくなったからという。新型コロナウィルスは、長年の努力で積み重ねてきた貴重な“イッピン”を潰してしまった。

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