コーポレートコミュニケーション担当と名乗り始めて その2(組織の中をつなぐ役割)

広報というと、多くの方がイメージしやすいのは社外広報だろう。

企業ならばその組織のブランドメッセージや新商品・新サービスの情報、既存商品や既存サービスのアップデートやリブランディング、他社とのコラボレーション企画や販促キャンペーンのお知らせ、リスク管理広報の側面からいえば何か商品やサービスを利用した方が事件に巻き込まれた時や不祥事のときの一刻も早い対応などが外から見た広報としては目に留まりやすいので社外広報のことだけを広報ととらえられがちなところはあると思う。

採用情報などを見ても「広報・PR」と書いてあるジョブディスクリプションもあれば、「社外広報」「社内広報」とわかれている案件もあれば、より細分化して「●●ブランドの社外広報」と明記されているジョブディスクリプションもある。株式会社であれば「IR担当」として、Investor Relationに特化した業務を遂行する人材が求められていることもある。

前置きが長くなったが、今回は社内広報の話をしたい。

社内広報なんていなくても今は様々な情報共有のツールもデータベースも揃ってるんだから組織なんて回るでしょうと思っていらっしゃる皆様。きっとそんな方々が所属している組織はさぞや情報共有も組織間連携も密に行っていらっしゃるのでしょうね。

SlackやChatwork入れたし、メンバーみんなログインできるようにしたし、スレッドもテーマ別にたてたし、それぞれがちゃんと運用するでしょう。

んなこたーない。放置されているSlackやChatwork、いろんなところで見かけるし、一方で一見盛り上がっているように見える(=スレッドへのコメントは多くついている)ツールでも、後から「あの資料どこにあるっけ」、「あの日のこれくらいの時間のAさんの発言に紐づいたスレッドじゃないですかね・・・」、「検索しても見つからないんだけどファイル名何にした?」といった大変時間がもったいない会話が繰り広げられていたりする。

社内報なんていらない、作っても誰も読んでくれないし他の業務をやりたい、という広報担当の方のぼやきも時折聞きますね。逆に「え、社内報?読んでないけど?」という受け手の社員の方々のコメントを耳にすることもある。

A部門の営業の方が商談に行き、商談相手から「おたくの会社のC部門のXっていうサービスいいね。今度紹介してよ」と言われて初めてC部門のXを社員が知る、なんてことも・・・あるある。

部門間での情報共有、部門をまたいだメンバー同士の(業務外も含めた)会話や交流の促進、過去のデータや資料の共有と整理(←この整理が大事!初めてそのデータベースにアクセスした人でもすぐに発見できるナレッジ管理にしていないと、発掘作業にかなりの時間を取られる・・)などなど、社内のコミュニケーション促進にはたくさんの潜在・顕在ニーズがあるんだけど、それが明確に誰かの業務として定義されている組織ってあまり多くない印象。

結果、細やかな気配りができる人だったり、社内パトロールが趣味でいろんな知り合いが多い人だったり、落ちているボールを「自分の担当じゃないから」と放って置けない人たちが拾い上げて、関係者や関係情報をつなぎあわせて組織を回していく。その役割を社内で評価する仕組みがあればよいが、ない場合は「あの人は担当じゃない業務に首をつっこんでる」とか「あの人は自分の担当業務では結果があまり出せていないよね」といった評価になって、せっかく組織の中の潤滑油的な役割を(希望するとせざるとにかかわらず)やってくれていた人が組織からいなくなり、また同じように橋渡しをする人が現れて・・・のようになっていく様子を見かけたり、話を聞いたりすることも少なくない。

私が関わる企業や組織においては、その役割も含めてジョブディスクリプションを作らせて(作って)ほしいと伝えることが多い。

もし、組織をまたいで、役務をこえて会話してくる人がいることを快く思わない人がいたり、組織のカルチャーがきっちり担当でわかれている組織であれば、私が希望する組織への関わり方ができないし、お互いにストレスをためこむことがわかっているので、最初に相談をする。そして、NDAや契約内の記載を少し多めにしてもらってもいいから、社内・社外広報ともに広報は情報が命だから、組織内の情報は出来る限り共有してほしいとおもお願いをする。そうすると、なるほど今A部門はこの新商品を準備しようとしていて、D部門は今は新サービスのタイミングではないけれども既存のコンタクトリストへの再アプローチを考えている・・とすれば新商品をフックに再コンタクトしたらええやん、といった提案ができたりもする。

立ち上げたばかりの組織であれば、会議体の整理や走り出しの時期の会議の企画や枠組み作りの提案もやる。そのためにはメンバーや関係者のキャラや譲れない価値観だったり許せないポイントだったりを早めに知っておきたいので雑談も結構する。結果的にいつも「お話好きなおかん」として組織内に存在することも多い。

これが仕事だとコミュニケーション担当として機能をし、プライベートだとPTAの役員だったり、クラスの保護者の交流を促進する役割に役立ったりもする。「余計なお世話かもしれないけど、入学してすぐだと提出物の管理や連絡帳の解読も難しいから、みんなで教えたり聞いたりできるようにLINEグループ作ってみたよー」だったり、「私がお酒飲みたいからみんなで焼き鳥食べにいきませんか?」と企画をしてみたり。つまるところきっと人が好きなんだろうな。

この記事が参加している募集

最近の学び