さすがに誰にもオススメできない ― 星月渉『ヴンダーカンマー』

なんとなく読み始めたら、ひさびさに「私はとても楽しく読んだし大好きだけど、さすがに誰にもオススメできないな!!!」という小説で、止まらなくなって一気読みした。

まったく予想がつかない展開!ではなく、地方都市を題材にしたイヤミス・ホラーを嗜む人間には「うわぁ……コレ絶対こういうことじゃん……」と予想可能なエグい展開が、次から次へと積み重なっていく厭さ。そこへ更に、予想が追いつかないエグさと感情が追加され、最終章、ラスト数ページには切なさとうつくしさもある。

ここまで「厭な小説」にひさびさに巡り会えて嬉しい。

そしてあとがきで、作者さんの出身地が岡山県津山市と知ってひっくり返った。都市ボーイズはやせさんと同じだ。今後も、怖くて厭な小説をたくさん読ませてほしい。


「さすがに誰にもオススメできない」というのは、もちろん文字通りの意味ではありますが、褒め言葉・レコメンドタイトルでもある。私と悪趣味の嗜好が似ている方や、そういう言葉が冠される小説が好きな人には本当にオススメ。みんなで厭な気持ちになろうぜ!


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