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【一関価値創造若者協議会 参加団体代表者インタビュー】Creo creators / 磐井AI株式会社 菊地佑太 編


経歴

一昨年、一関高専で学内プロジェクト「映像研究会」を設立。
学校のオープンキャンパス用の映像制作や文化祭のハイライトムービー、地元企業とタイアップした映像など数多くの映像を制作する。
2022年2月に活動の幅を学内から地域へと広げていくために、クラウドファンディングで資金調達を行う。同年3月には一関高専発学生ベンチャー「Creo creators」を起業する。
いわてグルージャ盛岡の試合に密着したYouTube企画「THE INSIDE」を手掛けるなど、今注目の団体である。
また、昨年開催されたDcon2022にTeam-MJのメンバーの一員として出場し、同大会最高額となる「企業評価額10億円・投資額5億円」という評価を受け優勝。その後「磐井AI株式会社」を起業する。
2021年に一関高専卒業し、同校の専攻科に進学。
趣味はバドミントン。

いわてグルージャ盛岡の試合に密着した動画「THE INSIDE」
菊地佑太(Creo creators 代表/磐井AI株式会社 代表取締役CEO)

菊地佑太のルーツ

ー佑太さんは奥州市出身とのことでしたが、地元はどのような感じでしたか?

住んでいるところが奥州市の中でも特に田舎の方だったのであまり同年代の子が周りにい環境で、割と大人の人と喋る機会が多かったんですよね。
それで鍛えられたのか分からないですけど、自分より若い人と喋るよりも年上の人と喋る方が楽なんです。
もしかしたらそういう環境が自分を育んでくれたのかなと思います。

菊地佑太さんの地元 江刺(撮影:Creo creators)

ー 以前お米のクラウドファンディングをしているのを拝見したのですが、それは地元や家族への感謝の気持ちで始めたのですか?

実施したお米のクラウドファンディング

そうですね。
僕はすごいおじいちゃんっ子なんですよね。
おじいちゃんから農業のことを教わったり、トラクターに乗せてもらったり、一緒に農作業したりとかしていたんですよね。
昔から農業のことを勉強していたと言うよりは、ワークショップのような感じで色々と体験をしていたことがあって農業が好きなんですよね。
周りの農家の数が減ったり、どんどん高齢化していったり、お米の値段も上がっていかない現状に対して何か私の持っている知見を活かせないかと思い、クラウドファンディングをやってみた感じです。

コンバインに乗る幼少期の佑太さんと佑太さんの祖父

ー幼少期の佑太さんはどのような人でしたか?

小学生の頃は、学級委員長とかをぼちぼちやっていた感じです。小学生の頃からプログラミングやっているみたいな皆さんが持っている高専生のイメージとは違うタイプの人でした。
友人は多くもなく少なくもなくという感じでしたね。
仲の良い友人とは週末に集まって、スマブラしたり外で遊んだりしていました。

ー 小中学校ではどのような感じでしたか?

小中学校時代でも高専に入ってからもですけど、すごい良い先生に恵まれたなと思ってます。
親にもよく言われるんですけど、その都度適した先生が私の担任になってくれていたんで、運が良いっていうのが僕の強みだったりするのかもしれません笑。
先生にも恵まれていましたので、本当に色々なことに挑戦させてもらってました。
中学校の頃はずっと各クラスの学級委員長によって組織された会の委員長を務めていました。3年間ずっとやらせてもらっていて、その過程で人前で喋るセリフを考えたり、代表として責任を取らなければいけないみたいなことがあったりして、意外と不良の人よりも怒られていたりしました。
結構大変でしたけど、その時の様々な経験が、色々と交渉したり、何か喋るぞってなった時に活きているのかなと思います。

ー 佑太さんはバドミントンが趣味とのことですがいつから始めたのですか?

バドミントンは中1の時から今に至るまでずっとやっています。バドミントンは結構好きなので今でも続けています。
もう専攻科生は規約上部活に所属することができないので今は無所属ってことになってますが、たまに高専のバド部の練習に行っていたりします。

バドミントンをする佑太さん

ー 佑太さんにとってバドミントンは自分の人生に何か影響を与えたりしていますか?

そうですね、私の中でバドミントンは趣味と言うより生活の一部になっています。それこそ、昨日も水沢で開催されたバドミントンの大会に出場したりしましたし笑。
自分の中でバドミントンはやるのが当たり前っていうか、自分自身と向き合えるというか、精神的にも体力的にも追い込んでいくっていうのがすごく楽しくてずっと頑張って練習している感じですね。
高専の受験前も他の人は部活を引退して受験勉強している中で、推薦入試の1ヶ月前までずっとバドミントンしていたり、DCON前のめちゃくちゃ忙しい時期もちゃんと毎週部活に行っていたりしました。
バドミントンは自分の生活の中に組み込まれている物になっているかなと思います。
あと、バドミントンでの精神的にも体力的にも追い込んでいくっていう感じは磐井AI株式会社やCreo creatorsの活動でも活きていると思います。
やっぱりここで手を抜いたら負けるみたいなのをずっと自分の中で持って部活をやっていたので、そこに関しては活きてますね。
意外と映像を創る時って撮影でも編集でも結構体力を使うので、バドミントンで付けた体力が生かされていると思います笑。

撮影の様子

ー コロナ禍で大きく変わったことはありましたか?

実は動画編集を始めたのがコロナ禍になってからだったりするんですよね。
コロナ禍に入ってから新しいパソコンを買った事とずっと家で隔離だったので暇すぎた事が重なって、動画編集のソフトの体験版をパソコンに入れた事が私の今やっているCreo creatorsでの映像事業の全ての始まりだったりします。
動画編集を始めてから1週間でお仕事をとりあえず1個取ってきて、その案件っていうのは実は今も続いてたりするんですよね。
そういうきっかけになったのがコロナ禍だったので、コロナになってくれて良かったとは思わないんですけど、コロナ禍をうまく活かせたのかなと思います。

動画編集中の様子

ー 動画編集を始めて1週間で仕事を取ってきたり、クラウドファンディングをしたり行動力がすごいと思うのですが、その行動力はどこから湧いてくるのですか?

行動力があるか無いかはちょっと分からないですけど、
「とりあえず失敗しても良いからやってみよう」
みたいなマインドは私の中にあります。
人事の人がよく言っていますけど、
「体育会の人は負け慣れているから強い」
みたいな話を聞いたことがあって、私もバドミントンではセンスがあって勝てた方では無いので負け慣れているんですよね。
「たとえ結果がダメだったとしてもやってみよう」
みたいなマインドを常に持つようにしています。
映像を始めた時も、自分からすると1発目にもらったお仕事ってすごい有名な方のYouTubeの編集で、編集を始めて1週間の自分ができるような仕事では無かったんですけど、
「連絡しないと何も始まらないからとりあえず応募してみよう」
って応募したら、案件を取れちゃったって言う感じなんですよね。
行動力というよりは、私の考え方的に「とりあえず言ってみるほうが絶対いいよね」みたいな感じです。
お米のクラウドファンディングの時みたいに、「お金が集まらなくても別に減るもんじゃ無いからとりあえず売ってみよう」みたいな軽いノリで始めたりすることが多いんですよね。
失敗しても大丈夫みたいなところは結構大事にしてます。

ー 佑太さんは学業や映像研究会、Creo creatorsや磐井AI株式会社での活動とさまざまな分野で活動を行なわれていますが、自分を動かし続ける原動力はどこにあるのですか?

原動力とかガソリン的なものは大して無いんですけど、色々なことをやれているのは"好きなことしかやっていない"っていうのがあると思います。
多分ゲームが好きな人ならゲームっていくらでもできると思うんですけど、それと同じ感覚で今やっていることは好きな事なので、ずっと楽しんでやれているのだと思います。
私は、苦手な事とかは絶対にできないんですよね笑。

私は継続して頑張る事とかはできないですけど、上手く区切りをつけてやっていくのが好きなタイプなのでそれも理由の1つかなと思います。

僕の性格上ずっと部屋に1人で居て何もしないっていうのが逆に疲れるタイプなので笑。

ー 映像を創るのが楽しいというのは、好奇心とかから来ているのですか?

元々YouTubeを見ることがとても好きというのがあるんですよね。
映像が綺麗なYouTubeの動画を見ると、良いなと思って機材のことを調べ始めたりするみたいな。
そういう感じの人なのでそこからきてるのだと思います。

ー 憧れのYouTuberはいるのですか?

憧れの人はYouTubeにはそんなに居ないですけど"瀬戸弘司"さんは小中学校の頃からずっと見ています。
瀬戸さんはすごいクリエイティブな編集をされるのでそう言うところに惹かれています。その人が紹介していたり買ったりしている物を欲しくなって買っちゃう事も多いです。

現在の活動

ー 2021年に映像研究会を設立したとのことですが、どのような背景があって映像研究会を作られたのですか?

映像研究会の活動の様子
  • 映像研究会を設立したのも「失敗しても良いからやってみよう」みたいなマインドが根底にあるんですよね。
    あとは、映像研究会を設立するちょっと前にカメラを買って、自分で映像を撮ってみたいなっていう思いもありました。
    その時は編集を始めた後だったので、自分で動画素材を撮りたいなって思っていたんですけど、綺麗な映像を撮るにはジンバルとかもっと機材が必要なんですよね。
    そんな時にちょうど裕太郎くん※1(Φterase代表/Next IWATE代表)がコブシプロジェクト※2を始めるって聞いて、「学校のお金で機材を買えるならやってみようかなみたいな」みたいなノリで申し込んでみたっていうのが背景です。
    やっぱり好きになったらやってみるのがめちゃくちゃ大事だなって改めて思いますね。
    あそこでコブシプロジェクトの申込書や企画書を出してなかったら今は何もやっていないはずなので、思いついたらすぐに行動に移すのが大事だなって思ってます。 

  • ※1 上野裕太郎:平成30 年度に一関高専に入学。「学生会」「TOLIC」「勉学」など多方面で頭角を現し、昨年学生主導の地域創りをテーマに「Φterase」を立ち上げる。その後「一関価値創造若者協 議会」の初代会長に就任。2023 年に地域課題を解決する事業を手掛ける「NextIwate」を開業。多方面で活躍している。3月に一関高専を卒業し、4月からは同校の専攻科に進学予定。

  • ※2 コブシプロジェクト:上野裕太郎(Φterase代表/Next IWATE代表)が一関高専の学生会で創設した枠組み。学生の挑戦したいことに投資をし、 学生会で資金面などの手厚いサポートを行う。

映像研究会が作成した映像より引用
映像研究会が作成した映像より引用

ー Creo creatorsではどのような活動を行っているのですか?

Creo creatorsでは映像研究会とは違って、基本的には営利目的の制作活動を行っています。
ビジネスとして成立させるような映像制作をしています。基本的には企業との取引を行うBtoBって呼ばれるビジネスモデルですね。
なので、Creo creatorsは企業と組んで制作を行っていることが多く、単発のPR映像の作成やYouTubeの運用代行とかを行っています。
BtoCと呼ばれる個人を相手とするビジネスでは、いわゆるYouTuberの動画編集や前撮りをはじめとした写真撮影を行っています。
また、クラウドファンディングを行った経験から、クラウドファンディングのお手伝いとかも行っています。

撮影の様子


最近のホットな話題で言うと川崎にあるエコカーパークのYouTube動画の制作も行っています。

企業がYouTubeをするってなかなか岩手では馴染んでいないところがあって、「岩手でYouTubeをやっている企業ってどこ?」って言われてもあんまり思いつかないじゃないですか。
他の企業がやっていないところを攻めていくというのは常套手段だと思っているので、新しく岩手県内のYouTubeの市場を開拓しようと頑張っているところです。
このケースがうまくいけば、次々と同じような悩みを抱えている企業さんのお手伝いができると思っています。

ー 佑太さんはDCON2022で優勝という結果を残し、各方面から注目されたと思いますが、優勝前と優勝後で心境の変化はありましたか?

DCON2022優勝時の写真

DCON2022で優勝する前までは、D -walk※3で起業するつもりは無かったのですが様々なメディアに取り上げていただいたり、様々な人と話して「やってみようよ」という雰囲気になったので起業したんですよね。
起業することになったきっかけになったという点ではすごい大きかったのかなと思います。
※3 D-walk
DCON2022で菊地佑太さんが所属するTeam MJが発表した作品。
インソール型の足圧センサを靴に挿入し、加速度センサを搭載しているスマートフォンを持って歩行を行うだけで学習データをもとに認知症の推論を容易に行うことができるシステム。
歩行すること自体が認知症の予防にもつながるため、予防ツールとしての効果にも期待できる。

ー DCON2022での優勝を受け、磐井AI株式会社を起業したとのことですが、実際に起業してみてどうですか?

まだ何も始まっていない感じなんですけど、"会社をつくる"ためにはやらなければいけないことがたくさんあって、とても大変です。
会社を作るだけでとても大変だったのですが、本当に大変なのはこれからだと思うので、もっと頑張っていかないとなという感じです。

ー 磐井AI株式会社ではどのような活動を行っているのですか?

磐井AI株式会社では「認知症で苦しむ方を少しでも減らしたい」という想いから認知症早期発見・予防システム「D-walk」の開発を行っています。
磐井AI株式会社の主なターゲットは、一関や岩手だけではなく全国規模になってくるところがCreo creatorsでの活動と違うところですね。
全国規模って言うとことで行くと、D-walkの実証実験を北千住マルイ「N・E・Oフェス」で実施したりしました。
他にもタイアップを検討している段階なので言えることが少ないですけど良いニュースを近々出せるかなと思います。

北千住マルイ「N・E・Oフェス」でのD-walk実証実験
北千住マルイ「N・E・Oフェス」でのD-walk実証実験

菊地佑太のこれから

ー 多方面で活躍されている佑太さんですが、これからどこに向かっていくのですか?

私の進路的なところで行くと、大学院に進学しようかと考えています。
今私が行っている事業が2つあって、それぞれが軌道に乗り始めている段階なので、一般企業に就職してしまうと会社の縛りが絶対にあると思うので、この勢いを止めない為にももう2年間学生をやろうかなという考えでいます。

今行っている事業については、まだまだ読めないところがほとんどなので、まずは仕事を1つずつやって行って、Creo creatorsでも磐井AI株式会社でも学生のうちに社員を何名か抱えて、ご飯を食べれるように頑張ろうと思います。

ー 他にも何かやってみたいことはありますか?

Creo creatorsの方ではさらに色々な事業をできるのではないかと考えています。今考えているのは個人に対して映像を創るサービスを行うことです。
映像って記念日とか大切な節目とすごい相性が良いなと思っているので、ウェディングムービーとか、七五三とか成人式とか出産とかのメモリアルムービーを創っていけないかなと思っています。

Creo creatorsが撮影した成人式の前撮り写真

目標というところでいくと、Creo creatorsは人手不足でタスクの量に対して人手が足りていないので、ちょっとずつ良い人材を発掘していけたらなと思います。
あとは、メンバーにできるだけ多くの報酬を還元したいなっていうのはあります。メンバーが他にやっているバイトを辞めさせてCreo creatorsだけで稼げるようにしてあげたいですね。

あなたにとっての一関とは?

一関の人にはすごい助けられていて、起業をする時とかもすごくお世話になりましたし、映像の仕事もほとんどが一関市内ですのですごいお世話になっている地域です。
本当に今までずっと助けられてきたので、一関のためになることをしていきたいと考えています。

ー 今後は一関に残るのですか?それとも活動の場を都会に変えるのですか?

大学院が一関にないので、一番近くても盛岡か仙台になっちゃうんですけど、そんなに一関から離れないようにしたいなと思っています。
特にCreo creatorsの活動は一関に近い方が楽なので。

最後に

ー 最後に何か話したいことはありますか?

そうですね、、
バドミントン凄く面白いので、ぜひ試合見てみてください(笑)

インタビュアー:東 崚惺


菊地佑太
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