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光る君へ(1-4)ドラマの種を仕込む・大河ドラマで学ぶ脚本テクニック

大河ドラマ「光る君へ」が面白い。ということで、「「光る君へ」で学ぶ脚本テクニック」と題した動画を作っていくことにしました。動画といっても内容はスライドとテキストなので、noteにも載せていきます。今回は第一回〜第四回までの学びポイントです。
歴史の知識や「源氏物語」については一切触れませんので、予めご了承ください。

今回の学び

今回の学びポイントは、暗示、枷、対比、三角関係、一致、です。
順番に説明していきます。

1.暗示

これはキャラクターや運命を暗に指し示すテクニックです。

タイトルバックで、手の映像が印象的に使われていますよね。
つなぐ手は愛を表し 書く手は自己実現を表しています。

愛と自己実現は、両立困難であるがゆえに、ドラマや映画でよく描かれるテーマです。
「光る君へ」も愛と自己実現の葛藤がテーマであることを、タイトルバックが暗示しています。

もう一つの暗示です。
第1話で、まひろの飼っている小鳥が逃げてしまいます。
このエピソードは、まひろの人生を暗示しています。

まひろの着物は蝶の文様です。
鳥も蝶も、自由に飛び回る生き物です。

母と三郎は、小鳥に対して対照的なセリフを言います。
母は籠の中が幸せと言い、三郎は籠の外が幸せだといいます。

鳥籠は身分やしきたりを表しています
母は皮肉にも、それを逸脱したせいで殺されてしまいます
まひろも今後、籠の中と外、どちらを選ぶかの選択に迫られることを、逃げた小鳥は暗示しています。

2.枷

枷というのは、「登場人物を束縛するもの」のことです。
ドラマに枷は不可欠です。枷がなければ見る方の感情は盛り上がりません。

第一回で、三郎の兄がまひろの母を殺します。
三郎の父に雇われているまひろの父は、保身のため、それを病死として片付けてしまいます。

なにか「平安のロミオとジュリエット」といった感じですね。
この枷によって、視聴者の心もガッチリつかまれました。

3.対比

三郎の姉・詮子と円融天皇の話が、まひろと三郎の話に対比する形で描かれます。
愛と憎しみの物語を2つ並行して描くことで、ドラマに立体感を出しています。

もうひとつの対比は「手」と「足」です
これは穿ち過ぎかもしれませんが、テーマを象徴する手に対して、足がキャラを象徴するものとして使われているように思います。

足で字が書けるという特技は、常識にとらわれない三郎のキャラを表していますし、兄につけられた足の傷は、大人になったまひろが三郎を同定する徴となります。

また、仕事で失敗したまひろは、小石に八つ当たりして草履を飛ばしてしまい、それが三郎との再会のきっかけになります。

皆さんはどう思われますか?
今後も注目して見ていきたいと思います。

4.三角関係

第三回に謎の男が出てきました。
三郎はその男と間違えられ捕らえられてしまいます。
このエピソードは、謎の男が三郎と対を成す登場人物であることを示しています。

男は散楽の役者で強引な性格です。
これは三郎を反転した設定で 三角関係を描くときの典型的な設定です。

今後まひろは、高貴で穏やかな三郎と、下賤で強引な謎の男の間で揺れ動くことになると思います。

5.一致

第4回のラストで五節の舞を舞うまひろは、客席の三郎に気づきます。
三郎の隣りに座っているのは母を殺した男です。
まひろは、三郎が母殺しの弟であるという衝撃の事実を知ります。

この、映像的見せ場とドラマのクライマックスの計算された一致は、たいへん見事で素晴らしかったと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。
第五回以降も、こんな感じで学びポイントを取り上げていくつもりです。

背景画像:
From The New York Public Library https://digitalcollections.nypl.org/items/510d47e3-fe62-a3d9-e040-e00a18064a99

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