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「ビスポーク」という話

「ビスポーク」という話

終活で服を整理していたら、ビスポーク(オーダーメイド)の服が……。

平和を祈りつつ、少し考えてみましょう。

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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。

"という話"は、調査資料(エビデンス)を使った「思考の遊び」――エンタテインメント(娯楽)作品です。※虚構も少なからず入っています。

※本当はノワール作家です。

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“It is only shallow people who do not judge by appearances. The true mystery of the world is the visible, not the invisible....”

Oscar Wilde, “The Picture of Dorian Gray”

いつ作ったんでしょうね。

時間の感覚が甘いのでよく分かりませんが、たぶん二十年以上前でしょう。

当時はENRICO COVERI(エンリココベリ)が流行(はや)っていたんです……。#ミーハー

高級車の営業をしていたので、外回りでお腹が冷えるのでタブルにしたのですが、

まあ使いにくいです。生地も厚めにしたのが失敗です。

以降、二度とダブルを仕立てることはなく、ウェストコート付を選ぶことになります。

二十年もすると、ツイードが落ち着いてくるので、今から楽しめる素材です。

ビスポーク(オーダーメイド)の利点は、まあ楽です。

着ている気がしないんです。#裸の王様

獣の毛皮っぽい感覚というのでしょうか。

二十代で金もない時代からよく買っていたなと思いますが、けっきょく長持ちするので経済的です。

まあ生き方にもよりますが、ナポリっぽい生地ですとちょっと厳しいかしら。

あとはテーラーさんとの出会いですね。

これ、パターンオーダーなんですが、友人に紹介してもらったテーラーさんが依頼どおり職人さんに細かい点を指示して、実質フルオーダーっぽく仕上げています。

もちろんフルオーダーには敵(かな)いませんが、二十代(ガキ)が着るには十分です。

なお、仕立てが悪く見えたとしても、依頼した私の責任です。

「三軒建てないと理想の家にならない」といいますが、桁が違いますから何度でも仕立てればいいんです。
(と言い訳します)

このあとスリーピースを何着か作りました。

その後カシミヤのベージュのスラックスをダブルとシングルと二種類の裾にして、ジャケットを合わせていました。

これと合わせられないと思うでしょう?

ブルーのシャツでライトブラウンのネクタイをすると映えます。

カッコ付けるのに、量は要りません。組み合わせです。

いろいろ遊びましたが、テーラーさんが亡くなってしまってからは数を増やすことはありませんでした。

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広東料理店(ジャズのライヴハウス)の責任者だったときは、黒服でした。

COMME ÇA DU MODEのオーダーシャツです。

特長は比翼仕立てで、胸ポケットレスです。

どうして比翼にしたかというと、釦(ボタン)が食器に当たるとどうしても音が立ってしまうからです。

おまけに私の服の釦は黒蝶貝なので、かなり響きます。
ライヴハウスとしてはNGです。

胸ポケットレスは、COMME ÇA DU MODEの店員さんのこだわりです。
(自動車ディーラーに勤めていたときの元お客さんです。)

やぼったく見えるのでダメだそうです。
(けっこう痩せているように見えて彼女より胸がありました。)

あとは、第二ボタンが第一ボタンと同じ大きさです。

ふつう第一ボタンだけが小さいのですが、他のボタンも小さく作っています。
(袖もです)

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オスカー・ワイルド「見た目で判断しないのは、浅はかな人間だ。世にある真の不可思議は目に見えるものであって、目に見えないものではない」

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