花物語~ お花のクリスマスツリー

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

画像提供:「花ねこ日記」

アリさんは一年で一番クリスマスが大好き

2008/12/6(土) 午前 6:09

なにやら変わったものが花屋さんに飾ってあるらしい
そんな噂がなまけものの働きアリさんの耳に届きました
花の話題となると気になるアリさんです
珍しいきれいな花に逢えるかもしれないと
ドッコイショと重い腰をあげることにしました

花屋さんでアリさんが見たものは
お花でつくられたクリスマスツリー
クジャクヒバとヒムロスギ
赤バラ・白ガーベラ・サンキライ・赤スプレーカーネーション
かすみ草・金塗り松ぼっくり

お花で出来たクリスマスリースはよく目にしますが
お花のクリスマスツリーを見るのはこれが初めてのような気がしました
これはありですね・・・アリだからシャレてるわけではなく
アリさんは本当にそう思いました
そしてアリさんは幸せな気持ちになりました

アリさんは一年で一番クリスマスが大好きでした
ジングルベルの歌が好きでした
みんなが忙しそうにしているのが好きでした
そして何よりもおいしいケーキが好きでした
アリさんは甘いものが大好きなのです

クリスマスを祝うことができず
甘いケーキを食べることができず
ジングルベルの歌を聴くことができない日が来たら
お花のクリスマスツリーを飾ることが出来ない日が来たら
そんな日が来ないようにとアリさんは祈るのでした


  まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/12/5 No.1272

「花を歌うかな」で発表していたものです
そのメルマガはすでに廃刊しましたが
ブログに保存していたものを再掲しています

【付録】花物語~コウテイダリア (皇帝ダリア)
(別名:コダチダリア/帝王ダリア)

里恋詩くて・・・熊野・高野
里のおばあちゃんの詩5-これ何の花!!

私も大きくなりたいなあ

怠け者のアリさんは働くのが嫌いなのではありません
怠け者という表現が悪いんですね
好奇心が旺盛で気になったことがあったら
自分で出かけて行っていろんな人の話を聴くのです
そうすることが楽しくてついつ仕事の途中で
皆の列から外れて調べに行くのです
仕事が嫌いなのじゃないんですよ
怠けているのでもなく調べものをしているのです

この日は背の高い高いダリアさんに会いに来ました
背の高い高いダリアさんの話を聞きに来たのです
なぜ背が高いのかこのところ気になっていたのです
夜も眠れずに・・・ということはアリさんにはありません
一日中あっちへウロウロ こっちへウロウロ
歩き回って寝床に帰ったころには疲れてバタンキューとなるんです

さてアリさんは背の高いダリアさんのお話が聞けたのでしょうか
アリさんに聞いてみましょう
アリさんアリさん ダリアさんのお話聞けましたか?
もちろん聞きましたよ なぜ他のダリアさんと違って背が高いの?って
ダリアさんは昔昔から自分が聞いてきた話をしてくれましたよ
そしてその話を自分の子孫に話してあげるんだとも言ってました

アリさんがなんにでも興味を持って
仕事ほっぽり出して調べ回っているでしょ
怠け者とは言いませんよ ちょっと変わりものといっておきます
ダリアの仲間にもアリさんのようにちょっと変わり者がいたんです
変わり者はどこにでもいるんです 悪いことでもなくそれが普通なのです
私の祖先はどこまで背が伸びるのだろうって思ったんです
伸びろ伸びろと念じ続けました
それだけではなく土の中のお水いっぱい吸い込みました
そうやって少しずつ背が高くなったのです
背が高くなるといいこともあるんです
今まで覗けなかったお家の二階の窓から
お部屋の中が見えるようになりました
するとこんな話もあったんですって
病気でお部屋に寝たきりの子がいて
窓から見えるのはお空だけだったんす
お友達は空を流れる雲さんだけ
鳥さんも時々は遊びに来てくれたんですって
そこにダリアさんが部屋をのぞいて
その寝たきりの子と目が合ったんですって
すぐ友達になって毎日いろんな話をしたそうです
早速ダリアさんとその子は友達になりました
ダリアさんは背が高くなってよかったなあって思いました
それに背が高いと皆を見下ろすことになるでしょ
それが案外気持ちいいんですって
いっしょうけんめいに背が伸びるように念じて努力した結果ですから
少しは自慢してもいいでしょうね
みんなもそんなダリアさんを偉いなあって褒めていたんです
誰も思いもしないことにチャレンジしたのですから
皆は背の高いダリアさんのことを尊敬するようになったのです
そしていつしか背の高いダリアさんはみんなから
皇帝ダリアさんとか帝王ダリアさんと呼ばれるようになったんですって

そう話してくれたアリさんはみんなには聞こえない小さな声で
こうつぶやいたそうです
私も大きくなりたいなあって思うことあるなあ・・・ですって
2019/05/25

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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