\ \超必殺技だ/ /【甲虫王者ムシキング】

#心に残ったゲーム

甲虫王者ムシキングというゲームがあった。

突如赤い目のムシが平和な森を襲う!森を助けるよう主人公ポポにお願いされ、ムシカードをスキャンするとそのムシが唸り声を上げて画面に登場、ワザカードをスキャンして技を覚えさせる。ルールは簡単でじゃんけんで勝った方がワザを繰り出せて先に体力が0になった方が負け。ストレートで4戦勝てばストーリークリア・・・というようなゲームだった。

 男心をくすぐるフォルムをした海外のカブト・クワガタとその必殺技を自分のものにしようと当時小学校低学年くらいまでの男子はその虜になったのではないか。ワンプレイ100円でカードが出る筐体ゲームは当時のブーム(今あんまりブームっていわないね)だったはずで、コンビニにも置いてあったし町の集合商業施設には必ずあったといっても過言ではない。私も例にもれずハマっていた時期があり、持っていたカードとその登場時期を調べてみると2004年頃から2006年頃まで遊んでいたと思われる。同時にムシキングのアニメも見ていた記憶がある。

ただただ懐かしい。

俺の主力はパラワンヒラタクワガタ、つよさ180、必殺技はブルロックで・・・グーの技にはサマーソルトプレス・・・

なんてそんな話をするつもりは毛頭ない。自分の現在にまでつながる愚かしさを恥じるうえで真っ先に挙げるべくがムシキングであると考えるからだ。ムシキングのプレイ態度は人生の縮図である。ムシキングにしてやられた奴は大人になっても社会にしてやられそうだというある種の危惧のもと、ムシキングを最後までクリアできなかった(4戦全勝したことがない)者には共通点があるという話をしていこうと思う。

① 人のアドバイスを聞かない(理解できない)

② 人にアドバイスを求めない

③ そもそも勝とうという意思が薄い

 まずは①から。ムシキングというゲーム、知らない人の目には「じゃんけん」という運ゲーを何度もくぐり抜けるなんて・・・と思われるかもしれないが、実は主人公ポポが相手の出す手のヒントを教えてくれる。まずこれを理解できないとクリアは不可能と言っていいだろう。2戦目までは指示が簡単でだれでも勝てる。しかし3戦目くらいから「相手はこちらの手を読んでくるよ!気を付けて」というアドバイスをするようになる。これは2戦目までのアドバイス通りに出した手に勝ちに来るという意味なのだが、頭が悪いやつにはここが理解できないから、本当に運でしかラスボスを拝むことができない。

 小学校2年までで先ほどの一捻りしたアドバイスを一発で理解するのは難しいだろう。しかし①ができないとき②ができるかどうかが人生の分かれ目となると思う。②はつまり人に相談できないということだ。当時ムシキングは人気で筐体の前に並んでやることもしばしばであった。親や同年代など必ず周囲に人がいた。主人公ポポの言うことを理解できないなら、なぜ他の人に聞かなかったのか。自分が勝つために必要なコミュニケーションを取れないというのはやはり人生を非情ながら決めてしまうのだ。ちなみに友人に「コンピューターが出す手は決まっている」と教えられたこともあったが、全然信じなかった。「そんなわけない」と思っていた。なぜならそんなものはじゃんけんとは言えないからという独善的な発想。今はそんな考えから脱却できているだろうか?

③について、①②を見ればストーリークリアができないことはほぼ明白だろうが、③で問題にしたいのは勝利への意志である。クリアできないことが半ば分かっているのに「ムシキングしたい」と嬉々として言うのは、勝利への快感を求めてというよりムシキングをすること自体を楽しんでしまっているからではないか。人生楽しいならいいじゃんと愚痴っぽく言うみたいで悲しくならないか?「いや、ムシキングレベルならそれでいいじゃん」と思われるかもしれない。そういう人には「そうだよ。ムシキングレベルならね」とお返ししたい。オトナになってやりたいことが見つけられないという者は結局クリアできないムシキングと同じことを後の人生で繰り替えしていることに早く気付いた方が良い。何に対しても勝利への明確な意思(目標に向かってやってやるという持続した意気)を欠いているということなのだから。

 私自身①②③すべてに当てはまるから人のことは言えない。私はやってきたゲーム全てに馴れ合いの態度でしか挑まなかった。ポケモンもガチ対戦はしなかったしモンハンも最終クエストまで1人で行けたことがなかった(最近のはなんかゲームが簡単になったのか行けるけど)。大好きだったA列車で行こうシリーズや遊戯王も楽しみ方は人それぞれと銘打って、本腰を入れるということはほとんどなかった。要は逃げたのだ。

 中学生時代の帰り道何かのきっかけで「ゲームなんか遊びやん」と言った俺。それに対し「遊びすらちゃんとやれへん奴は何にもできひん」と言った友人。深く刺さったその言葉をムシキングへのプレイ態度を通して思い出すことになった・・・・・・。

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