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失敗。。。からの研究の進展

前回投稿してから書こうと書こうと思いながら忙しくて随分時間が経ってしまった。以前の投稿では、トロント大学でのPhD2年目をスタートするにあたり、1年目のコースワークや夏の間にいただいた講師職の話、そして研究につなげいてくためのResearch Comprehensive Examの進捗状況についてまとめを書いた。今回はそのResearch Comprehensive Examについてその後の顛末(恥ずかしい失敗談含む!)とその後の研究の進展について記載したいと思う。

Research Comprehensive Examでの失敗

Research Comprehensive Examとはいわゆる筆記試験ではなく、本当に研究を行い、研究者の資質を確かめるための試験だ。試験といっても落とすための試験ではなく、研究者としての成長を促すためのものという位置付けであって試験と身構えるほどのものではない。前回の記事で記載した通り、最先端論文の一つに致命的な欠陥があることを突き止めることが出来ており、指導教授からもお墨付きをいただいていたので、正直Research Comprehensive Examなど終わったものだと調子に乗っていた。ところがそれは大きな間違いだった笑

Examでは研究成果の詳細なレポートと口述試験(プレゼン)が必須で自分はかなり丁寧にレポートを書き(何せ他者の論文の致命的欠陥を指摘するわけで慎重に詳細を記述した)、プレゼン資料も専門家とのディスカッションに耐えられるようにしっかり作って行った。英語でのプレゼンは不慣れだが、当日は質疑も含めてしっかりこなせたと思う。

ところがだ!口述試験が終わってから(というかその間も)どうも様子がおかしい。なんと時間超過により口述試験の結果は不可だというのだ笑。あまりに試験を舐めていたからか、専門家を前に意気込んでいたからかわからないが、口述試験の時間制限が厳格なものだということを一切知らずに受験してしまって大失敗してしまったのである😆

これは完全に自分の落ち度なのだが、誰しもがレポートは完璧だったと絶賛してくれたのに、時間超過という理由だけで追試を受けることになってしまった。実際のところ裏ではこの結果に不満だった方が多かったようで、探ってみたところ、私が試験官にお願いした先生方には私を落とそうなどという気はさらさらなかったようなのだが、大学院プログラムの責任者的なポジションの方ただ一人が異を唱えたようで(この方は厳密には試験官じゃないはずなのに)、こういうことになってしまったのだ。

その後、日程調整にえらく時間がかかり、3ヶ月を経てついに先日、無事に追試を終えることができたのである。時間制限を踏まえてプレゼンをやり直すだけのことで大したことはないはずなのだが、、、常に頭の片隅にあって研究に集中しきれない日々が続き、この3ヶ月時間を無駄にしたように感じたものだ。。。とは言え悪いことばかりではない。研究が着実に進展しつつあるという手応えも同時に掴むことが出来た。

研究の進展

Research Comprehensive Examを通して見つけた最先端論文の致命的な欠陥をなんとかして埋める(もしくは完全に反証する)ことはできないかというのがきっかけで新たなアプローチを模索しているのだが、頭の中でずっと考えていたアイデアを実際に実行に移す手段が分かったので簡単なケースで実行してみたところ、思い描いた通りの結果が出せることが分かった。

その副産物として関連する面白い結果を出せることにも気づき、自分の研究の進展に確かな手応えを掴むことができた。ところが文献調査をしてみると、完全に一般化された成果が得られているというわけではないが、数学的にコアなアイデアが同じ論文を見つけてしまい、例え一般化した結論をまとめても論文にするほどの価値がないという結論に至ってしまった。これは結構残念だったのだが、その論文がこの業界の大御所の研究グループによるものでかなり最近のものだったおかげで、自分の数学的アプローチが最先端を走る研究者たちと遜色のないものであり、確実に最先端に追いつきつつあると自信に繋がったのは不幸中の幸いである。

今まではあまり競争を意識することなく、自分のペースで取り組んできたが、いよいよ競争を意識しないといけないフェーズになったのかもしれない。

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