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アンゾフの成長マトリックスを使いこなそう

大企業で事業開発を進めるには、アンゾフの成長マトリックスの市場開発から始めるのが最も効率的です。

アンゾフの成長マトリックスの使い方

アンゾフの成長マトリックスは、イゴール・アンゾフ(英語: Harry Igor Ansoff)氏によって提唱された事業の成長のために用いられるマトリックスです。成長ベクトルや事業拡大マトリクスなどとも呼ばれます。

成長戦略を、市場と製品の2軸で切り分け、既存市場と新規市場、既存製品と新規製品の4つの掛け合わせができます。

超有名かつ古典的なフレームワーク、と言う認識でしたが、最近、改めて「皆が知っていて」「理解しやすく」「シンプルに説明できる」フレームワークの大切さに気づいて、考え直すようになりました。

アンゾフの成長マトリックス

アンゾフの成長マトリックスの横軸を「製品」から「技術」に置き換えて使うことがありあます。この場合、「技術開発を伴うプロジェクトか否か」を横軸の基準とできるので、技術開発を伴う事業開発にとっては、こちらの方がより使い勝手の良いフレームワークになっています。

アンゾフの成長マトリックスの応用

大企業で取るべき事業開発戦略はどれか

大企業で新規事業に取り組むのなら、アンゾフの成長マトリックスでいう新市場開拓(既存製品×新規市場:左上)が初手としては最善手です。なぜなら、社内のリソースを生かすことができ、開発期間を短くできるからです。

最終的には、新製品開発(新技術の開発)を伴って、右上のゾーンを攻めていきたいところですが、どうしても時間がかかります。ある程度の明確な成果(大企業で認められるレベルの売上規模感)が出るまで、どんなに頑張っても5年はかかると見ておくべきです。

5年間何も成果がなく、「順調に進んでいます」という報告だけで許してもらえることはまず無いでしょう。不景気時期に突入した際には真っ先にコストカットの対象になります。

成果が出る前に投資を打ち切られることを避けるために、小さな成功をできるだけ早く積み上げていくことが必要となります。「少しずつ成果が出てきて」「将来的に成功しそうな雰囲気がある」と周囲に感じてもらうことが第一目標で、そうでなければ投資打ち切りの憂き目に遭います。大企業で事業開発を行うのであれば、投資家は、社内の経営者・上司・同僚です。常に既存事業との投資効果の比較にさらされているので、継続して新規事業に投資し続けていく(その中で自分が活動し続けていく)ためには、通常の起業以上に、周囲に将来性と現状の進捗、成果を、説明し、理解してもらうことが必要です。

そのため、左上から右上をうかがうのが、ベストであり、マストだと考えています。

これ以外の方法は、一発狙うか、強運にすがるか、です。実際立ち上がる事業はそうだとしても、再現性が無いため、事業開発としてメインで取り組むことはお勧めしません。大企業の事業開発では、あくまでも計画内で進める固いプロジェクトの裏で、リスクの大きいホームランネタをいくつも隠し持っている状態が理想になります。

アンゾフの成長マトリックス2

大企業で事業開発をやるアドバンテージは、豊富なアセットを活用し、よりインパクトの大きいテーマに取り組めることです。特に、長期投資に関しては、大企業での事業開発に分があります。

「うちの上層部は、我慢が出来ず、短期の成果ばかり追い求めている」という愚痴をよく聞きますが、スタートアップと比べるとキャッシュバーンの不安がほぼない中でトライできるため、やりようはいくらでもあると思います。

せっかく、スタートアップでなく、大企業での事業開発ができるのであれば、その豊富なアセットを活用して、スタートアップでは難しい長期的で大きなテーマを狙いたいものです。

そのために、スモールサクセスを積み上げて、信頼と投資を得ていく戦略を取るべきだと思います。

初手で既存事業との競合を避けるべき理由

大企業で、破壊的イノベーションを自ら起こそうとすると、社内で積極的に潰されてしまうリスクが高くなります。

大企業には大きな慣性の法則が働いています

大きな流れに逆らうことはできるだけ避けながら、自然に流れを少しずつ変えていかなければ、大企業での事業開発はうまくいきません。既存事業の力学をうまく利用して、スルスルと新規事業を立ち上げていくスキルが社内突破の鍵となると信じています。

あえて既存事業に喧嘩を売るような事業アイデアから始めなくても、他にもっと既存事業と競合せずに進めやすい、かつ、将来性のあるアイデアが必ず存在します。既存事業についてはよく知っているが故に、それを改善する破壊的イノベーションのアイデアが出てくるのだと思いますが、それをしたいのであれば、社内の事業開発でなく、社外に出て起業した方が良いと思います。

大企業で事業開発をするメリットは、企業の豊富なアセットを使い、インパクトの大きい事業アイデアにチャレンジできること、大企業の信頼と管理能力がないと参入できない分野でチャンレンジできること、この2点です。

したがって、少なくとも初手では、既存事業との競合は避けるべき、と考えます。

参考文献

アンゾフの理論の真髄。これ以上の書籍はない最高の一冊だと思います。



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