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REJECTのFortnite参入から見るこれからのFortnite競技シーンへの期待

Fortnite、それはFPSキッズの温床。

2017年のリリース以来、全世界で累計約3億5000万人ものユーザーを獲得したEPIC Gamesのビッグゲームタイトル。
国内外のメディアで多くの注目を集め、あちこちで名前を聞くのも少ないことではない。

独自の「建築」と呼ばれる要素を組み込んだTPSであることが特徴で、複雑なゲーム性で知られている。ユーザーが「建築」のスキルを向上させ続けた結果、高年齢層のプレイヤーが離れる&新規層は入りにくくなり、今では競技シーンにおいて中学生~高校生が上位を席巻し続けている。

他ゲーム・他メディアとのコラボが顕著であるのも特徴で、MARVELコミックやDCコミックにスターウォーズ、HaloやLeague of Legendsとのコラボスキンも発売された。日本人としては「ナルト疾風伝」コラボも大注目のニュースだった。


2019年のワールドカップでは、賞金総額が日本円にして約33億円に達し、当時の競技大会(eスポーツに限らない)で世界最高額となり、大きな話題を呼んだ。ソロ部門世界一位を獲得したBugha選手(Sentinels所属)は、当時若冠18歳にして、賞金3億円を一夜で手にした。

オンライン大会が主流になっている昨今でも、中高生の子供たちが地域覇者に輝き、大金を獲得することが多い。

https://www.afpbb.com/articles/-/3237152

フォートナイト競技を離れ、別ゲー競技シーンへ移った選手やストリーマーへ転身した選手も少なくない。
VALORANTで日本最強ジェットとして名高い、Zepher選手(REJECT)にMeiy選手(CrazyRaccoon)、Minty選手(FAVGaming)たちや、ストリーマーとして活躍するだるまいずごっど氏やありさか氏、Crylix氏もフォートナイト出身だ。

大手チームREJECT参戦

2月5日、国内大手プロゲーミングチームREJECTがFORTNITE部門結成を発表。それと同時に元ALBAeSports所属のMonster選手を獲得したことも発表した。
この日はMonster選手の誕生日らしく、まさしく粋な計らいと言える。
今後もRCはFORTNITE部門において、選手獲得を予定しているという。

Monster選手はseason7(昨年11月)のFortniteChampioShips(通称FNCS)という、最大規模公式大会においてもトリオアジア3位を獲得した、まさにノリにノってる選手。公式大会における獲得賞金総額はおよそ180万円。

最近の彼について言えば、招待制大会での寝坊などのプロ意識の欠けた行動(本人反省済み)が問題視されたり、古巣ALBAeSportsのCEO・Aki氏と同チームの運営するスクリムの運営方針やチームメイトの疑惑・それに伴う処遇を巡って対立したりして、結果としてTwitter上で公開除隊された選手。
これについてはデマも混在しているため、大きく言及はしない。

ただ上記のような事件が競技シーンやその運営時点で起こってしまうほど、界隈が若く、幼く、決して健全と言えない。

公式大会などで、チーミングやチート行為でBANされた選手をアンチが攻撃&ファンが擁護し、泥沼炎上するケース。
賞金付きスクリムにNAW(北米西)鯖から海外選手が参入した結果、彼らのルール・マナー違反などの文化・言語の違いによるトラブル。
競技シーンも始まって3,4年と長いが、ゲーム性も合間って、昔からこのような状況が続いている。

そこへ新たに参入したのがシューティングゲームの申し子RC。各部門で得た支持や経験を新天地でも活かそうという考えの下であるのは、想像に難くない。
これまでの獲得賞金総額は2億円越え。スポンサーも多く、2月8日にはYogibo・東京メトロとのスポンサー契約締結を発表。昨年には、筑波大学とeスポーツについてスポーツ科学の分野で共同研究を開始。
アパレル展開やコラボグッズ・動画投稿など、どれも他チームの先駆け。
まさに日本eスポーツ界の切り込み隊長的チームだ。


現在のFortnite

ここで現在fortnite競技シーンへ参入している主要チームをおさらいする。


古くからの日本のFortnite人気を支えてきたのはCrazyRaccoon・Riddle・GameWithの3つのプロチーム。
現在でも大会実績や獲得賞金、SNSのフォロワー数や所属選手の配信の同時接続人数はトップ。メディア露出も多く、所属選手はそれぞれ、選手とインフルエンサーの両立させた活動が目立つ。チーム自体も、スポンサーの数や運営団体の経済規模により、財力が強い。

しかし最近は、GW以外は他の部門へ注力しているように感じられる。

近年はALBAeSportsが3チームに代わって、力を付け始めている印象だ。アジア1位常連選手の獲得をはじめ、前述のスクリム運営・GWと提携した大会開催など、幅広く活躍している。まだ発足1年とは思えない成長っぷり。
しかし、これだけ幅広くやっていても、スポンサーは現時点でGWとレベルインフィニティの2企業。現在のスクリム運営事業を発展させ、フォートナイト競技リーグ発足を目指しているが、これに注目し支援しようとする企業は多くはないようだ。

東アジア(日本)シーンで言えば、強豪JUPITER(現ZETA)などの日本チームの撤退や、韓国最後の砦にして最強チームT1の解散など、盛り上がりとしては下火状態。


世界全体的に第一回以降、ワールドカップの開催は計画されておらず、AustraliaOpenやESLといったオフライン大会も開催されず、決してメジャーeスポーツタイトルとは言えない勢いだ。

しかしそれでもなお、多くの競技選手・ストリーマーが活躍し続け、配信の盛り上がりだけで言えば、世界的に見ても依然として高い。

https://streamscharts.com/news/twitch-categories-2021

上記サイトのように、国内9位(昨年12月月間)もの配信視聴、世界4位(昨年年間、Twich)もの配信時間を誇っている。ゲーム配信的には、まだまだ廃れていないコンテンツである。


Fortniteストリーマー事情

海外ストリーマーの多くはプロチームやストリーマー事務所に所属しているが、主観として、日本の大手フォートナイトストリーマーはフリーの場合が多い。Youtubeチャンネル登録者何十万人規模、最高同時接続人数何万人規模の有名ストリーマーも、今現在フリーである割合が高い。

フリーストリーマーにおける利点としては、自由な活動が可能であることや全収益の確保などが挙げられる。もともと組織に所属していたが、嫌気がさして脱退するケースは、特定のゲームに関係なく、頻繁に見られる。

また所属ストリーマーのデメリットとしては、活動の制限(スポンサー関連など)全収益が確保できるか不透明であることなどが、よく言及される。

日本においては、所属団体から給与が出ない、もしくは大幅な知名度アップが見込めない、自分の目指す活動に合わない限り、組織への所属には大きなメリットないとされる風潮にあるのだ。

日本フォートナイトシーンにおけるフリーストリーマーの割合が高いことは、日本の各組織規模が小さく、力(インフルエンス力・資金面)などが十分でないことを示しているのではないだろうか。


現状の問題点


ここで、日本のフォートナイトシーンにおける問題点を整理する。

①競技シーンに若い選手・関係者が多い。尚且つ精神的に幼い選手がファンを得やすい風潮にある。

②界隈に参入しているチームに、強い力を持つプロチームが少ない。

③盛り上がりが下火状態である。(具体的にはアクティブプレイヤー数・競技観戦者数の減少)


①から③すべてにおいて、「きちんとした大人のいるチーム」が今よりもっと数多く参入し、選手やストリーマーをサポートしていくことで解決すると思っている。

今回冒頭で紹介したREJECTには日本のフォートナイト競技ではまず聞かない、メンタルコーチやライフサポーターという役職を持つ人がいる。

そう、話を聞いてくれる大人である。eスポーツ以外で身近に活躍する大人から何かを得る、もしくは話を聞いて何かを得る。
そういった環境・機会が選手たちを大いに成長させてくれるのではないだろうか。

また大手チームは単純に、カネや影響力をたくさん持っている。フォートナイトストリーマーの組織所属と彼らへのサポート、もしくは所属済みストリーマーのフォートナイトの盛り上げ。
無料ゲームでスキンも豊富で人気の土壌が育っているこのゲームには、ラストの一押しが必要なのだ。


また、ALBAはフォートナイト競技における給与(賞金)の不安定性セカンドライフの不透明さを訴えていた。(このの問題改善を図って現在のスクリム運営・リーグ構想につながるのは余談)
これらの問題も、大手チームの給与(フルタイム制)システムや他部門・企画等の事務への移籍の余地を考えると、今の状態よりも改善へ大きく前進するだろう。


大きな一歩へ

最近では、九州を中心に活動し、世界大会にも多数のゲームで出場した実績のある大手プロチームSengokuGamingが、フォートナイト参入と選手・ストリーマーの募集を発表。

どのような機運かわからないが、ワールドカップ以来久しぶりに、フォートナイトは日本eスポーツ界での注目を集め始めているのだろう。
長らく寡占状態の続いていた日本及びアジアのフォートナイト競技シーンに、大きな変革の時が訪れようとしている。

今後、フォートナイト競技シーンを戦い抜いた中高生選手は間違いなく、日本のFPS競技を引っ張る存在となる。
彼らと、彼らのチームと、彼らを育むフォートナイト及びEPIC関係者の皆様に幸多からんことを。




軽く公式を宣伝

もうじきすると、大規模大会FNCSが開幕します。
今年はデュオ(2人1チーム)で、地域王者を勝ち取るべく猛者たちがしのぎを削ります。マッチ終盤の盛り上がりはバトルロワイヤルタイトル史上屈指のアツさを誇っています。公式Youtubeチャンネルにて配信予定なので、ぜひともご覧ください。

⇧昨シーズン決勝のアーカイブ。実況はApex公式大会などでおなじみ大和周平アナや平岩康佑アナが担当。ストリーマーの観戦配信のほうが同接数多いのが玉にキズ。



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