思い出す父とのキャンプ
子どもの頃、夏休みになると家族で毎年海へ出かけた。
「キャンプだ!」
「ホイ!」
なんてかけ声はなかったが、宿泊といえばキャンプ一択。
サバイバル一家だった。
いや、厳密に言うとサバイバル生活に憧れる父のとてつもないエネルギーに、母は迎合していただけなのかもしれない。
父は、何かと自分で生み出す天才だった。
エンジニアとか、科学者とか、そんなのじゃなくて、日常生活で足りない物をいかにお金をかけずに別の物で代用するか。そんな天才だった。
戦後の物のない混沌とした時代を、幼少期