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死ンデレラ

 昔々ある所に、死ンデレラと呼ばれる娘が、継母と二人の姉と共に暮らしておりました。意地悪な継母らは死ンデレラを虐めて家庭用原子炉の死の灰の掃除をさせるので、彼女は死の灰被り死ンデレラと呼ばれているのでした。
 ある日、王子様は長年争う帝国との決着をつける為、強者を選抜する武闘会を開くことにしました。
「死ンデレラ、貴女は留守番よ! だって貴女は何の取り柄もないからね!」
 王国の子女たる者、自らを兵器と成し王家の藩屏となるべしというのは、死ンデレラも実の親から聞かされ育ったので、忸怩たる思いがありました。両親は死ンデレラを人間兵器にする前に護国の英霊となったのです。
 継母達は戦化粧をし、チャリオットに乗ってお城へと出陣して行きました。
「ああ、私も武闘会で踊りたいわ!」
 死ンデレラの血が騒ぎますが、ライトアップされるお城のコロシアムを眺めることしかできません。
「行けばいい」
 室内からの声。見ると部屋の隅に、ズタボロの僧服を纏った男が蹲っているではありませんか。
「怪しからん、化生の類か!」
 死ンデレラは蹴りを放ちます。しかし男は悠然とかわすと、死ンデレラの脚の上に立っていました。
「俺は旅の僧よ。燻る気を頼りに来てみたが、お前さん何故武闘会に出ないのだ?」
 死ンデレラは事情を話しました。聞き終わると、男は真言を唱え出したのです。
「ノウマクサンマンダバザラダンセンダマカロシャダソワタヤウンタラタカンマン、喝ッ!」
 すると死ンデレラに異変が起こりました。肌は緑色になり、筋肉が肥大化しました。
「嗚呼!」
 体から湧き上がる力に、死ンデレラは震えました。
「資格は得たり。ただ気をつけるのだ、その力は子の刻を過ぎると己が身をも滅ぼす。それまでに……全試合勝ち抜け」
「応!」
 死ンデレラは獰猛に笑うと、カボチャのチャリオットに乗って出陣しました。
 折しもお城では一回戦が終了し、赤頭巾が人狼の心の臓を抉った所でした。

【続く】


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