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こんな雨の日も

仕事終えて、ビール飲んで、ゴハン作って、吉太郎とわちゃわちゃしながら、週末の計画に胸躍らせる日常なんて、当たり前に続くと思っていた。

それは、癌の告知を受けてからも、余命宣告を受けてからも、変わらなかった。

でも、こうやって、ホスピスのベッドに体を横たえて、日々、動かなくなっていく体と対話していると、
やっと現実に引き戻され、
もうその当たり前の日々は、2度と戻ってこないのだと知る。

病室の壁いっぱいに広がった波の光も、私の目に映る海の蒼さも、もう記憶の上書きができないのだと。

でも、私たちは、確かに同じときを過ごしたはず。
同じ時間を流れるように交差してきた。

明日は雨。
君もずっと家の中。

ふと目にとまる窓越しの雨の色は、きっと同じ色。

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