IDEC

人生終えるまでの備忘録をこっそりと。

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最近の記事

風かおる日々

やりたい事や行きたい事が出来ないまま、体が朽ちて行く。 何をどこで間違って、何が消えてしまったのだろう。 風かおる季節も、冷え切ったワインの奥に広がる海も、もう思い出でしかない。 悲しくて苦しくて、ちぎれそうな鋭利な感覚を、少しずつ剥がしていく。 これからは、自分に愛を。 幸せに包まれた思い出に溢れて、浴びるくらいの愛を。 そして、出会えたすべての人達へ伝えきれない感謝と愛を。 そして、魂は解き放たれて、再び自由になれる。 それまでのわずかな間、少しだけ、 肩を

    • ニコイチ

      どこにいくのにも、吉太郎を連れまわしていたから、私たちは「ニコイチ」だった。 だからと言って、忠誠心が強い犬だというわけでもなく、セクシー系の若い女子が好きで、ただのエロ爺さんでもあった吉太郎😚。 離れ離れになって、私の膝の上が、左側の空間が、腕に収まる抱擁の温もりが、全て引きちぎられたような感覚で、痛みさえも伴う。 吉太郎の余生が、ただただ穏やかで、憎しみも痛みもなく、静かな時間を過ごしてくれたらと願う。 新しいお家は、海の近くで、吉太郎の事を理解してくれている人。

      • 陽の当たる場所

        君がいた場所。 ここには太陽が降り注ぎ、 気の向くままに場所を変えて、 穏やかな風を感じながら、 まどろむ場所。 光と風に導かれながら、 少しずつ伸びる方向を変えて、 痛む体を横たえながら、 深く眠る場所。 君がいるはずだった場所 西日に照らされた木彫りの象は、 行き場がなくなり、ぽつんと佇んで、 その役目を終えた。 少し待っていてね。 私は、少し先に旅立って、君がいた、 あの暖かな「陽の当たる場所」を 探しておく。 その場所でも、また深く抱きしめて、グーッって君

        • さよならカラー🩷

          もうすぐ、吉太郎へお別れを。 最後となる、永遠のお別れを。 抱きしめたいのに、 触れることができない。 体の痛みが私の全てを縛りつけて、 もう動けない。 最後まで、想いを伝えられなくてごめんなさい。 輝きを放っていた記憶のカケラは、 頭から降り注ぐ。 ずぶ濡れになって泣きながら2人で帰った神楽坂の思い出は、 今は、光の闇に引き込まれて、遠くに消えた。 愛していると、もっとずっと、伝え続けたかった。 私たちの別れを飾る色は、どんな色になるだろう。 吉太郎が寂しが

        風かおる日々

          吉太郎とのお別れ

          朽ちていくこの体では、あなたの世話ができない。 不安そうな眼差しも、 ちょっと怒った態度も、 安心しきっていた寝顔も、 全てが愛おしかった。 たったひとりの私の家族で、どこにでも連れて行った。 私の肉体が消えてなくなるから、 あなたに触れることができない。 少し出張へ出ているだけ。 短期の旅行へ出ているだけ。 いつか、お土産抱えて、きっと戻ってくる。 吉太郎は、これからも、帰らない私を待ち続けるのだろうか。 君が痛みや苦しみに包まれる前に、必ず助けに行くから。 だ

          吉太郎とのお別れ

          壊れたモノ

          砕けちった貝殻を拾って、手の中に広げてみる。 長い月日を経て少しずつ壊れていったモノは、2度と元に戻らない。 一片の先端が手の甲を傷付け、血管の奥深くへ沈み、背中を刺す。 尖った言葉の暴力に 切り裂かれる痛み 憎しみに満ちたトゲ 貝殻は、全て捨ててしまうから、 どうか穏やかな言葉を。 温かい言葉を。 残り僅かな時間に、ただただ穏やかな記憶を。 ゆっくりと 深い眠りにおちるまで 肉体が消えるまで 記憶が消えるまで

          壊れたモノ

          君がいた夏

          太陽は少し遠くにあって、 車の中から音楽がなって、 不恰好なライ麦サンドイッチをちぎるように食べていた君といた初夏の湖 淡い光が水面を包み、体をも飲み込もうとしている。 穏やかな波音が聞こえる。 幻聴と古い夢が交錯するなか、 記憶の闇に飲み込まれ、 静かに落ちていく。 深く包み込みような眠りの先に、 痛みのない世界が広がる。 そしてまた、あれだけ愛した夏の日が輝き出す。 記憶の奥にずっと。

          君がいた夏

          こんな雨の日も

          仕事終えて、ビール飲んで、ゴハン作って、吉太郎とわちゃわちゃしながら、週末の計画に胸躍らせる日常なんて、当たり前に続くと思っていた。 それは、癌の告知を受けてからも、余命宣告を受けてからも、変わらなかった。 でも、こうやって、ホスピスのベッドに体を横たえて、日々、動かなくなっていく体と対話していると、 やっと現実に引き戻され、 もうその当たり前の日々は、2度と戻ってこないのだと知る。 病室の壁いっぱいに広がった波の光も、私の目に映る海の蒼さも、もう記憶の上書きができない

          こんな雨の日も

          思い出を溢れるほどに

          無機質な病室の壁に、思い出を色付けしてもらった。 春の海。 あの夏の日。 秋のフェス。 冬を待つ海の空。 吉太郎と過ごした日々。 ささやかな時間。 海の冷たさも、吉太郎の重みも、空の青さも、すぐにそこにあった笑顔の明るさも、溢れる愛も、もう戻らない。 そして、私だけがフレームから消えていなくなる。 それまでは、壁いっぱいに広がった溢れる思い出と愛を浴びていたい。 輝いていた日々の温もりと、笑い声だけに包まれていく。 静かに、穏やかに。 深い眠りにつくまで、ゆっく

          思い出を溢れるほどに

          病室の窓

          私に残されたわずかな時間。 命を削ってでも、会いたい人に会いたい。 会わせてほしい。 窓越しに見る空に、動かない体を浮遊させるのには難しい。 雲を掴むより空虚な時間。 あなたに会いたい。 一緒に大笑いしながら、あの時を過ごしたあなたに会いたい。 あの時のように、バカな事を言い合って、カラカラと笑い、少しだけでいいから、そんな時を取り戻したい。 今まで出会ったあなた達に、時を超えて、 もう一度会いたい。

          病室の窓

          あいみょん 愛の花

          あいみょんの「愛の花」が心に突き刺さる。 ▼▼▼ 言葉足らずの愛を 愛を貴方へ 私は決して今を 今を憎んではいない 歪んだ雲が空を 空を濁して 私の夢は全て 全て置いてきたの 命ある日々 静かに誰かを 愛した日々 空が晴れたら 愛を 愛を伝えて 涙は明日の為 新しい花の種 恋に焦がれた人は 人は 天の上 いつかあの場所で強く 強く手を結び抱いて 緑ゆれてる 貴方の声が聴こえた気がする 空が晴れたら 逢いに 逢いに来て欲しい 涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪 木

          あいみょん 愛の花

          夏日

          太陽と海とビールと転げ回りそうな笑顔 海が眩しすぎて、記憶が薄らぐ 思い出は僕を苦しめる あの時に戻ろうと僕を苦しめる 戻れない日々を追って心をえぐられる 思い出はカケラとなって、肉体と共に散りゆく もうすぐ消える 太陽が闇に隠れた間に、全て消える 穏やかな海に沈んでいく 誰にも気づかれずに

          沈みゆく言葉

          幼き頃、愛され方を知らずに過ごし、 大人になって、家族として愛を伝えるすべを見失った。 それでも愛されたかったのだと思う。 屈折した思考で想いが伝わるはずもなく。 手のひらから砂のように逃げていった伝えられない幾つもの言葉。 海の底に沈んでしまった精一杯の温かい言葉はもう取り戻せないけど、時々、浮遊して、少しだけ、あなたに届きますように。 私はもうすぐ朽ちて、動けなくなって、消えていく。 魂だって消えていく。 それでも伝えたかったこと 伝えちゃいけなかったこと ず

          沈みゆく言葉

          故郷の海 故郷を旅立つ時に見る吉田の海 赤い橋の下に広がるサンフランシスコの海 コルシカの碧い海 SUPを漕いだ秋谷と逗子の海 生まれた時から、ずっと海に囲まれて、 拠り所だった。 海のない街に耐えられず、エトルタ(etretat)まで遠出した。 また行けると思っていた。 故郷の海 孤独を包んでくれたサンフランシスコ湾 穏やかな日々を過ごせた地中海 吉太郎とSUPした逗子の海 海面の輝きの記憶だけが鮮明で、記憶は遠く、波の音が微かに聞こえる。 肉体が消えたら、魂は海

          ささやかなメッセージを

          感覚が薄れ、肉体が消え、ちりぢりになって、白い破片だけが残る。 僅かな生きた証。 赤い椿が降る、私が生まれた季節に、 どうか尋ねてきてほしい。 少しの曇り空と冷たい風と、 小さな心残りの間をぬって、あなたに会いたい。 私の姿は探せないけど、それでもあなたに会いたい。 出会ってくれた全ての人たちへ。 愛を込めて。 出会ってくれてありがとう! 会いに来てくれてありがとう🌺と伝えたい。

          ささやかなメッセージを

          俳句を少し

          桜吹き 去りゆく君の 影に散り 紅葉燃ゆ 車窓にきみと 紅のジョーカー 月曇り 消えゆく湯気に かさね雪

          俳句を少し