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十二支のはなし(昔話のパロディ)

(だらだら文章を書いていたら、いつの間にか十二支の話になりました。笑)

タイムマシンは時間と空間を入れかえる。

時間が空間になるから、近所のコンビニにテクテク歩いていく感覚で時空間移動が可能になる。

マシンを起動した使用者は、マシンが放射するキラキラ光る粒子にすっぽりと全身を包み込むことで、テクテクと過去や未来へ自由に往き来することができる。

マシンが出すキラキラ光るやつは、魔法使いが杖を一振りすると、シャララン♪と出る星くずとほとんど同じものである。舐めるとぴりりと七味唐辛子の味がするらしい。

つまり、魔法使いはその気になれば時間旅行できるし、SFとファンタジーの厳格な区別はない。ハリーポッターがSFの世界で有名なネビュラ賞とヒューゴー賞を受賞しているし、自分がSFだと思ったら、その作品はまさしくSFである。

ドラゴンと宇宙ロケットの組み合わせ、移動手段にドラゴンを使う鬼の種族がどこかの惑星に生息しているかもしれない。

(ここから十二支の話が始まります)

「蛇の道は蛇」これはのたくるドラゴンの尻尾からスタートして、あんぐりと紅い口を開けたドラゴンの口の中のゴールを目指すランニング🏃である(マンガにそういうのがありました)。

ついに口の中に飛び込んだ男は、ドラゴンの歯と歯の隙間に、糸ようじのようにダイナマイトの導火線を引っかけます。ドラゴンは口から火焔を吐くから、ちりちりと導火線に火が着き、虫歯をみごとに吹っ飛ばすことができました。

男はドラゴン専門の歯医者でした。竜の口の中では、去年の干支のウサギ(白と黒のパンダウサギ)が干し草とラビットフードを食べています。

歯医者はついでにウサギさんの伸びすぎた前歯を削ってやりました。しばらくウサギの背中をナデナデするとすくっと立ち上がり、虫歯が取れて歯痛から解放されて熟睡しているドラゴンの巨大な鼻ちょうちんの中に入って、ふわふわと風に乗ってどこまでも飛んでいきました。

翌年の巳年(へびどし)に化石化した人間の入ったまん丸のクリスタルが空からたくさん降って来ましたが、これは竜の鼻ちょうちんで空を飛ぶレジャーを楽しんでいた人たちが、地上の蛇女ゴーゴンに次々と睨まれたからです。

ゴーゴンはそこまで目が良くないので、双眼鏡を使って遠くから人間を石に変えていきました。

どこかの草むらで蛇に睨まれたカエルも化石になりましたが、これを食べようとした毒蛇は牙が欠けてしまいました。カエルの「ゲコ」の鳴き声も石化して後から落ちてきたから、蛇は「ゲコ」の文字に潰れて、子蛇の看病もむなしく年末には死んでしまいました。

蛇が死に、蛇女ゴーゴンも巳年の舞台(ステージ)から退場すると、次の午(うま)の年に魔法がとけて化石になっていた人たちは元に戻りました。

石から元に戻った人は、12年後の巳年(へびどし)にゴーゴンに睨まれることなしに、再び一年間石に戻り、しばらく沈黙することになります。12年周期で石になるのが、彼らの持病になりました。それ以外は特に命に別状はありませんが。

石にされていたカエルも午年(うまどし)には元に戻りましたが、毒蛇の折れた牙が背中に突き刺さったままのカエルは毒が回って発狂してしまいました。次の世代はヤドクガエルになりましたが、先住民に捕まり、矢じりの先にぶっ刺されたまま武器にされるなど、不幸な運命が彼らを待っていました。

その年、雷に撃たれたことで知能指数を300も増やして、突然に直立二足歩行を始めた鹿が、馬を乗りこなして人々を驚かせたのに、進化した鹿はなぜかバカ(馬鹿)扱いをされて不満でした。

市民権を獲得した鹿は、牧場を馬ごと買い取り、敷地内に研究所を建てると馬の遺伝子を次々に操作して、ペガサス(天馬)にしてやりました。これは午年(うまどし)のいちばんの大ニュースでした。空飛ぶ馬の群れが宇宙に逃げ出して、12年後の午年までこの惑星に帰ってくることはありませんでした。ペガサスは星座になりました。

その後も、馬を失った鹿の科学者のマッドな研究は続き、毎年、珍奇な発明・発見をしては世間をあっと驚かせました。

🐏翌年(未年・ひつじどし)にはアンドロイドと電気羊を生み出す。

🐵申年(さるどし)には猿に知能を与える。

🐔彼の鶏肉製造工場の培養槽からチキン・ジョージが誕生(酉年・とり年)

🐶地球という太陽系の惑星からかわいい犬という愛玩動物を連れてきて一大ブームを巻き起こす(戌年・いぬ年)

🐗豚を退化させて絶滅したイノシシを復活させる(亥年・いのしし年)

🐭牧場で共同で核開発をした進化した鹿と猿は、広大な牧場をフェンスで囲うと解放区をつくり、衛星攻撃兵器ヘッジ・ホッグ(ハリネズミの意味)を打ち上げる(子年・ねずみ年)

世界中で猿の軍団の不穏な動きがあり、核やレーザー兵器の脅威をチラつかせるから、人類は恐怖に包まれました。

🐮丑年(うしどし)には牛があべこべに人間を食べる事件も発生しましたが、半年過ぎた頃、遠い星から頭が牛で、トラ柄のスーツに身を包んだ巨大ヒーロー「ウシトラマン(丑寅マン)」がやって来て、鹿と猿の軍事施設をたくさん踏みつぶしてくれましたが、半年で故郷の星に帰ってしまいました。

🐯寅年になり、人類は「ウルトラ(超虎)マン」の登場を期待しましたが、そんなものはやって来ず、「ベントラー・ベントラー」と夜空に叫ぶと空飛ぶ円盤からひょっこり顔を出したトラの宇宙人が手を振りながらやってきて、すぐに宇宙へと消えていきました。人類は失望しました。

(ストーリーの最後は筒井康隆の書いた1974年の寅年の年賀状から引用しました)


ついでに1975年 卯年の年賀状。

僕もカチカチ山のパロディで、ウサギのバニーガールと、タヌキのおじさんが出てくる話を書いたことあるよ。

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