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デザインがかっこいい。お笑い芸人のライブポスター15選

こんにちは、iDID Magazine編集部です。荒天ではじまった6月。今年もはや2分の1が終わりそうで「ひぇーーー」という声が聞こえてきそうです。さて、今回は「デザインがかっこいい!お笑い芸人のライブポスター」をまとめてみました。目に入ったポスターからとてつもないこだわりを感じ、ぎょうさん居られる芸人さんがその芸を見てもらうために宣伝しているポスターは、どんな個性を出しているのか。気になり始めたら梅雨のジメジメした湿気のようにまとわり気になってしまい、記事に至った次第です。芸人さんのユニークネスを浴びながら、初夏に向かう準備を始めましょう。
それでは、どうぞ!

1. 東京03

『FROLIC A HOLIC』(2023)
『寄り添って割食って』(2023)

最近話題でした!縦の東京03と横のCreepy Nutsが、織物のように織り込まれている『FROLIC A HOLIC』。人をモノのように扱ってみることで生まれる面白さと、同時に、モノの構造や生々しさが現出する面白さ。『寄り添って割食って』では、モノを使ってあら不思議、見たことあるような3人の顔です。吉田ユニさんがつくるビジュアルにはこの「人間とモノの中間にある生々しい何ものか」を探っているような感じがあり、それが東京03の知的なお笑いのエッセンスともマッチしています。

『FROLIC A HOLIC』『寄り添って割食って』
宣伝美術:吉田ユニ

2. ラランド

『冗談』(2023)
左から『祝電 vol.2』(2022)、『祝電』(2020)

こちらも話題でした!ラランドを知っている人は斬新なビジュアルに驚き、ラランドを知らない人は自然と惹き込まれる、インパクトが抜群な『冗談』のポスタービジュアル。『冗談』も『祝電』も、まるで演劇のポスター!?と思ってしまう雰囲気です。サーヤさんが広告畑出身というのもあってか、いずれもビジュアルの訴求力がすごいです。

『冗談』
Art director, Designer:Shimpei Umeda (maxilla) @shimpeiumeda
Designer:Hiyori Yamaguchi @hiyooriy
Photographer:Shota Ashino @srg_ashino
Photographer Assistant:Kengo Hayashi
Hair&Makeup:Yousuke Toyoda @toyodayousuke
Hair&Makeup Assistant:Moka Wada @mokahairmakeup
Special thanks:Natsumi Ushijima @usjm72mi

『祝電 vol.2』
Art Direction & Design : Tetsuya Okiyama @studioh1310
Photo : Kentaro Murata
Styling : Takanohvskaya
Hair & Makeup : Natsuho Makino
Video Director : iramina @iraminaaaaaa
Client : Lemonjam Inc.

3. Aマッソ

『滑稽』(2023)
『欄編集長の逆説』(2019)

『滑稽』では、画家、絵本作家のヒグチユウコさんのダークファンタジーな世界観でAマッソの2人を包み込むビジュアル。『欄編集長の逆説』ではイラストレーター、最後の手段さんのアナーキーでポップな世界観がメインに鎮座する。どちらも興味深いのは、Aマッソの2人を前面に押し出すのではなく、世界観に主軸を置いているところです。

『滑稽』
Design:大島依提亜 
Illustration:ヒグチユウコ

『欄編集長の逆説』
Illustration:最後の手段

4. ジャルジャル

『JARUJARU TOWER 2021 ─愛るしい、きみ─』
『JARUJARU TOWER 2022 あいがちゅう』

Aマッソに引き続きジャルジャルも、イラストレーションを効果的に使っています。『JARUJARU TOWER 2021 ─愛るしい、きみ─』では、我喜屋位瑳務さんがキービジュアルを担当。彼ら2人を模したと思しきイラスト+ジャルジャルのちょっぴり奇妙で不思議な世界観がスパイスになっています。『JARUJARU TOWER 2022 あいがちゅう』でのOSAMU GOODSとのコラボレーションも愛らしさが抜群!

『JARUJARU TOWER 2021 ─愛るしい、きみ─』
Illustration:我喜屋位瑳務

『JARUJARU TOWER 2022 あいがちゅう』
KV:本多アシタ
Collaboration:OSAMU GOODS

5. 空気階段

『anna』(2021)
左から『baby』(2019)、『fart』(2022)

空気階段の単独公演のキービジュアルは、すべての作品で映像ディレクターの土井敏生さんが担当されていて、どれもがまるで映画のポスターみたいです。空気階段はキャラクターが強いので、キャラを出していくのかと思いきや、『anan』『baby』では彼らの姿は出てきません(初期作品では出ています)。彼らが大事にしていることが伝わってくるような…気がします。なお、目下最新作『無修正』(2023)では再び、彼らの姿がキービジュアルに出てきます!

『anna』『fart』『baby』
Photo, Design:土井敏生

6. 男性ブランコ

『やってみたいことがあるのだけれど』(2023)
左上から『えんがわサイケ』(2019)、『てんどん記』(2021)、『陽の当たルーム』(2019)

世界観の作り込みの秀逸さに見ているこちらも没頭してしまう、男性ブランコ。やはりどれも独特の世界観がありますね。ただ、過去のデザインでは人物とタイポがメインになっていたのが、直近のものではイラストがメインのようにも見えます。上記のポスターはいずれも川名潤さんがコントライブの宣伝美術全般を担当されているので、なぜこのような変化をつけられたのかすごく聞いてみたいところです。

『やってみたいことがあるのだけれど』
Illustration:unpis
Design:川名潤
Photo:齋藤葵

『えんがわサイケ』
Design:川名潤
Photo:馬込将充

『てんどん記』
Design:川名潤

『陽の当たルーム』
Design:川名潤
Photo:齋藤葵

7. 吉住

『ティーカップを、2つ』(2023)
左から『咲かないリンドウ』(2022)、『生意気なトルコ土産』(2021)

7月に開催される最新単独公演『ティーカップを、2つ』。ここではマダムに扮した、まるでマネキンのような、狂気すら感じさせる表情の吉住が。『咲かないリンドウ』『生意気なトルコ土産』では、撮影用の背景紙と文字と吉住と、いたってシンプルな装い。いずれにも共通なのは「吉住がひとりでやる、一人舞台である」ことが伝わることでしょうか。彼女の「この身一つでお笑いをやっている」ストイックな気概を感じさせられます。
また、デザイナーのヘンミモリさんは、吉住以外にも、お笑い関係のポスター、ジャケット、ロゴなどを多く手がけているデザイナーさんです。

『ティーカップを、2つ』『咲かないリンドウ』『生意気なトルコ土産』
Design:ヘンミモリ

8. 金の国

『青タン』(2023)
『花丸』(2022)

2017年にデビューした若手芸人の金の国も、映画ポスターのような仕上がりのひと組です。いい意味で統一感のないビジュアルがさらに映画っぽさを引き立てています。空気階段は洋画風ですが、金の国は邦画、そして特にミニシアター系の雰囲気があります。彼らは演技派としても知られているので、俳優的な印象も意図的に持たせているかもです。

9. ミキ

『ミキ漫 2020』(2020)
左から『ミキ漫 2018』、『ミキ漫 2023』、『ミキ漫 2022』

ミキの場合はキャラクター押しで、2人のコミカルなところ、クールなところ、愛らしいところなど、彼らの表情をいろんな切り口で切り取っています。「ミキ漫=漫才」ということで、世界観というよりは、2人にフォーカスをあてたデザインに自然となったのかなと推測します。吉住のポスターと比べると、また面白いですね。ポスターデザインによって、お笑い芸人の知らなかったかっこよさを出会える、というところがお笑いデザインの魅力なのかもしれませんね。

『ミキ漫 2018』『ミキ漫 2020』『ミキ漫 2022』『ミキ漫 2023』
Photographer:Shiho Otsuki
Design:opportune design

10. GAG

『GAG×ニッポンの社長』(2023)
左から『GAG×かが屋』、『GAG×トンツカタン』、『GAG×ロングコートダディ』(2023)

キャラクター押しといえば、GAGもそうかもしれません。写真はモノクロで、バックグラウンドに使われている色も2色のみ。ツーマンを想起させる使い方ではあるものの、特徴的なものではなく、その中で無表情にポーズを決める姿は彼ららしくしっくりするもの。ただ、実際はドラマのように展開の読めないカオス的シチュエーションコントを繰り広げられるので、ミキとは反対にGAGの魅力をあえて抑えることで、会場へ誘っているのかもしれません。

11. ZAZY

ZAZY大単独LIVE『大祭鳥』(2022)
左から『ULTRA VIP』(2020)、『ATENALI』(2019)、『SHINING EMERALDER』(2021)

ZAZY大単独LIVE『大祭鳥』のポスターは、タイトルと枠以外は、なんとZAZY自らがコラージュ&デザインをしたそうです。センスの塊すぎる…。『ULTRA VIP』『ATENALI』『SHINING EMERALDER』はartLargeさん制作で、こちらはいずれも映画のポスターや、ハードロックバンドのアルバムジャケットを彷彿とさせますね。

『大祭鳥』
Design:ZAZY(タイトルと枠以外)

『ULTRA VIP』『ATENALI』『SHINING EMERALDER』
KV:artLarge

12. ナイツ

『「ワッショイ」でない事だけは確か』(2018)
左から『エルやエスの必需品』(2019)、『味のない氷だった』(2017)

浅草漫才協会の副会長と理事のポジションから、少し古風なポスターをイメージしていたら、予想外の展開が待っていました。シュールなギャグとユーモアにピッタリなインパクトのあるイラストが目を引きます。イラストは漫画家のルノアール兄弟によるもので、浅草漫才協会とは正反対の存在に思えますが、その対比がまた絶妙です。イラストの元にもなっているライブタイトルは、生前の内海桂子師匠のツイートから抜粋されているそうです。

『「ワッショイ」でない事だけは確か』『エルやエスの必需品』『味のない氷だった』
Illustration:ルノアール兄弟

13. ママタルト

『THE FIRST MARCHAN GOMENNE』(2023)
左上から時計回りで『まーごめ憲法豚キムチ』『エキサイティングステーション』(2021)『MARGOME don't here』『単独するなら1本くらい電話くれよなあ』(2022)

今回の選考において、このコンビは唯一、実写の要素を含んだキービジュアルを作成していません。少なくとも初単独ライブでは、実写で自分たちの顔を露出して広めるべきでは?と個人的に考えていましたが、そんな心配は全く必要ありませんでした。なぜなら、彼らのイメージにぴったりな躍動感のあるイラストが、彼らの魅力を最も伝えられる手段になっていたからです。お笑いの世界でも、個性に寄り添ってデザインを考えてくれるクリエイターさんとの出会いは非常に重要な要素ですね。

『THE FIRST MARCHAN GOMENNE』『まーごめ憲法豚キムチ』『エキサイティングステーション』『MARGOME don't here』『単独するなら1本くらい電話くれよなあ』
Design : 西尾光子郎
Illustration:久保田之都

14. そいつどいつ

『すげぇよこいつら』(2021)
左から『みんな、しあわせ』(2021)、『あいつによろしく』(2019)

イラストと言えば、彼らを入れないわけにはいきません。ほんわかするイラストに加え、ライブタイトルやその他の情報を手書きで書かれていることで、独自性はもちろん、つかめない二人のキャラクターがグッとここに凝縮されています。このイラストを描いたせきのさんはおふたりのお友達だそうで、親しい関係だからこそのビジュアルなのかと思うと、もう一層楽しみが広がります。

『すげぇよこいつら』『みんな、しあわせ』『あいつによろしく』
illustration:せきの

15. ダウ90000

『また点滅に戻るだけ』(2023)
『いちおう捨てるけどとっておく』(2022)、『ずっと正月』(2022)

多くの芸人たちから称賛を受けている今注目株の演劇ユニット、ダウ90000。コントを飛び出た会話劇コメディという前知識はあるものの、正直、彼らのことはまだよくわかっていません。ただ、公演ごとに表情を変えるキービジュアルに惹かれ、今回取り上げないわけにはいかない!とピックアップさせてもらいました。これを機に彼らの公演を観に行くぞ〜!

『また点滅に戻るだけ』
Design:TRAMPOLINE

『いちおう捨てるけどとっておく』
Design:株式会社ソーダ

『ずっと正月』
Design:柴田ユウスケ(株式会社ソーダ
Illustration:ヨシダナツミ


あとふたつ!

15選からは漏れてしまったのですが、これもぜひ紹介しておきたい…というポスタービジュアルが2枚ありました。せっかくなのでこちらも紹介させてください!

真空ジェシカ・ガク

『カワマタカケル』(2023)

ライブタイトルとコンセプトがぴったりはまったキービジュアル。デザイナーのしらたきさん曰く、マルチバースをイメージして作られたそうです。
ちなみに、真空ジェシカ・ガクさんの本名、カワマタタケルをもじったものがライブタイトルになっています。タイトルも最高!

Design:しらたき

東京ホテイソン

『洒落柿』(2022)

ツッコミ担当たけるの出身地である岡山の伝統芸能の備中神楽をツッコミに取り入れている彼らだからこそ合うモダンと和の融合。タイトルに合わせて手に持っているプロットも主張しすぎずちょうど良いですね。

おしまい

編集部の好みも垣間見えましたでしょうか。セレクトするなかで沼にはまり、誰を紹介しようか迷いに迷いました。
制作クレジットはわかる範囲です。「これだよ」のコメントも、ぜひお寄せください。そしてあなたの推しポスターも教えてください。

それでは、また!


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