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エッセー

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おれが書いたエッセー
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記事一覧

十年そこらの孤独

10年、10年描かなくなったらおれは畑を耕して植物のことに詳しくなりたい 土のことだって雨の…

11

どこかでガラスの星屑になる

死んでしまおうか ずっと遠くの町からやって来たのに まだそんな燻り方をする 冬につっかけ履…

15

虫の羽ばたき、スピード、ブルー

この季節でも羽虫がいることに驚く 届いた手紙に付着していた卵から孵ったのか それとも長く続…

11

今日から詩人の名を借りて

詩人になりたかった 10代の初め頃から詩を書き続けて やっと自分を納得させられるものが作れる…

29

犬の名前を内緒にしたままに

いつか死んだ犬が生まれ変わり 鉄の塊になり 川の流れのひとつになり 音楽のなかのひとつの記…

18

機械願望者

機械のように描き、機械のように眠る。 死んだひとを想うには早過ぎる。 おれは冷たい部屋の中…

9

夜食のハヤシライス

ハヤシライスが晩飯に出た、それをおれは食った。 それから数時間後、銀色の車がそう、高速道路を駆け抜けて光の束になる頃 おれはもう一度ハヤシライスを食べようと思った。 でも、それからは遅かった。 食えるか食えないかわからなかった。 酒もない煙草もない詰まるところ金がない。 そんな時は何か食えるものがあれば食うぐらいしか愉しみがない。 それなのにおれは食えるか、食えないか 30年以上付き合ってきた胃袋の様子ひとつわからない。 おれはハヤシライスは好物なんだ。 食えるに決まってる