見出し画像

空き家が負動産になる前に 処分編Vol.2

 前回のVol.1では、空き家になってしまう理由、デメリットを書きましたが、今回は、考えておきたい空き家の引継ぎの事を書いていこうと思います。


空き家の引継ぎ(今のうちにできること)

元気でいるうちに準備しておいた方が、良いとおもいます。

そうだ、売却しよう!

早めに売却することで譲渡所得税が軽減される制度があります。
・居住用財産の譲渡所得の3000万円特別控除
(土地・建物の名義人が住んでいる場合や、住まなくなった日から3年後の年末までに売却した場合など、譲渡所得から3000万円が控除されます)
・所有期間が10年を超えている場合は税率の軽減措置も適用できます。

遺言書を書こう!

 先祖伝来の土地、家は引き継いでいきたい!等の想いは、ご家族に伝えておいた方がよろしいかとおもいます。

・遺言書やエンディングノートがあれば、遺産分割や相続人の合意がしやすくなり、家が放置されてしまうリスクも低くなります。
・故人の想いが分かれば、家族も自宅の処分や活用も進めやすくなります

元気なうちに渡してしまう!

生前贈与という方法もあります。
自宅を早めに子供や孫に贈与するのも一つの方法だと思います。

・生前贈与をすると、相続時に課税対象となる財産が減るので相続税が軽減されます。ただ一方で贈与税の対象となるので注意は必要です。
ただ、元気なうちに想いを引き継いでおけるので、遺族の相続後の煩わしさがなくなるかもしれません。


空き家の引継ぎ(相続したらする事)

空き家の相続税率は、家族が住んでいる家より割高です。家族が住んでいる家の様に、相続税の評価額を減額できません。

登記しよう!

空き家の相続登記を確実に行い、権利関係を明確にしましょう
・売却時の手続きがスムーズになります。
・担保に入れて住宅ローンを組むこともできます。
・相続登記が完了するまでは、空き家の責任は相続人全員が共有で負わなければいけません。(自分しか相続する人がいなく、相続放棄したとしても空き家の管理責任は伴います。相続管理人が決まるまでは放棄したとしても空き家の管理をしないといけません)

売却しよう!

相続した空き家の売却も、やっぱり早めがお得です。
・早めに売却すれば所得税がお得になります。
 空き家の譲渡所得の3000万円特別控除
※令和5年12月31日までの間に売却した場合
・活用できないのであれば、年々かかる費用が増えていきます。


認知症対策

 もし、家主の自分が認知症等になり判断能力が低下した場合、ご家族は法定後見人の専任が必要になり、いざ空き家を売却しようとしても裁判所の許可が必要になったりと時間がかかります。可能性として頭の片隅にいれておいた方がよろしいかとおもいます。

任意後見

任意後見人と契約を結び、判断能力が低下した後の代理権を与える制度
・家庭裁判所から、任意後見人の監督者も専任してもらう必要があります。
・監督者には報酬が発生します(任意後見人は契約次第)
・自宅の売却などに家庭裁判所の許可が不要なケースもありますが、事前に監督者への相談をおすすめします。

民事信託

家族と信託契約を結び、不動産を管理してもらう制度
・報酬は発生しません(契約次第)
・契約の内容を自由に決められます(柔軟な対応が可能)


認知症などになってしまった後は、、

法定後見(青年後見)

 本人や親族が家庭裁判所に法定後見人を選定してもらい、契約などの代理行為を行う制度です。
・親族や関係者が専任されるとは限りません。
・司法書士や弁護士が選任された場合は、報酬が発生します。
・自宅の売却などに家庭裁判所の許可が必要となります


どこに相談したらよいの?

法律だったり権利だったりと難しい事は、相談した方が良いと思います!

関連している士業の方々だけ書いておきます

・相続・権利義務関係書類作成 
 行政書士の方々
・登記、相続、成年後見、財産管理など 
 司法書士の方々
・相続、成年後見、財産管理を含む法律上の問題 
・債権債務・権利関係の整理
 
 弁護士の方々

次回は、空き家の売却や解体の事を書いてみます。
↓ 追記 処分編Vol.3