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子どもがゲームばかりします――妄想お悩み相談室

  妄想でお悩み相談を受けつけています。相談内容はフィクションです。回答は素人が真剣に考えて書いています。

小学校1年生の息子が、ゲームばかりしたがります。辞めさせようとすると怒り狂って手がおえません。どうしたらよいでしょうか?
(よっぴー/30歳/会社員)

ゲームばかりって良くないことなのでしょうか?

ゲームが好きなお子さんなのですね。

まず、うかがいたいのですが、ゲームばかりすることに、どんな問題があるのでしょうか? まずその点をしっかりと考えてみましょう。

視力が悪くなるから? ゲームばかりして宿題などに手がつかなくなるから?

それぞれのご家庭で、それぞれの理由があると思います。
まずはその理由を明確になさってください。そしてその理由は、本当に子どもにとってゲームをやめるに足る、有益な理由になるのかを考えてみてください。

視力が悪くなることについては、わたしの友人は子どものころずーっとゲームをしていたけれど、全然悪くならなかった(現在裸眼視力1.5)そうなので、ゲームが必ずしも視力低下の原因になるわけではないようです。
遺伝的に視力が悪くなりやすい人がゲームをすることで、視力の低下速度が速くなることはありえるかなと思いますが、そこが問題だとお考えなら、その他の要因はどうなのかもあわせて検討されるとよいと思います。

ゲームをしない時間にしてほしいことは?

さて、ゲームばかりすることの問題点が明確になったところで、次に、ゲーム時間を短くするのならば、その分生まれた時間で何をしてほしいのかも考えてみましょう。
ゲーム時間は短くなったけど、その分ずっとテレビを見てる、とか、ずっとスマートフォンでSNSやネットを見てる、といった状態になるかもしれません。ゲームさえしなければそれで良いのであればよいのですが、恐らくこうしてほしいという希望があるはずです。

では、やってほしいことはなんでしたか?
宿題、勉強、お手伝い?
ゲームと比較するまでもなく、つまらないですね。
もしそれらをしてほしいのであれば、ゲームをやめてそれらをする必要性をしっかりお子さんに伝えなければなりません。

「そっちの方が大事でしょ!」

というのは子どもにとっては説明になりません。保護者目線での価値を言ってるだけ。宿題をせずに、勉強をせずに、手伝いをせずに、ただゲームだけをして過ごすことに、どんなデメリットがあるのか、その先にどんな人生が待っているとあなたが考えているのか、子どもに伝わるように説明しないといけません。  

最後、ゲーム時間をどのくらい短くしてほしいのかを考えます。1日2時間とか、具体的な数字にするとよいです。なぜなら、これから子どもと交渉を行うことになるからです。

子どもに条件を提案し、交渉しよう

準備ができたらお子さんと相談しましょう。
そのとき、以下のことに注意してください。

① 親の意見を押し付けない
② 子どもの意見を聞く
③ 子どもが交渉する余地をきちんと残す

では、お子さんとゲームについて相談したいと目をあわせて丁寧にお願いしてみてください。真剣に話そうとしているのが伝われば、たいていのお子さんは話くらいは聞いてくれるはず。
そして、ゲームばかりするのをやめてほしいこと、やめてほしい理由、やめた分やってほしいこと、それらをやってほしい理由、ゲームをするにあたっての具体的なルールの提案を、丁寧に丁寧に伝えてみましょう。

途中で子どもが口を挟んだ時、聞ける余裕がある場合は聞いてもよいですが、そこから口論に発展する可能性があります。「最後まで話を聞いてから、あなたの意見を聞かせて」というのも一つの手です。
親からの説明が終わったら、子どもの意見を聞くターンになります。

あなたからの提案に対して、どう思うのか、実行できそうか、反対意見はあるのか……、しっかりヒアリングしましょう。ここで反論されても決して感情的になってはいけません。お子さんは、あなたに反発しているのではなく、提案内容に意見を述べているだけです。

お子さんの意見を聞き終わったら、交渉です。
先ほどあなたが提案したゲームのルールをどう実行可能なものにしていくのか、お子さんと相談します。子どもの意見を無視してルールを押し付けてしまわないように注意しましょう。そうなると、結局不満が膨れだし、ルールを守らせるための言い合いが生まれてしまいます。
お互いに納得できるルールを作ることができれば、ゲームの時間が来たよと告げても、怒って手がつけられないということにはなりません。

ケーススタディ:交渉が機能しなかった例

良くない例として、我が家ではかつて、ゲームは1時間勉強すれば1時間やっていい、と夫が勝手に宣言し、わたしがそれを守らせていました。しかし、子どもが1時間は短すぎると反発。わたしが夫と交渉してもらちがあかなかったので子どもから提案させました。
その結果

・30分勉強したら1時間ゲーム
・基本的に1日2時間まで
・午前中は必ず、散歩をする
・勉強は、教科書的なものではなく、本を読む、絵を描く等でもOK

と決定しましたが、夫主導で交渉が進んでいたこともあり、ゲームをしたいんだったらこうしろ、とかなり強硬にルールを決めてしまっていた様子。結果、お休みの日の散歩は出発したらすぐに「いつ帰るの?」と質問され、勉強も「これやったらもういいんだよね? もう30分経った?」と時間ばかり気にかけて内容が身についているとは思えません。勉強ではなく読書等でも、本人にはゲームのための”苦痛の時間”となってしまいました。
幸いにも、我が家にゲームが置いてあるわけではなく実家にあるため、最大でも週2日しかゲームには触れられませんし、大きな問題にはなっていません。子どももルールに慣れつつあるのでこのままいけるだろうとは思いますが、家にゲーム機が置かれるようになったらどうなるかな、と今後が心配です。

ケーススタディ:交渉がうまく機能した例

我が家の場合、実は自宅ではゲームよりも動画と録画をテレビ代わりのプロジェクターでずっと見ている、という方が気になっていました。

動画は元々iPadの制限時間で1時間半と決まっていたためそれで切り上げるのですが、その後録画をずーっと繰り返し見ているのです。
お風呂に入るから切り上げてと言っても、嫌だ嫌だと切り替えられません。
録画を見ること自体は構わないのですが、それだけしかやらないというのは、あまりに日々が貧しいと感じ、息子と録画を見る本数について話し合いました。

今息子は、BTSが好きで、元々歌をうたったり、踊ったり時々しています。そのため、録画を見る本数は1日最大4本まで、空いた時間は、BTSの動画を見ながら踊りの練習をしよう、と誘いました。

交渉の結果、録画は5本になりましたが、寝る前に踊ったりして楽しい気持ちでベッドに移動しています。

お風呂の前後での視聴に関しても、「今日はあと2本だから、お風呂でたら残りの2本を見よう」と伝えるとすんなり移動できるようになりました。

こうした聞き分けのよさは、年齢を重ねたからというのもあるかもしれませんが、本人の意見も尊重して受け入れ、交渉する余地のある話し合いだったからこそ、本人も納得できて、そのルールにしたがおうと思えているのではないかと感じます。

子どもは、ちゃんとわかってる

子どもだからこちらの都合にあわせてルールを決めてよい、と思うこともあるかもしれません。
子どもは見通しを持つことが苦手なので、彼らの思い通りのルールでは、当然破綻を来すはずです。
けれど、意見を無視してよいわけでもありません。

子どもは、親が自分を見ているのか、それとも自分ではない何か(親にとっての理想の自分、周りの視線など)を見ているのか、よくわかっています。
だからこそ、目の前の子どもときちんと目をあわせて話し合うことで、納得できるルールを作っていく必要があるとわたしは考えています。

また、ルールはルールとして、それにしばられ過ぎるとお互いにきついので、時には「特別」を作って、息抜きすることも大切なのではないでしょうか。

悩ましい問題ですが、よい話し合いが持たれることを祈っています。

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