見出し画像

変額保険

今回は保険セールスパーソンAさんからのご相談について考えていきます。
Aさんは変額保険をよく販売しますが、最近YouTubeや雑誌などで投資商品は変額保険ではなく投資信託で買ったほうが良いという情報が氾濫し、変額保険をお勧めしてもお客様から変額保険より投資信託の方が良いとお断りされることが多くなっており、自分もそのほうが良いのではと迷ってしまい販売を躊躇するようになってきたとのことです。またお金があれば生命保険は不要であるから保険に入るより投資信託などで運用してお金を増やしていく方がよいといったコメントも多く見られ保険販売が前よりも難しくなっているとのことです。
生命保険が不要であるという考え方はある意味では正しいところもありますが、全くの正解ということではありません。確かに経済的保障効果ということで考えれば日本国憲法25条の下で経済的な保障は国がしてくれるので自ら生命保険料を払って保障を買う必要がないという事は私も賛同できるところはあります。しかしながら生命保険の効用と効果は、経済的保障効果だけではありません。生命保険の金融商品としての唯一無二の価値は受取人固有の財産である、つまり相続財産から外すことができるということです。
変額保険は中身は投資信託でそれをこの生命保険という法律上の効果で包み込んだ商品です。であれば相続時の分割に問題がある人は相続財産から外すという効用と効果で包み込んだ投資信託である変額保険が良いということになるわけです。
例えば以下のような場合が考えられます。
①子供がいない夫婦の場合
夫名義の投資信託は夫死亡の場合に妻と夫の両親との分割協議になります。
夫の両親が認知症等、分割協議に入れない場合は両親生存の場合に分割協議ができないので投資信託を現金化することはできないまた即時に妻の財産として妻が相続することができないことになります。変額保険であれば受取人を妻と指定していれば全額妻のものとなります。
また妻の名義の投資信託は妻が夫より先に死亡の場合分割協議の対象となるため法定相続分では夫が3分の2、妻の両親が3分の1ということになりますが、私がこれまでインタビューしてきた経験からすると、妻は夫よりも両親に残したいと考えている場合がほとんどでありました。投資信託では全額妻の母に残すなどということはできませんが、変額保険であれば受取人を妻の母に指定していれば妻が死亡の場合には母に承継することができます。
②夫が以前結婚していて離婚した前妻との間に子供がいる場合
夫名義の投資信託は相続財産であるため妻と前妻との間の子供との分割協議の対象となります。子供が未成年の場合は子供の親権者である前妻との分割協議をすることになりますが、変額保険であれば受取人を妻と指定していれば分割協議の対象から外れて全額妻が承継することができます。
③子供に親から贈与を受けた資金があり両親が離婚している場合
贈与を受けた資金が子供名義の投資信託になっていれば子供が親より先に死亡の場合にその投資信託は離婚した親同士の分割協議になります。贈与者にしてみれば受贈者が先に死亡した場合には当然に自分にその資金を戻したいと考えるわけです。しかしながら相続財産であれば法定相続分の分割協議となり、贈与したお金が全額戻るわけではなく離婚した相手の資産になってしまうことになります。変額保険であれば受取人を贈与者である親に指定しておけば受贈者である子供が死亡の場合に贈与した親にそのお金が戻るということになります。
④相続の際に再婚した妻に財産を残したいという場合
投資信託の場合は前妻との間の子供など他の相続人が遺留分侵害額請求権を行使し遺留分の請求を受けた場合に遺留分相当額を渡さなければならないことになりますが、変額保険であれば相続財産から外れるため遺留分の対象から外れることとなります。

生命保険の唯一の欠点がインフレに負けることであるというのは皆様ご存知の通りです。その唯一の欠点を解消する商品が変額保険であるというのが本来の変額保険発売の経緯であったかと思います。しかしながらそれであれば生命保険商品という領域の中でだけのことになり大きな広がりはありません。資産を形成するための目的での投資信託という商品で変額保険を捉え、生命保険でしかできない効用と効果で包み込むという考え方に立てば、資産を増やすということについては終わりはなく永遠に続くものですので、さらに大きく広がっていくことと思うわけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?