生命保険不要論

生命保険業界のとある団体から講演の依頼があり、「講演内容をどのようなネタにするか」数人の役員の方々(生命保険セールスパーソンの方々)との打ち合わせの場で気づいたこと、感じたことについて論じていきたいと思います。受講される方々は数社の保険、メーカーのセールスパーソンの方々やIFAの方々ですので、最大公約数的に皆さんが興味があり、お役に立つ内容でさらに最近課題になっているようなことについて、タイムリーな内容でというご要望です。
ある役員の方から「ここ最近、YouTubeで保険不要論というのが蔓延しており、それを見たお客様からの解約が増えていたり、また新規の契約にもつながらなくなってしまうことがとても多くなっているので、それに対して総合保険の必要性を訴えるような内容を」との要望がありました。YouTubeは、誰もが自分の考えや言いたいことを自由に発表できる場として全世界で多く利用されるようになっています。まさに「思想の自由」「言論の自由」の賜物であると思います。私も毎日のように娯楽や情報収集でYouTubeを見ています。YouTubeは自分自身の考えていることを自由に発表できる場ですので、その内容全てが正しいというわけではありません。生命保険不要論なるものがそこまで広がっているのであれば生命保険セールスパーソンの方にとっては、そこに大きなビジネスチャンスがあります。私もいくつか、生命保険不要というYouTubeを見たことがありますが、そこには大きな間違いがあります。その内容をお客様に指摘してあげればよいわけです。その内容には一部正しいところもありますが、全てが正しいわけではなく、抜け落ちているところがあります。私が見る限りでは生命保険が不要と言われているその理論的根拠は国の社会保障があるので、生活保障として生命保険は必要ではないという内容です。(ただこの社会保障があるという内容も間違っているところは多々ありますが)確かに、日本国憲法下において生活保障としての役割は生命保険にはないと私も考えていますのでその部分は正しいといえます。(但し、がんの自由診療と先進医療を受ける場合の交通費は必要と考えています)
生命保険は法律上受取人固有の財産であり相続財産から外すことができるというのが最大の効用・効果であり、本来の価値です。この問題と解決法について述べているYouTubeは私はひとつも見たことがありません。お客様の相続の問題、つまり分割における問題を見出すことによって生命保険が必要であるという場面は多々出てきます。セールスパーソンの間では「ニード喚起」という考え方があります。お客様の顕在化していないニードを掘り起こして生命保険が必要であるということを訴求していくというものです。しかしそれは本来は存在しないニード(問題点)を作りあげているのであって真に存在しないものであったということがあります。「ニード喚起」ではなく「ニード捏造」になってしまっていることがあります。それをYouTubeでそんなニードは存在しないものであると指摘されてしまうと保険は不要であるという結論をお客様が導き出してしまうのは当然のことであるといえるでしょう。
お客様のニードを無理矢理作り上げるのではなく、生命保険商品が最大の効果を発揮する相続の分割についての問題を観察とインタビューの中で見出していくことが大切です。例えば、母子家庭の場合、子供がいないご夫婦の場合、再婚した配偶者に子供がいる場合等々、分割に問題のある方は年齢、性別に関係なく多く存在します。今、目の前にいるお客様の分割の問題を考えるにはその人を相続人としてまた被相続人という2つの立場においてそれぞれ考えていくことが必要です。
①自分が死亡の場合に相続人は誰なのか。その場合にどのような問題があるのか
②自分は誰から相続を受けるのかを見ていく必要があります。(両親が健在の場合、父母2人から相続を受けますし、実親が既に死亡している場合は祖父から相続を受ける、実親が既に死亡していてその親に子供がいない兄弟姉妹つまり叔父叔母がいる場合その叔父叔母からも相続を受けます)
生命保険の本来の価値を知っているあなたの最大限の価値を発揮し、真の問題解決を実現していってください。

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