幾夜の流れ星

七度目か八度目かの冬を
一緒に過ごしているパジャマさんと
冬を越すことなく
今お別れをする。

カメラを向けてまじまじと見てみると
思っていたよりも
着古している様子なのだと気づく。
いろんな夜を過ごしたんだなぁと
ありがとうの気持ちがふくふく込み上がる。
やっぱりさみしいな。
しばらくはうっかり
箪笥を探してしまうんだろうな。

ポニーテールよりもツインテールで
髪を結っていた頃
ふるさとの雑貨屋さんで
母と選んだパジャマさん。
お姉さんになったんだなと
実感のないふわふわした気持ちで
包みを提げて帰った。
今鏡の前に立ってみると
私よりパジャマさんの方が
なんだか少し幼く見える。
少女と青年のあいだの
流れ星のようなあっという間を
たくさん過ごして来たのだ。
ありがとうね。

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