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これ一冊で全て分かる系の参考書の嘘 vol.893

物理の授業準備をするときは、大抵複数の文献に目を通すようにしています。

教科書はもちろんのこと、YouTubeでの授業動画、問題集、参考書。

大体の場合はこれらで納得することは出来るのですが、完全に理解したかどうかと問われると怪しい部分があります。

当然、子どもたちに説明はできますが、時たま嘘で無理やりねじ伏せてるような感覚に陥ります。

今日はそんな学問の追求について考えていきます。

真に理解するには全然足りない

例えば今私は高校電磁気学を教えていますが、正直高校物理学の内容だけですと説明が不十分な点が多々見受けられます。

大きく分けてそれには2パターンあるのですが、1つは解説手順を省いているパターン。

本来細かく解説をするのであれば、a-b-c-d-eと説明していくところを、cは自明としてしまって特には記載しない。

つまりは、a-b-d-eという順の解説になり、b-d間の意図が汲み取れず、理解ができないというパターン。

もう一つはこれとも同じなのかもしれませんが、そういうものだと決定づけてしまい深く追求はしないというもの。

これは、学習意欲の高い人ほど陥ってしまう部分なのです。

例えば、1+1が2になることなど誰しもが理解し得る内容だと思います。

しかしそこには、1の次の数字は2という暗黙の了解があり、この定められた数字の並びの中で行われておることなのです。

そして物理はこの隠れた定められた法則が山のようにあり、その上で高校物理学を学んでいる訳です。

どうしようもできない

ではどうすればいいのか。

結論から言うとどうすることもできません。

そもそもの現代の物理学ですら、世界中の科学者がよく分かりませんよと公言している物質がたくさんおります中で使われているわけです。

それなのに、一端の高校生が原理原則を完全に理解など到底不可能な話。

ましてや参考書などで一冊に物理学の知識を埋めるなどできっこしない嘘八百な訳です。

ですから、機能性表示食品の表示みたいになりますが、タイトルに全てが分かるだとか完全理解だとか書いてあるのは大体嘘です笑。

むしろ、物理学みたいに固いタイトルの方がよほど信頼できます。

その中で物理学を学ぶとは

しかしそうは言っても、そんな中で高校物理学を学んでいかなければなりません。

私たち物理教員ですらも大学物理を完全に理解しているマスターではない訳です。

だからこそ私たちの役割は、納得のできる折り合いの付け方を教えていくことにこそあるのではないでしょうか?

割り切りラインを引いてあげること、それが教員の仕事のような気がします。

その中でより学びたい、この?が取れないのが気になるというのであれば、大学でも物理学を学ぶことをお勧めします。

そんなことを磁場と磁束密度の説明で頭を悩ませている私は考えました。

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