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中国地方都市不動産の現状2021.3

住宅売買の傾向の変化

中国の地方都市の不動産事情に変化が起こってきています。
不動産会社は5、6階の物件に手を出さなくなりました。
5、6階の物件を買い上げることがないので、5、6階の物件が出回ることも少なくなってきています。
以前の中国では、1階の物件が売れない、または家賃が安かったのは有名です。なぜなら、1階は治安が悪く、泥棒に入られやすかったり、強姦などの事件もあったことから、回避されてきました。1階の部屋にはすべての窓に鉄格子がついていることが普通です。

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もっといえば、スパイダーマンのように這い上がってくるタフな泥棒もたくさんいるので、3階くらいまで鉄格子がついているマンションも多いです。

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ところが、地方都市においては、こうした下の階は取引があるが、むしろ5、6階の方が売買されなくなってきているそうです。

現地不動産屋さんに質問

―こういう傾向はどういうことが反映されているのでしょうか

中国人は身体が弱くなってきたんでしょうかね(笑)。
若者はまずお金がないので、家を買いません。また買うとしても中古物件は購入しません。新しく建てているような物件を購入する傾向があります。
ただ住宅供給過剰傾向にもあるので、新しい物件が建つということもありません。
中古物件を購入するのは、年配の方ですので、そうした方たちはり5、6階は避けたいのかも知れません。

 こうした状況では、地方の小都市での不動産は、供給がやや過剰なため、5、6階を避けても希望する予算の範囲内で、物件を購入できるという事情がありそうです。また、この街ではすでに不動産価格は下降傾向にあります。特に中古市場では築30年以上の物件も多く、売り手はとにかく早く売らないと、どんどん値が下がってしまうという心理が働いているのかもしれません。 
 インタビューしたのは、中国の東北地方、遼寧省は瀋陽から車で2時間ほど小都市(人口40万人規模)の不動産屋さん。早とちりをしないでほしいのは、これが中国の不動産バブル崩壊の予兆ではないということです。
現に、遼寧省の省会(省都)である瀋陽では、今も不動産価格は上昇傾向にあります。(1㎡=約22,2477円)

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考えられるのは、地方都市の住宅は人気がなくなりつつあり、年配層でも、老後のケアなどを含め、相対的に福祉のととのっている都市部への人口の流入が進んでいるのではないかということです。

ただし、中国には中国独特の「戸籍制度」があり、そう簡単に都市部には人口が流入できないようになっているだけでなく、いわゆる「二級市民」と言われるような社会的な差別を助長する原因にもなっている大きな制度的な問題が背景になります。これはやや複雑な話になるので、また別の機会に書きたいと思います。

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