J-KISSにおけるCapのわかりにくさとその二重的性質

J-KISSにおけるCapは現在のバリュエーションなのか、それとも将来のバリュエーションなのか。正解は「そのどちらでもある」。つまり、どちらかが正しくどちらかが間違っているわけではなく、いずれも正しい。

どういうことか。

まず、J-KISS発行時に投資家は発行体であるスタートアップのその時点での企業価値を評価してCapを決める。その意味で、J-KISSのCapは発行体であるスタートアップのJ-KISS発行時「現在の」バリュエーションである。

しかし同時に、将来においてJ-KISS行使時に発行される株式の評価がCapの価額になる場合、Capは J-KISS行使時という将来の時点での発行体であるスタートアップの企業価値評価として機能することになる。その意味では、J-KISSのCapは、J-KISS行使時という「将来の」バリュエーションである。

この2つは矛盾せず両立する。この二重的性質がJ-KISSのCapをわかりにくくしている。スタートアップと投資家は、J-KISS発行時「現在の投資対象のスタートアップの企業価値を評価」し(た上で交渉により)Capを決めるが、その時点で定められたCapが実際に機能するのは将来J-KISSが行使される時点であるためCapはJ-KISS行使時という「将来の時点での企業価値の評価として機能」する。

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