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「新卒VCは強みになる」ベテランVCがそう考える理由と、VCのスキルの磨き方とは

VC(ベンチャーキャピタリスト。ベンチャーキャピタルの投資担当者)という仕事の中身や、VCというキャリアの中で身に付くスキルについて、実際に2023年4月に新卒として入社した茂木が、日本を代表するトップVCの一人であるマネージングパートナーの細野に直撃インタビュー。
「人生を賭けてオール・インで挑んでいる」と話す細野の、VCとしての考え方に迫ります。(前後編の後編。前編はこちら


ベンチャーキャピタルと、コンサルやPEファンドの違いとは

茂木:科学やものづくり企業の成長を支援したいと思ってベンチャーキャピタルを選びましたが、コンサルやPEファンドの仕事も、外から企業支援をするという意味では似ています。ベンチャーキャピタルとの違いや、VCだからこそできることはなんでしょう?

細野:個々人の裁量が大きく、自由度が高いところですね。もちろん組織としてナレッジやネットワークの共有はあります。ただ、その中で具体的にどう支援するかは自分次第だから、成果が出るかも自分に掛かっている。自分の人生を賭けて、オール・インで頑張ろうという気持ちになりますよね。VCは個人事業主の集まりのようだ。と言われるのもそれゆえです。

私はイグニション・ポイントに入社する前に、いくつかのベンチャーキャピタルで働いた経験がありますが、所属先に関わらず、いつも個人で勝負しているという感覚でした。ものすごい速度で圧倒的な成長ができるのがVCの良さだし、自分の成長やスキルアップを実感しやすい環境だと思います。

新卒VCというキャリア「アリ?」「ナシ?」

茂木:若いうちから、圧倒的な成長ができる環境に身を置けるのはとても嬉しいです。新卒でこの環境を得られてよかったです。細野さんは、事業会社の経験を経てVCになられましたが、正直「新卒VC」というキャリアはアリなのか、考えを聞いてみたいです。

細野:アリどころか、むしろ強いのではないでしょうか。最近では新卒からVCのキャリアを歩む方も増えて来ましたよね。みな独自の「VC哲学」を持っていてブレがない印象です。早いうちから、VCに必要なスキルやマインドの研鑽を受けるので覚悟が違うなと感じます。

今後は新卒VCがスタンダードなキャリアになっていくはずですよ。VCは必ずしも経験の長さがものをいう職業ではありません。ましてや、新しいテクノロジーを使ったサービスは、若い方のほうが感度が高いとも言えます。若い起業家と同世代ということが強みになりますし、若い頃から多くの経営者と会え、苦楽を共にしながら腹を割った話ができるのは大きなメリット。すごくいいキャリア選択だと思いますね。

茂木:新卒VCだと、現場での実務がわからないから支援ができないという声もあり心配していました。

細野:自分自身の経験がなくても、マーケや開発など事業を進めていく上で、専門外の領域を理解し、マネジメントして成長させないといけないのは、多くの起業家も同条件ですからね。VCだから、新卒だからできないということは全くありません。

言葉にこだわり抜き、情報のハブになる

茂木:確かにその通りですね。新卒であることを強みにできるように、レベルアップしていきます。今後もっと知識を付けないといけないと思って、ファイナンスの勉強をしたり、専門分野の論文を読んだりと、日々勉強をしています。知識や経験は業務を通じても身に付けていけると思いますが、そもそもVCに必要な素養ってなんですか?

細野:言葉にこだわる人だと考えています。ふわっとした言葉のままで重要な話をしてしまうと、認識に齟齬が産まれます。認識のズレは、成長へのタイムロスに繋がってしまうんです。例えば「プラットフォーム」という言葉ひとつ取っても、人によってイメージするものが少しずつ違う。耳障りの良い言葉でなんとなく話を進めてはいけません。また、物事を短絡的に考えるのではなく、中長期で捉える深い洞察力もとても大事です。

茂木:スタートアップには独特な業界用語が多いですし、わかった気になって話を進めてしまっていたかもしれません。僕はまだまだ薄口VCです…。とても参考になります。どうやったらその力が身につきますか?

細野:以前は「類語辞典」を使って、語彙を増やしていましたね。あわせて、おすすめしたいのは、人とたくさん話すことです。VCは、さまざまな方に話を聞きに行ける職業です。業界の専門家や有識者ともお話する機会を得られる。人から得られる生の情報に勝るものはありません。人と話すことで、語彙や洞察力を鍛えてみてください。

茂木:VCだからこそできる勉強法ですね。確かに、大学の教授など、通常社会人になってからは会えない人にお話を聞ける機会があります。仕事を通じて学び続けられるのは役得ですよね。

細野:その通り。しかも専門家の方にインタビューする際は、失礼がないように、事前に下調べをしますよね。自然と予習ができます。そして得た情報を、次にお会いする方にお伝えすることで復習ができます。人を介してインプットとアウトプットを繰り返し、言葉や知識を自分の血肉にしていくことができるんです。さらには、情報のハブになれたら次の情報や人が集まってきて良いことづくめです。

日々変化するスタートアップ業界には、多くの出会いや喜びが

茂木:早速次のインタビューから意識していきます!人と会う楽しみが増しました。ありがとうございます。ベンチャーキャピタル業界を長く経験されている細野さんが感じる、スタートアップの魅力ってどんなところですか?

細野:日々お祭りなところですね。毎日のように新しいニュースがあり、一週間も離れると浦島太郎状態。刺激的で、ずっと新鮮な気持ちでいられます。

茂木:それでも自身でスタートアップを立ち上げるのではなく、VCであり続けるのはなぜでしょう?

細野:一つ目の理由は、いろんなスタートアップに関われるからです。様々なビジネスモデルや組織マネジメントに同時進行で触れることができます。学びも多いですし、常に新鮮な気持ちでいられます。一つの投資先に10年近く関わることもザラですが、並行して新しい出会いや喜びがあるので、日々があっという間です。

2つ目の理由は、私は人を応援することが向いていると思ったからです。かつて自分で事業を立ち上げたこともあったのですが、事業の立ち上げにはもっと向いている人がいるなと感じました。それぞれの適性にあったことをやる方が、成功の確率があがります。せっかくスタートアップに関わるなら、成長や成功に触れたい。自分に合った仕事や環境を見つけることは、キャリア選択においてとても大事なことです。

茂木:なるほど。たくさんの魅力的な企業に触れることで、自分ができる支援の幅が広がりそうですし、自分の成長にも繋がりますね。今日お話を聞き、改めてVCという仕事を選んで良かったと感じています。特に私はヘルスケアやバイオテクノロジーの領域を専門としていきたいので、一社にかける時間は10年どころではなさそうですが、この業界に身を置くと決めたので、しっかり向き合いたいと思います。

細野:素晴らしいですね。一気に成長できる環境ですから、共に頑張っていきましょう。

(前後編の後編。前編はこちら

(取材・文:井澤梓/カタル


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