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ヨーロッパ滞在記・イタリア編 2015年3月27日・「単行本完成&ジュジィ先生の授業」

 この日、僕はイタリアで出版された僕の単行本を受け取った。
 「ヨーロッパ漫画学院」のニコーラ校長先生は「ユーロ漫画出版社」の代表取締役でもあり、そこで単行本描き下ろし作品の依頼をされた。
 僕は1993年に日本で漫画家デビューしているものの、自分のオリジナル作品の単行本を出したことが無かった。それがデビュー20数年後に初めてのオリジナル単行本をイタリアから出版することになろうとは、人生分からないものだ(^^;)。
 元々の日本語タイトルは「潮騒の巫女」。しかしイタリア語ではそのままでは意味が通じにくいこともあり、イタリア語版では「Le Custodi dello Spirito(精神の守護者)」となった。
 イタリア語翻訳をしたのは、ニコーラ校長先生の娘のベアトリーチェさん。彼女は日本語が堪能で、日本語のセリフのニュアンスを汲み取った翻訳ができるスゴイ人だ。

 セリフは全部ベアトリーチェさんがイタリア語に翻訳している。
 僕が描いたキャラクターがイタリア語を喋っているのが不思議な感じだ(^^;)。
 生徒たちもすでに単行本を持っていて、急遽サイン会になった。僕は日本では著作のサイン会をしたことが一度も無い。ドイツとイタリアでしか著作のサイン会をしたことが無いなんて、20数年間売れていない漫画家にとっては不思議な待遇だ(^^;)。

 一通りサイン会が終わったところでジュジィ先生の授業に入る。今回は「水彩絵具の塗り方だ」。

 紙にテープでマスキングをして、その中に4段階の色を載せて自然なグラデーションを作るというものだった。

 ジュジィ先生が実演してみる。水引きした紙の上に手早く色を乗せて馴染ませていく。

 ジュジィ先生が生徒たちの机を回り、個別に指導している。生徒たちも慣れない水彩着色に苦労している。
 水彩着色は理屈を知ることも大事だが、実際に自分の手を動かして塗る感覚を身に付けることがとても重要だ。紙の上の水が生乾きのうちに色を乗せないと、紙に筆の引き擦り跡が出てしまう。生乾きのうちに塗る感覚は体で覚えるしかないのだ(^^;)。

 生徒たちは頑張って色を塗っている。今では着色もデジタルで出来る時代だが、「ヨーロッパ漫画学院」では基礎技術としてアナログ(手描き)を重点的に教えている。生徒の中には趣味としてデジタルで漫画を描いている人もいるが、授業では主にアナログ(手描き)がメインになっている。
 こうやって体で覚える技術は、将来必ず役に立つ。イタリアは日本のアニメや漫画が熱狂的ブームではあるものの、イタリア国産の漫画や漫画家の話をあまり聞くことが無い。それでは寂しいので、これから漫画家になろうというイタリア人は、技術を磨いて自分の漫画制作に活かしてほしい。それがイタリア国産の漫画の道を拓くことにもなるのだから。

2015年3月28日・「エンポリ・LuDiCoMiX」その1に続く→
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