『私』

私は誰なのでしょう?

鏡に映る自分の姿に
時々それが分からなくなるのです。

刻一刻と時は流れ
あの頃の私は今の私ではなく
今の私も
未来の私ではないのでしょう。

悲しいことがありました。
嬉しいこともありました。
怒ったことがありました。
苦しいこともありました。

あんなこともこんなことも
過ぎてしまえばゴミ箱の中。

それじゃ寂しすぎるからなのか
誰かがゴミ箱に名前をつけました。

思い出という名前を付けました。

だけど所詮はゴミの山
やがて燃やされ灰になるのでしょう。

あの頃の私は
今の私ではなく
今の私も
未来の私ではなく

それなら本当の私は
どこにあるのかと考えてみましたが
結局そんなものはどこにもなくて

本当だとか、ありのままだとか
いったい何の意味があるのでしょう。

今日の真実も明日は戯言
そんな現実世界の片隅で

本当の自分なんてものを探すのは
雲の形を答えろというようなもの

だからそんなものには興味がありません。

ただ私が・・・
まだ私の願うなりたい私になっていないだけなのです。

それだけが失望の全てなのです。

それでももし本当だとかありのままだとか
そんな私がいるのなら
それはとてもつまらない私なのかもしれません。

でもそれなら偽りの私でいいのです。

偽りでいいから
私は私が思い描く
理想の私になりたいだけなのです。

そしてなれていないことこそが

鏡の中の私を見た私の悲しみなのです。



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