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マイナス金利解除と各種答え合わせ

 予想通りというか,予想通り過ぎる形でマイナス金利・YCC・質的緩和の一部が解除されました.本論に入る前に,それを報じた↓記事に少し注目してみましょう.

 まず,見出しはミスリードです.今回の決定では,国債の買い入れを継続することが明示されています.そのため,「大規模緩和解除」ではなく,その手段の変更なのですが・・・

 また,学習院大学の鈴木亘さんがコメントされていますが,植田体制になってからの日銀の情報公開の在り方には疑問を感じざるを得ません.

同記事「Think!」欄

 公的機関からメディアへのリークは短期的には利益があるケースがあります.報道各社は一刻も早く情報が欲しい.そのなかで日銀幹部や事務サイドによる情報漏洩が許されていると何が起きるか.日銀サイドのメディアへの支配力が非常に強くなる.

権力は裁量に宿る

どの記者,どの会社に情報をリークするかを日銀幹部・事務サイド・政府関係者が決定できるとなると...記者・報道各社にとって最優先課題は「情報源に気に入られること」になります.こと経済政策については相場を左右するだけに,思想信条にとどまらない「利益」が発生する.それだけに,リークの状態化は報道にとって情報源に都合の良い報道を行う強いインセンティブになります.
 これを繰り返していると,報道は日銀の広報機関に,日銀はリーク権限がある人による既成事実化で動く組織になってしまう.本来であれば厳しく情報漏洩について原因究明が行われなければならない状況です.この問題についてしっかりと問題視してくれるメディアと政治家に期待したいと思います.

 その一方で,マイナス金利・YCC・リスク資産買い入れの同時転換についてどう評価すべきか.マイナス金利解除については日曜日の記事,

の答え合わせが必要になります.(YCCについても過去の柔軟化の際の解説→「YCC修正の意味と金融政策方針」を参照ください)

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