American Teenager / Ethel Cain [和訳,解釈]

Ethel Cainはフロリダ出身のシンガーソングライター、20歳の誕生日には(トランス)女性であることをカミングアウトしました。キリスト教への信仰が厚い家庭・地域で育ったため、ジェンダー・セクシュアリティや信仰といったものが歌詞の中でも歌われます。この曲はオバマ大統領の2022年のお気に入り楽曲に選ばれていたことも話題になりました(軍隊への複雑な感情が歌詞に含まれているのにもかかわらず)。20年代のアメリカ、そしてその世代を生きる若者をある意味representするようなアイコニックな曲なのではないかと思います。

話はそれますが、MVのサムネイルにはAmerican Footballのロゴがオマージュされています、どのような意図があるのでしょうか。

[Verse 1]
Grew up under yellow light on the street
黄色い街灯に照らされて育った

Putting too much faith in the make-believe
まやかしの信仰と

南部は信仰の厚い地域が多く、彼女の地域も例外ではありませんでした。また彼女の父親が伝道者だったこともあり、敬虔な生活を送るよう教え込まれていました。にもかかわらず、彼女はキリスト教への信仰を失っていきます。

And another high school football team
他校のフットボールチームへの偏愛

The neighbor's brother came home in a box
隣の彼は箱に入って帰ってきた

棺に入って帰ってきたということです。

But he wanted to go, so maybe it was his fault
でも彼が望んだことだから、しょうがないのかも

Another red heart taken by the American dream
またアメリカンドリームが赤い心臓を奪っていく

軍隊に入ることは安定した収入や大学の奨学金、社会からの尊敬などアメリカンドリームのようにも思えますが、もちろん危険も付き物です。アメリカンドリームは華やかな響きですが、同時に残酷なものでもあるのです。

[Pre-Chorus]
And I feel it there
私は感じるの

In the middle of the night
真夜中に

When the lights go out and I'm all alone again
明かりが無くなったらまた一人になるんだって

[Chorus]
Say what you want, but say it like you mean it
言いたいことを言おう、でも全力で

With your fists for once, a long cold war
一度だけ拳で、長い冷戦

冷戦は緊張はしているものの戦争にはならない状況です。passive aggressiveという概念に似ています。ここではpassive aggressiveなものではなく、率直な・剥き出しの攻撃を唱えているわけです。もちろん後者も健全なコミュニケーションとは言えませんが前者よりマシだと。それは彼女がコミュニケーションが不健全(passive aggressive)な父親の元に育ったことに関係しています。また、X世代やベビーブマー世代(彼女の親)も同じように不健全なコミュケーションの中育ち、それに対して彼女のような若い世代が反抗しつつあるという潮流にも通じているのではないでしょうか。

passive aggressive : 不満や怒りなどを直接相手に示すのではなくて、上部は物腰柔らかく、遠回しに相手を攻撃する態度

With your kids at the front
子供たちも一緒に

Just give it one more day, then you'rе done
1日だけ待って、それで終わるから

Done
終わるから

I do what I want, crying in the blеachers
私はやりたいことをする、客席で泣いたりもする

And I said it was fun
それも楽しかったって言ってみたり

I don't need anything from anyone, it's just not my year
私は誰にも必要とされていない、ずっとついてないみたい

But I'm all good out here
でもここにいても大丈夫

[Verse 2]
Sunday morning
日曜の朝

礼拝の日です。

Hands over my knees in a room full of faces
たくさんの人の中膝に手を置く

I'm sorry if I sound off, but I was probably wasted
言いすぎてたらごめんね、酔っ払ってたみたいだから

And didn't feel so good
ちっとも気分は良くならないのに

Head full of whiskey but I always deliver
頭はウィスキーでいっぱい、でも説教はしないと

父親の死後、彼女はその役割(伝道者)を引き継ごうとしました。しかし彼女のパートナーと別れ、辛さのあまり酒を飲んでしまっているのです。

Jesus, if you're listening let me handle my liquor
イエス様、もし聞いているなら酒に溺れる私を救って

And Jesus, if you're there, why do I feel alone in this room with you?
イエス様、もしそこいるならなんで私は孤独になってるの?

彼女は信仰に囲まれて育ちましたが、ここではその信仰に対する疑問が投げかけられています。

[Pre-Chorus]
And I feel it there
私は感じるの

In the middle of the night
真夜中に

When the lights go out
明かりが無くなっても

But I'm still standing here
私はまだここにいるって

[Chorus]
Say what you want, but say it like you mean it
言いたいことを言おう、でも全力で

With your fists for once, a long cold war
一度だけ拳で、長い冷戦

With your kids at the front
子供たちも一緒に

Just give it one more day, then you're done
1日だけ待って、それで終わるから

Done
終わるから

I do what I want, crying in the bleachers
私はやりたいことをする、客席で泣いたりもする

And I said it was fun
それも楽しかったって言ってみたり

I don't need anything from anyone It's just not my year
私は誰にも必要とされていない、ずっとついてないみたい

But I'm all good out here
でもここにいて大丈夫

[Chorus]
Say what you want, but say it like you mean it
言いたいことを言おう、でも全力で

With your fist for once
一度だけ拳で

A long cold war
長い冷戦

With your kids at the front
子供たちも一緒に

Just give it one more day, then you're done
1日だけ待って、それで終わるから

I do it for my daddy and I do it for Dale
I'm doing what I want and damn, I'm doing it well
私はやりたいことをしてる、うん、いい感じだよ

For me, for me
自分のために、自分のために

For me, for me
自分のため、自分のため

参考

Genius-American Teenager-Ethel Cain


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