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森岡亮太という男

こんにちは。
久々の更新です。
6月27日にJ2&J3、7月4日にJ1リーグが再開決定。
いよいよサッカーが日常に戻ってきます!

とはいえ、コロナが終息したわけではなく、ウィズコロナの時代。専門家や政治家からは「新しい生活様式」が求められ、僕自身はどういう世界になっていくのか想像できない部分もあります。暫くは「窮屈な生活」の中で「何を」「どこまで」「どのように」するのか、、、個々の判断力が問われるだろうとは覚悟してます。

■森岡亮太interview

さて、きょうは先日インタビューを行った森岡亮太選手について記そうかと思います。「今までにない経験」に対して「どう順応するのか」。コロナの時代において、このinterview(https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2020/05/25/kiji/20200525s00002000073000c.html)は100%の答えではないけど、考え方の一つとして持っておきたいな、と思います。

■トップ下でのストレス

元々、彼の主戦場はトップ下でした。神戸時代から見てきたファンやサポーターの方にとって、彼は〝ファンタジススタ〟のイメージじゃないでしょうか。いつだったか日本代表として戦ったブラジル戦を回顧してもらった時、調子がMAXの時という前提でしたが「ボールにどれくらいの回転を掛ければ相手DFが届かず、味方が追いつけるかまで見える」と真顔で話していました。人気漫画『ファンタジスタ』の世界かよ…。
 
でもファンタジスタは海外リーグに移籍した後、自分の居場所に窮屈さを覚えることも多くなっていったようです。16年1月にポーランド1部ヴロツワフに完全移籍。今季で5年目ですが、ベルギー初挑戦となったワースランド・ベフェレン所属時を除いては思うようにはいかないことが多かった、と…。


「実はトップ下でやっている時の方が大変だったんです。ベフェレン(17年6月~18年1月)ではやらせてくれたけど、その他の欧州クラブではゲームを作る〝10番タイプのトップ下〟は求められなかった。どちらかいうと9・5列目のような役割で難しさもあったし、ストレスも抱えていた。それで監督と話したりもしました」


近年のサッカーにおいてクラシカルなトップ下は絶滅危惧種。ヴロツワフでもアンデルレヒトでもゴール前での決定的な仕事を最優先に求められました。その中で数字は残してきました。高い戦術眼と技術を持っていますからね。ただ彼自身が一番、本来のパフォーマンスが発揮できていないことを感じ取っていたのです。

■トップ下で感じていたこと

そして今季シーズン半ば、予期せぬタイミングでトップ下からボランチに転向しました。これが何とも「僕のやりたいことにマッチしていて、やりやすい」(森岡亮太)居心地の良い場所だったようです。ゴール前での勝負を求められたトップ下時はボールに触れる回数も少なかったのですが、ボランチに入ることでタッチ数は増えました。緩急を付けたパス、機を見たドリブル突破。
今季5アシストのうち3つはボランチ転向後です。

さらに守備力の高さ。弊紙では評価回復の一因としてリーグトップのボール奪取回数にスポットを当てました。確かに“ギャップ”の大きさは見る側に大きなインパクトを与えるものですが、でも、これだけで評価が一変することはないように思います。ベルギー国内で彼が再脚光を浴びるようになったのは、チームの駒は駒でも「王将」になったからではないでしょうか。

「それまでのシャルルロワは前線がプレスにいっても後ろが付いてきていないことが多かった。チーム全体が間延びするし、結果的に守備的な戦いにならざるを得なかった。勿体ないと思っていて、だからボランチになった時、僕は前がプレスしたら付いていくようにしていました」


トップ下時から連動したプレスが少なかったことを感じていたようです。森岡選手が前線と連動することでDFラインも高くなり、結果的にチームはコンパクトに。そして最前線の選手たちがパスコースを限定してくれれば、必然的に後方の選手たちは〝次〟を予測しやすくなります。その予測力は苦汁をなめたアンデルレヒトで培ったものと言います(※interview参照)。オフザボール時に相手との距離を詰めることができていれば「ボールを取る自信はありますね」(森岡亮太)。ボール奪取率が高まった背景には、チーム全体を的確に動かし、ボールの取りどころを限定していたことがあったようです。

イメージすらしたことがないボランチというポジションでしたが、森岡選手は「苦労したこと?ないです」と笑います。そう言い切れるのは過去の経験や感じていたことを、新しい環境で生かしたからでは、と推察します。

■過去の経験は財産に


今までにない状況に直面しても、今までしてきた経験を捨てることはない。反省はしても、否定することはない。過去の上に自分が立っているのだから、過去と現在を融合させて、新しい自分を作っていけば良い。森岡選手はそう教えてくれているようでした。で、当たり前と分かりつつも、なかなかできない真理を口にしました。

「確かに年齢的なことを考えるときはあります。アンデルレヒトからシャルルロワかあ…と考えたりもした時があります。でも、それを考えたところで何も変わらないじゃないですか?結局は日々、自分は次の試合に向けて準備するだけなんですよ。次のステップに進むには、その作業の繰り返ししかない」


新しいステージに立った森岡選手。ベルギーの新シーズンは8月7日に始まります。

ご精読ありがとうございます。

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