「テレワークできない仕事は悪なんだろうか？」

▼大きな自治体はどこも、テレワークしてください、とお願いしている。

東京都もずっと言ってる。

でも、ずーーーーーーーーーーーーーと報道されている通り、テレワークは「やってるところはずっとやってる」し「やらないところはずっとやらない」。

私の東京の知り合いの中で確認できた範囲でも、３人は、IT系だったり大手だったりで、月のほとんどはテレワークしてるそうだ。でも、私の今いるところは検討すらされていない（理由は後述します）。

そもそも仕事の性質上無理（第一次産業とか飲食・接客業とか）、業界的に無理。トップが意識低いから無理。従業員のITスキル的に無理。お金の問題で機材（環境）が整えられないから無理。

たぶん、いろんな事情と理由がある。

それでも自治体も政府もただひたすら「テレワークしてください」とお願いする。してくる。

誰に向かって言ってるんだろう？　ほんとにお願いしてるのか？　本当にやってほしいのか？？　現場見て言ってますか・・・？

お願いだけでは人は動かないし、「どうしたらできますか？」　or　「できないならどういう感染対策してますか」とか、なんかアプローチを変えてほしい。　　　

▼こういう状況を現す時に、ニュース番組は、「大多数の通勤電車は乗客が減っていません」という映像と、従業員の「出勤しないと仕事ができない」という声を流す。

これを見た視聴者は「そうそう」と多少の共感を覚えるかもしれない。

でも、だから、何？？

従業員に聞いても意味ないよ。だって、本当にそうなんだから！　

従業員は会社の命令に従う義務がある。聞くなら「あなたはテレワークしたいですか？」、（人事や社長には）「従業員にテレワークさせたいですか」「どうしてあなたの会社はテレワークしないんですか」「どうしたらできると思いますか」と聞くことじゃないんだろうか。

ある場面では「共感すること」は大事だが、共感だけしてたってどこにも進まない時もある。

「ほんとにそうだよね」はジャーナリズムではない。

▼私の平日の仕事は、郵便物（実際に送られてくる紙の手紙）を仕分けたり、郵便を出したり、書類を（紙で）申請したり、お使いに行ったりすることだ。あとFAX(笑)　

実際のモノを見ないとできないから、出勤しないとできない。

土日の仕事は、絶対に出勤が必要だ。役所同士の取り決めでFAXでやりとりすることが決まっているためで、これを変えるには「トップ会談」と「システム整備」が必要だが、そこまでする気配はなさそう。

両方の仕事で、この状況下で今「出勤しなくていい」と言われるのは、クビになるということだ。

▼今の仕事に就職した当初から、「本当は要らない仕事」なのかもしれないとは、思っていた。

コロナでその思いはより強まった。

両方の仕事とも、医療や高級サービスとは違う。食料品を売るような、生活必需品に関わる仕事でもない。この業界全体が紙とFAXで回っているから、まだ必要とされているが（労働集約…）、でもこの業界全体がめちゃくちゃ効率化されたら、ハイスキルを持っている人だけが残って、私みたいな「誰でもできる仕事」をしている人は、仕事を失うだろう。

そんなことは分かっている。

昔の「タイピスト」みたいなものだ。いずれはなくなる仕事。このままでは食っていけないし将来も危険だ。だから新しい人生に移行しようと動いている。

でも今の私は、この「本当は要らないかもしれない仕事」で食いつないでいるのだ。

それを「テレワークしてください」ってただ一言で言われると、本当に、どうしようもなく悲しくなる。

私だって満員電車で通勤したくないし、密な職場で他人に会いたくない。感染したくない（させたくもない）。

テレワークに協力したい。でも、できないのである。

アパレルの人も飲食の人も観光業の人も私も、がけっぷちである。

将来設計が甘かった？　自己責任？　「パンデミックだから仕方ない」。でも、じゃあ、「今」どうしたらいいか、みんな考えている。

コロナで働き方を見直す、とよく言われる。無駄な仕事はなくして、日本全体でいい方向にいってほしいと思う。無駄なストレスなく、働くが楽しい社会になった方がいいに決まっている。

▼でも無駄って何なんでしょう。不要不急って何なんでしょう。

そんなこと言い出したら、たぶん世の中の半分以上の賃仕事は「なくていい仕事」になってしまう気がする。

「あった方がいいけどなくても別にいい仕事」というのかな。

そんな御託、お金には変えられない。とにかくお金がもらえることも、とても大事で。最低限のプライドを持って働けることも大事で。誰か１人でも助かっていたら、それはあっていい仕事な気がするし。

労働がこんなに複雑になってしまって(笑)　ほんと、なんなんでしょうねー。

誇りを持って働きたい。この仕事がまだクビにならない以上は、精一杯やらないといけないとは思っている。負けそうになる時もあるけど。