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映画「エクソシスト」と「~信じる者」とちょっと「恐怖新聞」の話

前から観たいと思ってた「エクソシスト 信じる者」をアマプラで観ました。ついでに、子供の頃テレビで観た元祖「エクソシスト」も観返しました。その感想文です。

最初に言っておくと、元祖の方が「~信じる者」より数段面白いです。ネタバレで書きました。

エクソシスト(1974年)

▼あらすじ
リーガンっていう少女が悪魔に取り憑かれてえらいことになって、なんだかんだあって悪魔祓いの儀式を行うことに。

神父としての仕事に自信が持てず信仰すら揺らいでいる悩めるカラス神父が、悪魔祓いの経験のある大ベテランのメリン神父とともに儀式を行い、悪魔との壮絶な戦いの末メリン神父は死亡。

一か八かの賭けで自身に悪魔を乗り移らせたカラス神父は、窓から飛び降りて悪魔を道連れに死亡、という具合で悪魔憑き騒動は終結。

オカルト・ホラーの金字塔的な映画ですが、我々日本人が考える悪魔っていう存在というか概念と、キリスト教圏の人にとってのそれはちょっと違うみたい。

キリスト教とか聖書とか、ちゃんと勉強したことはありませんけど、あっちの人にとっては悪魔っていうのは単なるオカルト話っていうよりもっと身近にあるものらしいです。

以前に「ウィッチ」の感想文を書いたテキストでその話を書いてます。

この映画に限らず、悪魔モノの作品を観る場合は、その辺のことを意識しておくとより楽しめるもんなんです。

悪魔が日常生活の中で忍び寄ってくるなんていうのは、日本人にとってはオカルト以外の何ものでもありませんが、あっちの人の中では割とありうる話みたいに感じるもんなのかもしれません。

で、「エクソシスト」の本題ですけど、50年前の映画ですから、今みたいにCGで何でも映像化できる時代ではありません。メイクだったり人形を使って取り憑かれた少女の恐ろしさをあれだけ表現できるってのがすごいですね。

子役の演技も凄まじいものがあります。あのいたいけな少女にあのお下劣極まりない悪魔が取り憑いたっていう映像、よく撮影できたもんだと思います。

ショッキングな映像による恐怖も凄まじいんですが、それを加えて自信を失ったカラス神父が悩み抜いた末に最終的に信仰を取り戻すっていうドラマがまた素晴らしいんです。

「エクソシスト 信じる者」(2023年)

▼あらすじ
少女アンジェラは、友達のキャサリンと一緒に亡き母の霊を呼び出す降霊を試みている最中に行方不明になり、3日後2人は無事保護される。しかしそれ以降2人に悪魔が取り憑いてしまい、どえらいことに。

アンジェラの父、キャサリンの両親、元修道女の看護師、ヴードゥー祈祷師、神父など大所帯で悪魔祓いの儀式を行うも、キャサリンの父が悪魔に心の弱さを突かれてつけこまれてしまったことから、アンジェラは助かったもののキャサリンは死亡っていうバッドエンド。

初代から50年経ってますから、映像はすごいことになってますが、やっぱり大事なのは映像のすごさよりもお話、脚本なんだろうなあっていう思いを強くしました。

今回は2人の少女が同時に取り憑かれちゃうっていうのがビックリ展開なんですが、ストーリーが進む中で2人である必要を感じなかったです。2人の少女の取り憑かれっぷりが交互に出てくる感じで、散漫な感じ。

父子家庭のアンジェラの方は父娘の絆みたいな話が丁寧に描かれてて良いんですが、キャサリンの方は適当な感じ。かと言って両方の家庭について細かくやってたらそれはそれでダルいかな。だから、2人である必要性を感じないんです。

クライマックスの悪魔祓いのところも、初代と比べると盛り上がりに欠けるんです。

初代では頼りになるベテランのメリン神父と、儀式の中でようやく神父としての自分を取り戻すカラス神父のタッグで悪魔と戦うという熱い展開なんです。

それに対して今作では、取り憑かれた少女の親なんてのは素人で悪魔祓いスキルなんて持ってませんし、元修道女も頑張ってはいるけどどうにも力不足。

教会の許可が降りなくて参加できなかった神父が禁を破って悪魔祓いに参加してきたところは熱いと思いましたが、なんと瞬殺負けというガッカリ具合。許可降りなくて困った的な前フリは何だったのか。

唯一プロのヴードゥー祈祷師も、火を焚いたりしてるけど何やってんだかよくわかんなくて特に活躍せずという感じ。

最後の最後になって、悪魔から2人のうちどっちか選べっていう、選べない選択を迫られてキャサリンの父が心のスキにつけ込まれて、結果的にキャサリンを犠牲にアンジェラ助かるっていうスッキリしない結末。

というか、取り憑かれたのが2人っていう設定自体、ここの究極の選択のためだったみたいですね。あんまりうまいこといってる感じはしないかなあ。

なんかケチばっかつけてる格好になっちゃいましたけど、面白くないってことはないです。じゅうぶん怖くて楽しめる映画にはなってると思いますよ。初代がすごすぎて、比べるともの足りないなっていうだけです。

初代の主人公母娘が当時のキャストのまま出てくるのは、続編ならではのファンサービスとして良いと思います。リーガンの方は最後にちょろっと出るだけですが、クリスの方はけっこう重要な役で出てます。

「恐怖新聞」の悪魔祓い編

子供の頃から大好きだった漫画の「恐怖新聞」に、エクソシストの映画にインスパイアされて描いたっぽい悪魔祓い編があります。

インスパイアっていうか、初代エクソシストの登場人物を恐怖新聞の登場キャラクターに置き換えて脚色して漫画化したって言っていいくらいです。

この辺のシーンは映画のまんまって感じです。ついでにゴッドファーザー要素も入ってたりして、漫画家ってやっぱり映画大好きな人が多いのかなって思いました。

ちなみに結末は、悪魔が少女から恐怖新聞の主人公の鬼形礼に乗り移り、なんだかんだで神父の活躍で悪魔祓いが成功。ワンチャン、前から鬼形に取り憑いている霊も一緒に祓えたんじゃね?と思ったけどやっぱりそれはダメでしたっていうものでした。

つのだじろうの漫画は昔から大好きなんですが、恐怖漫画の中でもエンタメ性が高くて特に面白いのがこの「恐怖新聞」です。

取り扱うテーマも心霊、UFO、UMA、ファラオの呪い、日本の怪談、学校ものの怪談など、非常に幅広くてたいへん楽しめます。今の感覚でいうとそこまで怖くはないんですが、とにかく面白いんですってば。

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