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空想妄想沼津考Ⅰ…JR東海はシャッター街に夢を見るか リノベまちづくりへの期待


沼津とラブライブ!にまつわる話について、個人的な論考をして行きたいと思います。多分シリーズになるのかな?
本当は静岡新聞の論説について辛口で書くことを予定していましたが沼津市の新年度予算に興味深いものがあったのでそれを取り上げます。夢物語、妄想です。

表題にもある通り、沼津市が新年度予算で一部新規事業として取り上げた「企業版リノベーションまちづくり」(リンクは予算のあらまし)についてです。
ちなみに沼津市さん、新規に限らずもっと行政予算の使い方について、予算形成過程を見える化(例:大阪府)したり、事務事業評価を付けるなりして、個別の事業に関心を持ちやすくしてほしいのですが…

◆民間主導まちづくりの可能性◆


なぜ今回企業版リノベーションまちづくりに目を付けたかというと、記者時代初任地の和歌山でシャッター街を少しずつ変えていくリノベまちづくりの可能性にかなり注目したことがあり、特に企業版においては2つの巨人を動かせば沼津の駅南にとってもかなり熱い展開になるのではという期待があるからです。
和歌山においては「ぶらくり丁」というかつて大阪・天王寺を超えるほどにぎわい、今やシャッター街と場末のソープ街の融合体と化した地でリノベーションまちづくりを行い少しずつ店舗の出店や来客増にもつながり成果が出始めつつあるほか、桜鯛や海水浴で知られる加太、玄関口のJR和歌山駅といった地などで南海電鉄やJR西日本支社が主体的にかかわるリノベまちづくりも進んでいます。
大きなメリットは
➀行政の予算はスクール開催程度(南海の主催だとそれも南海持ちのはず)
②補助ではないので、補助金頼みの箱モノになりにくい
③民間の競争原理と地場産業の地域貢献の面から、起業を支援するので、地元に定着、店の経営もそこそこにできている
④毎年複数の起業を生み出し、地道ではあるがリノベしたエリア全体の活性化につなげていける
⑤シャッター街という負債を既得権者(元の持ち主)を説得しながら資産に変えていく
といったものだと考えています。
沼津は和歌山ほど寂れていないですが、すでにリノベまちづくりそのものは進みつつあり、企業版となれば、事業所を置く企業を中心に地域貢献も込めて低予算ながらシャッター街に新しい風を吹き込む機会になりうるのではないでしょうか。
とはいえ、これまでも企業版リノベスクールは各地で開催しており、静岡でいえば浜松市が実施しているものの後追いです。むしろ注力すべきは和歌山の事例のように主宰側の強化にこそあるのではないでしょうか。市からの働きかけに期待したいのが、JR東海とバンダイナムコHDです。

◆鉄道界の巨人と聖地との協働◆


和歌山における南海、JR西の事例のように、沿線活性化が自らの利益にも直結する意識をもつのが鉄道会社ですが、「東海道新幹線会社」と自称していたJR東海はある意味無縁の存在ともいえました。
しかし「葛西天皇」こと葛西敬之氏の死後は明確にJR屈指の鉄道専業会社から脱皮しつつあります。
特にその話題性でいえば「推し旅」プロジェクトであり、一番関心を集めたのは沼津・ラブライブ!サンシャイン‼とのコラボレーションでした。
沼津駅の取り組みは沿線活性化を遅ればせながら進めようという現場の努力に新部門の躍動が重なっているように感じます。
和歌山や浜松になく、沼津にある強み。それはコンテンツ力です。リノベまちづくりは街の潜在的な魅力(古民家、商店街)をエリア全体で活かしていく面もあります。沼津駅前で言えば間違いなくラブライブや幻日のヨハネ的世界観に染まっていく街の姿を阻害するシャッター街。沿線の魅力向上にも資するうえ、ラブライブ推しをし始めたばかりのJR東海の格好の宣伝にもなるのではないでしょうか。
加えて、ラブライブとリノベまちづくりの融合という点では、バンダイナムコHDへの協力も沼津市には求められるところではないかと考えます。
当初は渋る商店主にお願いしてきた歴史から今や街に支えられつつあるところまできたラブライブですが、その聖地性をまちづくりに活かすという点ではバンナムの協力は不可欠ではないでしょうか。
ちなみに僕が知る限り、JR東海がリノベまちづくりに主体的に参加した資料はなく、バンナムはそもそも地域貢献的なものに主体的に参加する事業者というイメージは余りない気もします。
いずれの起業にもメリットはありますし、来年には大阪・関西万博というターゲットイヤー。寂れた商店街を沿線の鉄道会社がコンテンツと共に再起動させる取り組みというのは、海外に売り込めるテーマかなと感じます。
自治体は当然場貸しの予算すらいらなくなり魅力向上につながるため、損はないです。

◆リノベまちづくりへの課題(ちょっと長め)◆

とはいえ、行政にそうした発想が従前あるかという疑問と官僚会社のJR東海、畑違いのバンナムをどう動かすかという現実的な問題はあります。そこは熱い若手主体で頑張ってもらうしかないのかなと。まああくまでも妄想なので。
さて、ではそうした協働を導いたのち、成功させる為にとるべき行政の方向性を検討したいと思います。
まずは、情報発信についてです。リノベまちづくり協定とおそらく両者と結ぶことになりますが、JR東海としては初めて、バンナムも大手エンタメ企業としてはおそらく初めての参画になります。
間違っても地元紙にリークしないこと、するのであれば全国紙で。ある程度関係者雑感も含め、何がすごいことなのか紙面展開を提案したうえで、発信することが重要です。
広報はただ市民に発信するだけでなく、マスコミ対応も肝心です。とりあえず地元紙、では全国初の出来事もいわば地域ニュースにとどまるわけですから、ニュースの価値を最大限高く売りつける必要があります。
次にリノベまちづくりと街の独自性の両立という課題について指摘します。
先日、「週末の沼津」に訪れた投稿(リンク)を掲載しましたが、リノベ関係者も携わられていると聞き及んでおります。
悪くはないのですが、駅南の沼津オブ沼津の地域でやるには小じゃれ過ぎかなと。都会にいる自然派的生き方を感じさせる公共空間の使い方、リノベ系は割とどこでも似たような雰囲気を感じることがあり、「意識高い系陽キャ風イベント」やりがちなんですよね。
ある方曰く駅前の再開発の未来図にしてもそうですが、「3年落ちの東京」を目指す沼津市のやり方は感心しません。
東京から人を呼び込むことができた沼津港の観光港化も、沼津らしさがあるから人が集うんですよね。
根本的に沼津を稼げる街にしていくという課題に対してオオタニサンじゃないけど、「東京に憧れるのをやめましょう」という考え方は必要です。「沼津で唯一無二なもの」を活かし国内だけでなく世界から直接人を呼び込む方策がリノベまちづくりにも求められると思います。
最後にあえて実は一番重要で過激なことを書いて終わります。国への固定資産税制改正への働きかけと独自措置の検討です。
2017年に政府の「まち・ひと・しごと創生基本方針」で検討された店舗兼住宅の固定資産税優遇の見直し(自治体の再活用要請に応じない場合優遇を見直す)を改良の上実現するよう国に求め、難しい場合は市独自の措置も辞さない姿勢を打ち出していくという考えです。
遊休不動産の活用でオーナーの理解のもと新規店舗を増やすいわば飴の戦略の一方で、シャッター街の多くは過去に儲けてシャッターのままでも困らない既得権者が所有する背景に目を向け、鞭も必要ではないでしょうか。
和歌山勤務時代、あるJR西の方に寂れ切った駅前の闇市以来の商店街について、こうはっきり言われたことがあります。「こんなんさっさとつぶしてしまえばいい。イオン隣接させて方がよっぽど人が集まるわ」。半分冗談で半分本気です。
それくらい駅前という立地に甘え、かつての売れば買ってくれる時代の蓄財でシャッターを持っている人たちがいて、街の発展を阻害する結果になっていることに苦虫を噛み潰す人がいます。
和歌山のリノベも進んでいますが、飴だけではなかなか面(エリア)に広がりません。「別にゆっくり暮らせるからシャッターについてはどうでもいい」。こんな元商店主の為に街が寂れて全体の利益を毀損するのはもったいないでしょう。
沼津でいえば、あげつち商店街は孤軍奮闘されていますし、リノベまちづくりとあげつちの連動はラブライブ世界と連動したまちづくりの上では必ず考慮に入れるべきことになると思いますが、翻って駅前の……やめておきます。
がんばる商店街は支援し、やる気のない商店街はつぶす。資本主義、自由主義の国で当たり前のことをすれば、街に良い変化をもたらせます。
沼津の商店街といえばかつては寂れ不良のたまり場として一般市民が近づきにくい雰囲気すらあったと聞きました。結果的に別の意味で派手な奴もいますが、そうした風紀の乱れた状態はラブライブ効果で一掃されつつあります。
今はまだ好機、手遅れではないです。リノベまちづくりと日本有数のアニメ聖地という唯一無二の武器、うまくかみ合えばまだまだ日本中、世界に沼津の街は魅力を伝えられると思っています。

◆あとがき◆


以上、企業版リノベーションまちづくりへの期待とそれに伴う課題について論考しましたが、和歌山時代に大々的に取り上げたかったものの、異動で時間がなく手を付けられずに終わってしまった悔恨もあり、今回投稿しました。

こういう真面目な話もXとは違ってどんどんして少しでも移住者、希望者、街の人との意見交換ができればと思っております。よろしくお願いいたします。

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